15. 消沈
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ミックが村へ帰って行き、村長も「さあ皆、準備の続きじゃ!祭りはもう明日じゃぞ!」と兵士や冒険者を連れて広場へ戻って行くのを見送ると、そろそろ時間も夕方に差しかかってきたみたいなので、オレとミズキもボート遊びは切り上げることにした。
ボートを店に返して、クックパ村に戻る道を2人で歩いていると、ミズキが話しかけてくる。
「ねえタマ、本当に良いの?ミックのこと、弟子にするなんて言っちゃって」
「弟子にするとは言っていない。村長達にちゃんと謝れば考えてやると言った」
「確かに……でも、あの子そんなんじゃ諦めないんじゃない?私達が旅に出ても付いてくるとか言ってたしさ」
「そこもちゃんと考えてある」
まさか実際にミックをオレ達の旅に連れて行くわけにはいかないし、そんなつもりもない。
「何よ考えって」
「オレ達がこの村を出るのは3日後だろう?ミックには5日後の出発だと言っておくんだ。そうすれば5日後にミックが気づいても、オレ達はもうここにはいない」
ミックが、オレ達がいないことに気づいても後の祭りというわけだ。
オレの案を聞いて、ミズキが半眼でこちらを睨みつけてくる。
「アンタ、たまにずる賢いわよね……でも大丈夫なの?バレたりしない?」
「大丈夫だ」
「なんで言い切れるのよ」
「なんとなく」
「なんとなくかい!」
ミズキにはたかれながら村に戻ると、広場の隅っこでミックがどんよりと暗雲を身にまとって体育座りをしているのが見えた。
あの様子は……まあ、さっきのハリボテ主の騒ぎの件だろうな。
ミズキとオレはミックに近寄って行くと、そばで慰めていたマルクスに声をかけてみた。
「やっ」
「あ、ミズキさん、タマさん……」
「へへ、落ち込んでるわね。あんな騒ぎ起こして、お母さんに相当叱られたんでしょ」
「うるせーなあ、放っといてくれよ……」
楽しそうに話しかけるミズキに、顔を上げないまま力無く言い返すミック。
そして横のマルクスは軽くため息を吐いている。
「いやまあ、ミックのお母さんにも叱られたんですけど、それよりもエルちゃんが凄く怒っちゃって……」
聞けば、家のお使いでミックが叱られているところに居合わせたエルナ。
ミックが悪戯で明日からのお祭りを台無しにしかけたことを知って大激怒。
ミックのお母さんと2人で、相当にキツい言葉で怒ったらしい。
さすがのミックもそれには大ダメージを受けてしまい、今はこうして落ち込んでいるということだ。
普段から憎まれ口を叩いているみたいだし今更じゃないかという気もするのだが、そんなミックは相当応えている様子で、沈んだ口調でため息を吐きながらぼやいている。
「だってよう、俺とエルナは恋人なんだぜ?それなのにあんな言い方ってさあ……」
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