14. 悪戯
よろしくお願いします。
「……何があった?」
「イタズラです。こいつが……」
村長は冒険者から話を聞くと、その顔に怒りを浮かべてミックを怒鳴りつけた。
「バカモン!!お前はこの村の1年に1度の祭りを台無しにするつもりか!!」
怒りにまかせて、持っていたステッキを振り上げる村長。
ミックを打ち据えようとしたところで、オレが横からそのステッキを受け止める。
「なんじゃお前は!?離せ!」
「暴力は良くない」
頭に血が上った村長は振りほどこうともがくも、オレの握り締めたステッキは動かない。
「くっ……!わかった、叩かんから離せ!」
村長がそう言ったのでオレが手を離すと、彼は大きく息を吐いてミックを睨みつけた。
少し冷静になってくれたみたいだ。
「まったく、くだらんことをしおって……アインクル湖祭りは、このクックパ村の年に一度の大きく人を呼ぶ機会じゃ。当然、この村の大きな財源にもなっておる。下手なハリボテで客を騙す、あまつさえ脅かして騒ぎを起こすなどしたら、この村の信用は丸潰れじゃ。騒ぎを起こして祭りに人が来なくなれば、この村は立ち行かなくなってしまうのじゃぞ」
「ミックのやったことはともかくとして、この湖には主の伝説があって、実際に大きな生き物が目撃されることもあると聞いた。ならそれを使って、この村に観光客を呼ぶということはできないのか?ああいう模型とかも、客を騙すのではなくて、もっと良いものを作ってイベントの演出で使うとか」
どことは言わないが、そうやって湖の伝説や噂を利用して観光客を集めている町の話なら、地球にいた時の記憶にある。
オレがそう尋ねると、村長は苦々しく首を横に振る。
「バカな。明日は祭りの開催初日で、領主様が視察に参られるのじゃ。領主様は公明正大を是とされる方じゃが、その激しい気性と厳しい姿勢でも知られておる。そんなお方に対して、あんな子供騙しのおもちゃで悪戯など仕掛けて身辺を騒がせでもしたらどうなるか。儂の首が飛ぶだけならまだ良い。二度と祭りの開催が許されなくなってしまうか、下手をしたらこの村そのものが取り潰しになってしまうわ」
「わかったかミック、お前はそういう大変なことをやったんだぞ」
即座に手のひらを返してミックを注意するオレにミズキが呆れた顔をしているのを、一生懸命見ないふりをする。
しかしそんなオレの注意にも、ミックはふてくされた表情を崩さない。
「なんだよ、せっかく俺が祭りを面白くしてやろうとしたのに」
「騒ぎを起こして人に迷惑をかけたのは事実だ。反省しろ」
「嫌だね、俺悪くねーもん」
「迷惑をかけたのに反省して謝ることができないような人間は、オレの弟子にはしてやれないな」
オレがそう言うと、途端にミックの目の色が変わった。
「本当!?兄ちゃん俺のこと弟子にしてくれるの!?」
「ちゃんと反省して、迷惑をかけた村長や皆に謝れ。そうすれば考えてやる」
「ちょっと……!」
聞きつけたミズキが咎めてくるのに「大丈夫だ」と小声で返して、オレはミックに向き直る。
「それでどうする。謝るのか?謝らないのか?」
「弟子にしてくれるんなら、謝ってやっても良いぜ!」
そう言うとミックは村長達の方を向き「悪い悪い」と謝罪した。
なんだかあまり謝っているようにも反省しているようにも見えなかったが、村長を見ると諦め顔で頷いてきたので、この話はこれで終わりとする。
そうして今回のことについては一応家族にも話をしておくとのことで「約束だぜ!絶対だからな!」と声を上げながら、ミックは兵士2人に連れられて村へと帰って行った。
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