13. 騒動
よろしくお願いします。
「おい、あれは何だ!?」
「何かいるぞ!」
その声に反応し、オレはすかさず身体を入れ替えて紫雷撃を撃てる体勢をとる。
ボートの人達が指差している方向に目を向けると、湖畔の森の陰の水面から、何か大きなヘビの首のようなものが突き出ているのが見えた。
遠目と木々に隠れているのとでよくは見えないが、首のようなものは木々の間を見え隠れしながら、ゆっくりと動いているのがわかる。
「魔物か!?」
「湖の主だ!」
「こっちに来る!」
「助けて!」
たちまち周囲で上がる悲鳴。
湖に出ていたボートは皆大慌てで岸に戻ろうとして、中には大きく揺れてひっくり返りそうになっているのもある。
岸の方では、冒険者か警備の兵だろうか、何人もの武装した人達が首のようなものに向かって走り出している。
そんな中、少しずつ前に進んでいる首のようなものを注視していたオレに、後ろから同じく水魔法を撃つ準備をしていたミズキが声をかけてきた。
「タマ、どう?やっぱり魔物?」
「わからない……が……なんだかおかしくないか?」
「おかしい?」
「あの首のようなもの、生き物みたいな動きをしないな。確かに湖からヘビみたいなものが首を出してるようには見えるんだが、曲がったりうねったりというのがない。岸から人が向かっているけど、逃げるような素振りもない。何ていうか、木か何かが流されてるだけ、みたいな感じだ」
「木か何か?」
オレとミズキが話しているうちに、岸辺を走っていた兵達が首のようなものの近くまでたどり着く。
たどり着いた次の瞬間、首のようなものがある辺りから凄まじい怒鳴り声が響いた。
「何をやってんだお前は!!!!」
「何がどうなってるのかな……」
「魔物って感じではないな」
何が起きたのかはわからないが、兵達の様子からして危険なものがいたということではどうやらなさそうだ。
せっかくなのでボートを漕いで騒ぎの場所に近寄って行ってみると、そこには数人の冒険者が、地面に座り込んだ1人の少年を取り囲んでいた。
近づくにつれ見えてきた少年の顔に、ミズキから驚きの声が上がる。
「あれ……ミックじゃない!?」
「ああ、ミックだな」
そう、冒険者達に囲まれて叱られているのはミック。
こんな所で叱られているということは、今度は何をやらかしたのか。
ボートを岸に着けて現場に近寄って行くと、オレ達の顔を認めたミックが嬉しそうな顔になった。
「あ、兄ちゃん!」
ミックの反応に、周りの冒険者達が訝しそうな目を向けてくる。
「お前ら、このガキの知り合いか?」
「そうだ。オレ達が泊まっている宿の子供が、このミックの友達だ」
「ミック、怒られるなんて、アンタ何やったのよ」
ミズキの問いかけに、冒険者の1人が顎で湖の方を示す。
差された先には、何やら長い板のようなものが地面に置かれていた。
近寄って見てみると、それは長さ3メートルくらいの木の板で、先ほどオレ達が見た、湖面から突き出た首のようなものと同じ形をしていた。
オレが持ち上げて見せた板を見て、ミズキが呆れた声を漏らす。
「あれが……さっきの首?」
「そうだ。あれを湖に浮かべて後ろから押して、動いてるように見せたんだよ。ったく、人騒がせなことしやがって……」
忌々しげに舌打ちをする冒険者と、ため息を吐くミズキ、そしてまったく悪びれる様子の無いミック。
「なんでそんなことしたのよ……」
「へへ、だってさ、せっかくの祭りなんだから盛り上がった方が良いだろ?騒ぎが起これば兄ちゃんだって活躍できるんだからさ」
「何言ってんのアンタ。それに笑い事じゃないでしょう……」
「あ、村長!」
ミズキとミックが話していると、そこに男の老人が数人の兵士を連れて駆け込んで来た。
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