5. 制止
よろしくお願いします。
長ゼリフがあります。
「すまないけど、もう少しだけ教えてくれ。冒険者として登録していなくても、魔物の死体やらを持ってくれば金には変えてくれる?」
「出来ますけどね。ただ解体と査定には手数料が発生しますし、場合によっては断ることもありますから」
「買い取りを断る場合というのは?」
「新人冒険者なんかでたまにあるんですけどね、例えばゴブリンの死体を1つだけ持ってきて買い取れなんて言われても困るんですよ。ゴブリンなんて魔石ぐらいしか使い途が無いっていうのに、わざわざ解体なんて無駄な手間はかかるし儲けにもならないしで、結局迷惑でしかないんです。魔物を倒して持ち込みを狙ってるみたいですけど、どうせゴブリンとかホーンラビットあたりを考えてるんでしょ?そういう小物だったら、自分で解体して素材だけを持って来るようにしてください。死体なんか持って来られても買い取りはしませんので」
「わかった」
「おいおい。さっきから聞いてりゃあ、いつまでもいつまでもウダウダしやがって。ゾーラちゃんがこんなに懇切丁寧に教えてくれてんじゃねえか。オメェみてえな細っせえ奴が冒険者なんか出来るわけがねえだろが。未練たらしくしがみついてねえで、さっさと帰れや」
不意に後ろから声がかかった。
振り返るとそこには、革っぽい鎧を着た大柄のたくましい男が、悪人面でオレを見下ろしていた。
「そうか、わかった。それで、あと訊いておくことは……」
オレが男に返事を返してから残りの確認のために受付に目を戻そうとすると、「テメェ!!」と男が胸ぐらを掴んでくる。
「何をする」
「人が親切で忠告してやってるのに、ふざけんじゃねえ!!」
「冒険者にはならないと言った。あとは少し確認したいことがあるからこの人に訊いているだけだ。終わればすぐに出て行く。それよりも離せ。いきなり暴力はダメだろう」
「うるせえ!お前の目つきが気に入らねえっつってんだよ!」
顔を近づけてきてあまり喧しいので、男の目を突ついてやったら顔を押さえて床を転げ回っている。
「テメェ、いきなり何しやがる!」
「オレの目つきが気に入らないって言ってたから見なくても済むようにしてやった」
オレが言い返すと、男は少し落ち着いたか頭を振って立ち上がり、顔を怒りに歪めて腰の剣を引き抜いた。
その後ろでは男の仲間っぽい連中2人が、同じく剣を抜いてこちらに向かって来ている。
「ナメやがってこのクソガキ!!」
「こら、ギルドの中で剣を抜いたら危ないだろう」
「へブゥ!?」
オレが男の顔面をはたきつけると、男はふっ飛ばされて、開いていたギルドの入り口から外に飛び出して行った。
「クレバス!?」
「この野郎!!」
男を殴り飛ばされて怒った後ろの仲間達が、剣を振り上げて飛びかかってきた。
「ちょ!ギルドの中での暴力沙汰は……!」とかなんとかオレの後ろで聞こえたがそれどころではないので、オレは振り下ろされてきた剣を叩き折り、男の1人を張り手でぶっ飛ばし、もう1人の首を掴んで床に引き倒す。
そのまま顔面を叩いて潰そうとしたところで、後ろから「ダメ!!」と水城の声がオレの手を止めた。
振り返ると水城が、焦った顔でオレを見ている。
「こ、殺しちゃダメだよ!」
「なんでだ?コイツらは今剣を抜いた、つまりはオレ達を殺そうとしてきたんだろう。ならオレ達は、身を守らなければならない」
「そ、それは……それでも……殺しちゃダメ!」
言葉に詰まる水城。
答えが得られないのは少々モヤモヤするが、まあ水城が言うならその通りにしてみよう。
「わかった」
オレは水城に頷いて、涙目になって震えている目の前の男の首から手を離した。
ほっと息を吐く水城。
オレの後ろでは受付が「嘘……クレバスさん達、4級なのに……」とかすれ声で呟いているのが聞こえる。
と、そこに
「おう、いたいた!」
オレが立ち上がったところで、不意に入り口の方から声がかかった。
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