17. 出立
よろしくお願いします。
「ミズキ、アルジララクネの女王との戦いの時は、水の魔法で援護してくれたな。どうもありがとう」
「……ううん。ほとんど全部タマが戦ってくれて、私なんか全然何も出来なくて」
「いや、おかげで助かった。あのアルジララクネの尾を斬った水の魔法、凄い威力だったな。ミズキが考えたのか?」
「うん。前にテレビで、ウォーターカッターっていうのを見たことがあったんだよね。水を高圧縮したら鉄でも切れるって言ってたから、なんとか出来ないかなって思ってイメージしたら出来ちゃった」
「イメージか。やっぱりそういうのが、ミズキの勇者としての力ということなんだろうな」
「そうかも。これまでずっとタマに頼りっぱなしだから、私も強くならないといけないなあ」
「無理することはない。オレの方が戦いに向いていることには違いないんだから、オレにできることはオレがやる。ミズキは、少しずつ練習していけば良い」
「……うん」
その後オレとミズキは、冒険者ギルドに頼んでオレが倒したアルジララクネの死骸を大急ぎで換金。
何分アルジララクネの群れをほぼ丸ごとと、(ほぼ吹っ飛んでいたとはいえ)女王という大物の死骸もあったということで、本来であれば時間をかけての査定の上、支払い額も相当なものになりそうではあった。
しかしオレが細かい査定は不要、多少金額が下がってもかまわないのでとにかく至急にお金に変えてほしいと頼み込み、とりあえず今ギルドが払える最大限の額ということで、大金貨20枚が支払われることとなった。
冒険者ギルドとしては、オレには今後も冒険者としてこの町に残ってほしそうだったのだけれど、アルジララクネとの戦いで警備隊の人達を怖がらせてしまった以上、たとえこの町に残ったとしてもあまり居心地の良いことにはなりそうもない。
何より、オレとミズキには魔王に会いに行き、元の世界に帰る方法を探すという目的がある。
そういうわけで、オレ達はお金を受け取ったら早々にこの町を出ることにしたのだ。
なお、お金の受け取りついでに聞いた話によれば、冒険者ギルドからの依頼を受けてここ数日、ヒルデルの周辺でアルジララクネの生息調査をしていた冒険者の調査隊。
アルジララクネ襲来の当日未明、彼らは町の北西部の山間にて大きな洞窟を発見。
踏み込んでみたところ、中に生息していた数十匹のアルジララクネと出くわし交戦となった。
激戦の末なんとか数体を討伐したものの、100人近くいた調査隊側も半数が死傷するという大被害。
それならばと周囲の森から薪を集め、火をかけて焼き払うという作戦に出たところ、炎に反応したアルジララクネの群れが一斉に穴から飛び出し、外で構えていた冒険者達を蹴散らしてそのまま逃げ去ってしまったとのこと。
その女王を含む群れが、今回ヒルデルの町に押し寄せて来たらしい。
わざとではないとはいえ襲撃の原因を作ってしまった調査隊は、町に帰還後に治癒院(病院のような所らしい)で手当てを受けるとともに、冒険者ギルドで責任の所在について協議中とのことである。
とにかく町の上層部では、オレがアルジララクネの女王(と思わしき個体)を倒したということで群れはおそらく壊滅。
残りの戦力をかき集めて調査は継続するものの、この町の脅威も、とりあえずは無くなったという認識になっている様子だ。
であればオレもミズキも、心置き無く旅立てるというもの。
そう考えたオレ達は、お金を受け取った翌日に泊まっていたホテルをチェックアウト。
運輸ギルドから乗り合い馬車に乗り込み、ここバルツルグ王国の王都ラキオスブルックを目指して出発したのだった。
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次回、エピローグになります。




