15. 援護
よろしくお願いします。
オレは女王アルジララクネに向けて紫雷撃を放ち、相手が爆発に怯んだ隙に一気に距離を詰める。
その顔面に張り手を一撃叩き込み、その巨体が大きくよろめくも、さすがに致命傷とまではいかない。
すかさず振り下ろされてきた女王アルジララクネのハサミの一撃を両腕でガードし、至近距離から相手の顔面めがけて紫雷撃を放つ。
爆煙に包まれた女王アルジララクネにさらに追撃をかけようと近づいたところで、煙の中から飛び出してきた尻尾の横薙ぎがオレの腹に直撃した。
殴り飛ばされて、地面に転がる。
腹と、そして全身に走る激痛。
喉にこみ上げてきたものを、思わずその場で吐き散らす。
一般人よりも頑丈とはいえ、やはりこの人間の身体、怪獣の時のようにはいかないか……!
「ぐ、ぐふっ……っ!?」
ふらつきながらも立ち上がり、顔を上げたオレの目に飛び込んできたのは、今にもハサミを振り下ろそうとする女王アルジララクネの姿。
「っ!!」
やられる!と思った瞬間、女王アルジララクネの背で何かが爆発した。
巨虫の動きが一瞬止まる。
よし今!
僅かに出来た隙に、オレは女王アルジララクネに組みついた。
コイツ相手に距離を取るのは逆に危ない。
両前脚のハサミでオレと組み合う女王アルジララクネの背中で、再度何かが連続で爆発。
敵にダメージを受けた様子は無いが、オレの顔に飛沫が飛んでくる。
これは……水?
そう思った次の瞬間、女王アルジララクネが力任せに組みつきを振りほどいた。
その勢いで投げ飛ばされるオレ。
再度地面に転がるもすぐに立ち上がったオレの目の前で、女王アルジララクネが町の方に向き直る。
睨めつけるその先には、防壁の上、両手を前に突き出してこちらを見据えるローブ姿の女子。
あれは……ミズキか?
では、さっきの水の爆発は彼女の魔法か?
オレを援護してくれたのか。
女王アルジララクネはそんなミズキを認めると、防壁に向かって猛然と走り出した。
いかん!女を狙うつもりか!
追いかけようとしたオレの耳、普通の人よりもはるかに優れた聴覚に、防壁の上のミズキが上擦った声で呟いているのが聞こえてきた。
「水……水……水……もっと小さく……もっと細く……もっと細く……針みたいに細く……ドリルみたいに回りながら……撃つ!!」
次の瞬間、ミズキの突き出した両手のひらから、まるで鉛筆か何かのように細い、水の筋が飛び出した。
放たれた水の筋は、女王アルジララクネの胴体こそ外したものの後方の尻尾に命中。
その頑丈な外殻で覆われた尻尾を、根元付近から斬り飛ばした。
絶叫を上げてのたうち回る女王アルジララクネ。
よし、今がチャンス!
オレは女王アルジララクネが怯んだ隙に距離を詰め、その顔面に連打で張り手を叩き込む。
気を取り直した相手が両前脚のハサミを振り下ろしてくるも、オレは両手でそのハサミを受け止める。
凄まじい衝撃がオレの身体を襲い、足が地面にめり込むのを感じるも、これならまだ耐えられる。
そして……掴んだ。
ここからなら逃さん!
オレの中から湧き上がった紫雷撃の力が、身体全体を駆け巡る。
バチバチと、身体の周囲にスパークが走る。
危険を察した女王アルジララクネが必死にもがいて逃げようとするも、今度はオレが両前脚を掴んで逃さない。
オレの足が地面にめり込んでいるのも、踏ん張りが効いてちょうど良い。
そしてオレは、目の前のクモサソリに向けて、口に集めた紫の力を一気に解き放った。
放たれた紫の奔流は、至近距離から女王アルジララクネの顔面を直撃。
クモサソリの胴体の上半分を、大きく抉るように消し飛ばした。
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