5. 弟子
よろしくお願いします。
「何?」
弟子?
何だいきなり。
面食らっているオレに、ミックは得意げに笑って話を続ける。
「なあ良いだろ?俺、強くなりてーんだよ。兄ちゃんスゲー強えからさ、俺兄ちゃんの弟子になって強くなるんだ」
「強くなって……それでどうする」
「だって強くなりゃあ金いっぱいもらえるんだろ?そうすりゃずっと遊んで暮らせるじゃんか。勉強も何もしなくていいしさ」
「そんな単純なわけないじゃん……」
と、横でミズキの呆れた声がする。
「いい?強くなるためには、ものすごく大変な修行をしなきゃいけないんだよ?勉強なんかより、ずっと辛い思いをすることになるよ?」
修行か。
「オレは、そういうのをしたことが無い」
「ややこしくなるから黙ってなさい」
「はい」
ミズキが諭そうとするも、ミックは応じる様子は無い。
連れのマルクスが「よそうよ、迷惑だよ」と静止するも止まらない。
「別にいいぜ?俺運動するの好きだし。俺もマルクスも町内で剣術クラブに入っててさ、俺その中でも上位のクラスなんだ」
「そんなのと実戦が同じなわけないでしょ?本当に殺し合いなんてすることになったらどうするの」
「うるせえなあ。姉ちゃんエルナみたいなこと言うなよな。俺は姉ちゃんじゃなくて、兄ちゃんの弟子になりたいの」
「オレ達は、ずっとこの村にいるわけじゃない。何日か泊まったら、また旅に出る。お前の修行をすることはできない」
「じゃあ俺もついてく!俺も村を出て、他の町とか行ってみたかったんだ!」
「そんなことできるわけないでしょ!家族の人とかどうすんの!」
「カンケーねーだろ!俺はついてくったらついてくんだ!」
言い合いになる2人。
エルナというのは、彼の友達か誰かだろうか。
そんな2人を横目に見ながら、オレはふと気になったことをマルクスに尋ねてみた。
「村の外にいてオレ達を見ていたということは、さっき石を飛ばしてきたのもお前達か?」
「は……はい。そのことも、ごめんなさい。ミックが、お兄さんの腕試しだって言って……」
そう言ってマルクスは、ミックが持っている小さなYの字の形をした棒に目をやる。
Yの字の間には紐のようなものが張られているが、あれを使って石を飛ばしたわけか。
「そうか。オレは気づいて止められたし気にしてもいないから良いんだが、もしも石がミズキか、あの助けた女の人に当たっていたら怪我をさせていたかもしれない。危ないから、ああいうことはもうやってはいけないぞ」
「はい……本当に、すみませんでした……」
申し訳なさそうに頭を下げるマルクス。
どうやら彼の方は、ミックと違って素直な性格のようだ。
オレとしては、こちらの方に好感が持てるな。
とそこに、
「あ!こんなところにいた!」
と声がかかった。
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