6. 配送
よろしくお願いします。
振り返るとそこには、城門の所にいた門番と同じような鎧姿をした兵士が4人、入り口に立ってオレ達を見ていた。
その先頭に立っているのは、つい先ほど見た顔だ。
「よう、さっきはどうも。魔物の検分が終わったから、持って来たぞ」
と、城門で話をした兵士が入り口の外を示す。
「ああ、どうもありがとう。早かったな」
「一応検分はしてみたんだがな。初めて見る魔物で、結局何もわからんということがわかった。しかし……なんだこりゃ、ケンカか?」
「ちょっと揉めてしまった」
「そうかい、しょうがねえな。まあここの冒険者連中じゃ、お前さんにゃ歯が立たねえだろう」
「あの……?」
頷き合うオレと兵士に、怪訝な顔で声をかけてくる受付。
そんな受付に兵士は「よう」と声をかけ、
「警備隊のジョナサンだ。こっちにはまだ話は来てねえか?ついさっき、アクイロの森から突然魔物が出て来て、この町に接近した。直前でそこにいる男が討伐してくれたから、被害は出てない。ただ、今までに見たことのない魔物だったから丸ごとこっちに持って来てる。悪いが冒険者ギルドの方で検分と、正体が解ったら警備隊にも報告をもらいたい」
と告げた。
その後ろでは、先ほど揉めた冒険者2人が這々の体で外へ逃げて行く。
「は、はあ……かしこまりました……」
「後、魔物を倒したのはそこにいる男で、死骸もそいつの物であることを警備隊一同保証するから、そのように頼む。よろしくな」
「は、はい……」
呆気にとられた表情で、オレと兵士を見比べながら頷く受付。
とそこに、外から「うわ、なんだこりゃ!?」という大声が聞こえてきた。
何かと思って外に出てみると、ギルド入り口の脇には数人の冒険者に囲まれて、先程オレが倒した銀色クモサソリの死骸。
すぐ隣には荷車が置いたままになっており、このままここで荷台から降ろした、といった様子。
今の大声は、そんなクモサソリの死骸を見た冒険者が驚いて上げたものだったようだ。
「何これ……こんな魔物、見たことない……」
かすれたような小声がしたので横を見ると、そこにはクモサソリの死骸を見て愕然となっている受付がいた。
「ついさっき、この町の近くに出現した魔物だ。討伐したのは、そこにいる黒髪の男だ。冒険者じゃねえみてえだが、死骸はギルドに買い取ってほしいらしいから、よろしく査定してやってくれ」
「は、はい……」
周囲の皆にも聞こえるようにか、少し大きめの声で説明する兵士と、引きつった顔で了承する受付。
そんな彼女に兵士は頷きを返して、「最後に……」と、ホールの中に目を向けた。
目を向けた先には、彼と一緒に来た兵士3人に取り囲まれてうろたえている冒険者の男4人。
「……どうやらあいつらで間違いねえな」と呟くと、兵士は受付に告げる。
「あの4人を借りて行く。サイタノンからこの町に来る乗合馬車への、魔物のなすり付けの容疑がかかっている。それじゃよろしく」
「ま、待て違う!俺達は、あれはどうしようもなく……!」
「話は屯所で聞く!」
必死に弁解しようとする冒険者4人。
しかしそれも聞き入れられることはなく、兵士4人に引きずられるようにして、入り口から外へ連れ出され、そのまま荷車に乗せられて行ってしまった。
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