4. 受付
よろしくお願いします。
長ゼリフがあります。
そんなわけでオレと水城は、2人身軽で兵士に教えられた冒険者ギルドへの道を歩く。
歩きながら、水城がオレに声をかけてきた。
「あの……玉木、凄かったね。あんな大きい怪物を、本当にやっつけちゃった」
「ああ、勝てて良かった。物凄く頑丈なやつだったな」
「あの、ありがとうね。助けてくれて」
「当然のことだ」
「そ、そっか……」
オレが返事を返すと、水城は小さく俯いて呟いた。
実際、こうして一緒に旅をすることになり、そしてオレの方が戦いに向いている以上、オレは危険から出来る限り水城の安全を守るべきだと考えている。
それに水城には、クラスメイトから別れて城を飛び出すきっかけを作ってしまった責任のようなものがオレにはある気がしているので、オレは彼女が元の世界に帰るために、出来る限りの努力をしようということに決めた。
城門から続く大通りを30分ほど進むと、先日習った魔物(っぽい何か)と剣のマークが描かれた看板が見えてきたので、水城と2人で看板の掲げられた2階建ての建物に足を向ける。
その看板を掲げる建物が、冒険者ギルドなのだそうだ。
宿の店主に、何か手っ取り早くお金を手に入れる方法はないかと尋ねて、腕っぷしに自信があるのならと教えてもらったのがここだ。
冒険者というのは、危険な魔物や盗賊を倒して市民に被害が出ることを防いだり、倒した魔物の死骸から人の役に立つ部分を採集したり、他の町に行く場所や旅人の護衛をしたり、町の外に出て薬草などを採ったりと、色々なことを請け負う仕事らしい。
冒険者ギルドという機関を通して依頼を受けて仕事をし、成功したら報酬をもらうという形だそうだ。
危険な仕事なのは事実で、実際に怪我人や死者も多いが、実力さえあればどんどん稼げる仕事であり、またギルドに登録してギルド証を出してもらえばそれが身分証明になるので、旅をする人はとりあえずという形で登録する人も少なくないとのこと。
正面の大きな玄関から中に入ると、入ってすぐの所は大きなホールになっていて、10台くらいのテーブルと椅子が並べられていた。
ホールの中はあまり人がおらず閑散としているが、テーブルのいくつかには数名の男女がグループに座ってこちらを見ており、中の1つには先程森の中の道で遭遇した4人組の男が、へたり込むようにして座っていた。
あの4人、ここに逃げて来ていたのか。
まあ彼らとは特に話すことも無いので、オレと水城はホールの中を進んで奥にある受付へと進む。
カウンターの前に立つと、中に座っていた女性がオレを見上げてきた。
「依頼ですか?」
受付の女性は、顔立ちは整っているが気だるげな口調。
「いや、冒険者というのについて知りたい。ここで頼めば、なれるのか?」
質問すると、受付は呆れた目でこちらを見、軽く息を吐いて小さく頷く。
「そんなことも知らないで来たわけ……?……ええ、書類に記入していただければ、この場で冒険者証をお作りします。とりあえず、この書類に名前だけ書いてもらえますか。けど……」
そう言って、オレのことをじろりと眺める受付。
「冒険者は、危険な仕事ですよ?怪我などは日常茶飯事ですし、死ぬ人だって珍しくありません。その細い身体では……あなた、剣は使えるんですか?槍は?何か武術は出来ます?」
「使ったことも習ったことも無い」
「魔法は?」
「使えたことは1度も無い」
「じゃあ何が出来るんですか」
「力ならそこそこ」
オレの答えに、大きくため息を吐く受付。
「ハァ……いるんですよね。力仕事か何かでちょっと鍛えられたからって思い上がって、大活躍とか一攫千金とか期待して冒険者になろうとする人。そんな上手いこといくわけないじゃないですか。そんな人は皆早くに死ぬか、心が折れて辞めていくか、でなきゃ小さな依頼で小銭を稼ぎながら何年も低ランクにしがみつくのがせいぜいですね。ていうか、あなたも見たところそこまで強そうには見えませんけど、本当に力なんかあるんですか?」
胡散臭そうにオレを睨めつける受付。
確かに、オレの身体は一見力があるようには見えない細身の体型だ。
それに武器なども持ってはいないし、戦いを仕事にしたいなんて言われても信じられないのかもしれない。
「……」
視線を感じて後ろを見ると水城が不満そうな顔をしていたが、特に何かを言う様子も無いので、オレは再度受付に向き直る。
しかし、この様子ではなんだか、冒険者への登録はしてもらえなさそうだな。
そんなオレに、受付は面倒くさいという態度を隠さずに言う。
「どうします?冒険者登録しますか?」
「いや、やめとく」
「そうですね、それが良いでしょう」
フンと小さく鼻を鳴らす受付。
冒険者にはならないとして、あと訊いておくことは……
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