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#4 禁忌の代償と神代の真実-前編

れっさー(玲沙)は翌朝、グレイムの街で手に入れた地図を広げ、次の目的地を確認していた。彼女の目に止まったのは「神代の遺跡」という場所だった。その遺跡は、かつてこの世界に存在した神代の文明の遺産が眠ると言われている場所であり、彼女の冒険心を大いに掻き立てた。

「神代の遺跡か…行ってみる価値はありそうだね!」

れっさーはすぐに準備を整え、街の東門を出発した。遺跡は、鬱蒼とした森を抜けた先にある。

れっさーは、グレイムの街を出て、神代の遺跡へと向かって歩き続けた。神代の文明が眠るこの場所には、多くの冒険者が挑んだが、帰還することはなかったという。それでも、れっさーの胸の中には、この遺跡の謎を解き明かしたいという強い好奇心が燃えていた。

やがて、森を抜けた先に、巨大な構造物が姿を現した。それは明らかにこの世界では考えられない物質でできていたが、長い年月を経て自然と調和していた。だが、その表面には複雑な模様と古代の文字が刻まれており、どこか異様な雰囲気を放っている。

「ここが…神代の遺跡か」

れっさーはゆっくりと遺跡の中へと足を踏み入れた。中はひんやりとしていて、どこか異世界に迷い込んだような気配が漂っていた。瓦礫や倒れた柱の間を慎重に進んでいくと、やがて広い通路に出た。壁には何らかの装置が埋め込まれ、微かに光を放っている。

れっさーは興味を持ち、壁の一部に描かれた古代文字に目を向けた。それは神代の文字とされているが、普通の人には解読できないものだった。しかし、彼女が文字をじっと見つめていると、不思議な感覚が彼女の中に湧き上がってきた。

「ん…?何だろう…これ…」

文字がまるで、れっさーの頭の中に直接語りかけてくるように見え始めた。気がつくと、文字の意味が自然と理解できるようになっていた。まるで、脳の中に古代の知識が流れ込んでくるかのような感覚だ。

「ええと…『入る者に告ぐ。この先は、神の遺産を守る者の領域…』!?」

れっさーは自分が自然に文字を読めていることに驚き、手を壁に触れながらゆっくりと読み進めた。

「…『その力を得る者には栄光が待つであろう。しかし、その力を使う者には常に代償が伴う』…」

彼女はその言葉の意味を考え込んだ。神代の力とは、一体何なのか。れっさーが「禁忌の遺産」の選択をしたときの不安と期待が、胸の中で再び膨らんできた。

れっさーはさらに奥へと足を進めることにした。通路の先には、幾何学的な形状をした階段が現れた。階段は金属のようなものでできていて、光を放つ不思議なラインが走っており、進むごとにその光がれっさーの進む道を示すように変化していく。

「この遺跡…まるで私を導いているみたい」

階段を下りきると、広大なホールに出た。そこには、半透明なスクリーンのようなものが宙に浮かんでおり、無数のシンボルや文字が絶え間なく流れている。その中心には、奇妙な球体が浮かんでいた。球体の内部には、何かがうごめいているようだ。

「これは…神代の技術?」

れっさーは好奇心を抑えきれず、球体に近づいて手を伸ばした。すると、球体が彼女の手の動きに反応するように、内部の光が強く輝いた。その瞬間、彼女の選んだ「禁忌の遺産」の力が再び反応し、古代の技術に呼応するように体内で力が流れ出すのを感じた。

「どうやら、この遺跡の力を解放するためには…私の力が必要みたい」

れっさーは球体に触れたまま、意識を集中させた。すると、球体から流れるエネルギーが彼女の体内に流れ込み、彼女の中にある「禁忌の遺産」の力と共鳴した。その瞬間、遺跡全体が激しく震え、光が一斉に灯り始めた。

「わあっ…!」

壁の装置が次々と目覚め、床下から浮かび上がるようにホログラムの地図が広がった。れっさーはその地図が遺跡全体の構造を示していることに気づいた。

「なるほど、これで遺跡の全体像がわかる…!きっとこの先に、何か重要なものがあるはず…」

れっさーは、遺跡のホログラム地図を注意深く見つめていた。その地図には、遺跡全体の詳細な構造が表示されており、通路や部屋の配置が示されていた。しかし、彼女は何か違和感を感じた。地図には何かが欠けているような気がしたのだ。

「…これだけじゃない気がする」

禁忌の遺産の力が目覚めて以来、彼女の中には新たな感覚が芽生えていた。まるで、遺跡全体が彼女に語りかけているような感覚だ。彼女は直感的にホログラムの地図には載っていない場所があると感じた。

「ここには…まだ何かがある」

れっさーは地図を見つめたまま、集中してその感覚に身を委ねた。すると、遺跡全体のエネルギーが彼女の中に流れ込み、視界が一瞬揺らめく。その瞬間、ホログラムに何かが映し出されていた。それは、隠し通路の存在だった。

れっさーはホログラムが示す隠し通路が、この部屋からもつながっていることに気づいた。

壁の方に向かい、彼女はその一角に目を留めた。その場所は、一見何の変哲もない石の壁だったが、よく見ると、壁の表面に微かな光の線が走っていることに気がついた。

「ここだ…隠し通路があるはず…!」

れっさーは慎重に壁に手を触れると、その表面が柔らかく振動するのを感じた。禁忌の遺産の力が再び反応し、彼女の手から光が放たれる。すると、石の壁がまるで水面のように揺れ、少しずつ形を変えていく。壁が透明になり、彼女の前に新たな通路が現れた。

「やっぱり…!」

通路は薄暗く、冷たい空気が流れ込んでくる。れっさーは慎重にその通路に足を踏み入れた。足元には古代の神代の文字が刻まれた石板が敷かれており、彼女が進むたびに、文字が淡い青い光を放ち始めた。

通路を進むにつれて、れっさーの心臓は鼓動を速めていた。ここに何が隠されているのかを考えると、興奮と緊張が入り混じった感覚が彼女を包んだ。やがて、通路の終わりに小さな扉が見えてきた。扉は金属でできており、その上には見たことのない複雑な模様が刻まれている。

「この扉…開けられるのかな?」

れっさーが手を伸ばすと、扉の表面が光り始め、まるで彼女の存在を認識するかのように一瞬輝いた。その瞬間、扉が静かに開き、彼女の前に隠された部屋が現れた。

隠し部屋の中

部屋の中は広く、中央には巨大な円形の装置が鎮座していた。装置の周りには、古代の神代の文字が彫り込まれたパネルが並び、その光が部屋全体を青白く照らしている。装置はどこかで見たような形状だが、明らかに神代の技術が使われていることがわかる。

「ここには…何があるの?」

れっさーは部屋の中央に近づき、装置を慎重に調べた。装置の中心には、まるで心臓のように脈打つ光る球体が浮かんでいた。その球体は、彼女の禁忌の遺産の力に反応するかのように、彼女の手の動きに合わせて光の色を変えている。

「この装置…何をするものなんだろう?」

れっさーは装置の側面にあるパネルに目を向けた。そこには再び古代の文字が刻まれているが、今度ははっきりと意味がわかった。禁忌の遺産の効果で、文字が自然と読めるようになっているのだ。

「『神の遺産の鍵…封じられた力の解放』…?」

れっさーはパネルの文字を読み進めながら、この装置が何を意味するのかを考え始めた。どうやら、この装置は神代の力を封じ込めるためのものであり、その力を解放するための鍵となる存在を探しているようだった。

「もしかして…私がその鍵…?」

彼女が装置に触れた瞬間、装置が突然反応を示し、球体が激しく光り始めた。れっさーの体内に禁忌の力が流れ込み、彼女の体全体が熱く燃えるような感覚がした。

「これって…!」

れっさーは装置の反応に驚きつつも、そのまま力を解放し続けた。球体が強く光るたびに、彼女の中の禁忌の力がさらに強く共鳴し、遺跡全体が微かに震え始めた。

その瞬間、部屋の天井から巨大なホログラムが投影され、遺跡の隠された構造と、神代の文明が残した最後のメッセージが映し出された。

「これが…神代の真実…?」

れっさーの目の前には、滅びの前夜に神代の人々が何をしていたのか、その映像が流れ始めた。彼女は息を呑みながら、その映像を見つめ、神代の遺跡の真の意味を理解しようと心を決めた。

長くなっちゃった…。

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