16. 怪獣
よろしくお願いします。
倒した……
脚だけになって崩れ落ちる女王アルジララクネを前にして、オレもその場に膝をつく。
さすがに、疲れた……
大きく息を吐いていると、そこに後ろで城門が開く音がして、数人の足音が駆け寄って来るのが聞こえてきた。
「タマ!」
振り返ると、真っ先に走って来たのはミズキ。
その後ろに、大勢の兵士達が続く。
ミズキは一瞬ためらった素振りをするも、すぐに思い切ったようにしてオレのそばに来た。
それに対して、後方の兵士達はオレから少し離れた所で足を止める。
その表情に見えるのは、怯え。
「タマ大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ。とはいえ疲れた。強い敵だった……」
「そっか……でも、勝てて良かったね。これでこの町も大丈夫……あ……」
これで一安心と町の方を振り返ったミズキは、すぐにその顔を強張らせることになった。
遠巻きに見ている兵士達は、顔を引きつらせてそれ以上は近寄って来ようとしない。
オレが怖いか。怖いだろうな。
この世界には特級冒険者とか、とんでもなく強い人もいるみたいなのだけれど、それでも森一つを吹き飛ばすような破壊を目の前で見せられれば、恐ろしくなって当然だろう。
そんな彼らに、ミズキが慌てたように呼びかける。
「あ、あの……!コイツ、確かに人間離れして強いんですけど、でも悪い奴じゃなくて!今だって、この町を守るために……!」
彼女が必死に訴えるも、兵士達はきまり悪そうに顔を見合わせるのみで返事は無い。
オレは、そんなミズキの肩を叩いて声をかけた。
「ミズキ、良い、気にするな」
「で、でも……!」
「彼らが怖がるのは、何も間違っていない」
「間違ってないって……!」
「オレは、怪獣だ」
「……っ!」
そう、オレは人間ではない。
何をどう間違ったのか今は人間の身体を借りているというだけで、本来は人間社会の中に居場所など無い存在なのだ。
ミズキ以外の人達はもちろんオレが怪獣ということは知らないわけなのだが、それでも口から光線を吐くというのは普通なことではないし、紫光線の破壊力を目の当たりにした後では、それを放った張本人であるオレに恐怖心を抱くのは無理もないことなのだろう。
「タマ、この町を助けたのに……」
「気にすることはない。それに、あの人達を恨んだりするのもいけない」
「私も……イアスで最初に助けてもらった時は、あんな顔してたんだ……」
「オレは気にしていない」
オレは悲しそうな顔をしているミズキに、町に戻ろうと促す。
このことは、きっとすぐに市民達の間にも広まる。
ならばオレ達は、出来るだけ急いでこの町を発った方が良いだろう。
「あ、あ……」
「後はよろしく頼む。魔物の死骸でオレの取り分になるものがあったら、冒険者ギルドに届けて、全部売却だと言っておいてくれ。それじゃ」
城門に向かって歩き出したオレとミズキに、兵士の1人がおずおずと声をかけようとしてくる。
オレはその兵士に後のことを頼むと、そのままその場を後にするのだった。
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