表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

#1 すべてはここから…

「終わったあああぁぁ~~!」

エンドロールの勇ましい音楽とこれまでの回想の画面から目を離し、カーテンを開ける。

シャーーッ!

あたりにまばゆい光が降り注ぐ。

同時に画面は明るくなり、THE END の文字が刻まれる。

わたしは橙谷(とうや) 玲沙(れさ)

16歳、ニートだ。

なぜニートかって?それは…。

さかのぼること2年前。

「このクラスにいじめがあるって?先生知ってるぞ?」

先生は勘がよく、私がいじめられていたことをいち早く感知してくれていた。

でも、

『このクラスにいじめなんてありませーんw』

クラスのほぼ全員の子がこう反発してしまったのだ。

男子に反発するとろくなことにならない。そう知っている女子たちも賛同してしまった。

家でも、

「冷蔵庫のカレー 温めて食べて 母」

「今日 帰り遅い 何か買って食べて 母」

という書置きばかり。しまいには。

「お母さん、お父さんと海外で働くことになったの。安心して。仕送りは毎月するわよ。」

と、毎月の仕送り50万が口座に入るだけの関係になってしまった。

そんな感じで今はゲームに浸りきり。

いつの間にかエンドロールが終わり、画面は暗転し、音も消える。静寂が部屋を包み込む。

「また一個終わっちゃった…」

玲沙はぼんやりとモニターを見つめる。何かを成し遂げた達成感と共に、次の瞬間には再び現実に戻される。この虚無感を埋めるために、彼女はいつも次のゲームを求めていた。

「うーん、次は何にしようかな…」

玲沙はゲームライブラリのアイコンにカーソルを合わせる。数多くのゲームタイトルが画面に並ぶ。アクション、RPG、シミュレーション…選択肢は豊富だ。

「もう少し心に響くストーリーが欲しいかな…それとも、気分転換に軽いパズルゲームでも?」

ゲームを選ぶ時間が、玲沙にとっては唯一、自分の心の声に耳を傾ける瞬間だ。

彼女は、次の選択肢を一つずつ眺めながら、これから始める物語に思いを馳せる。どの世界に飛び込もうか、どんな冒険が待っているのか。それは、現実とは違うもう一つの生き方だった。



でも。


「あーあ。もうほとんど遊びつくしちゃった。」

玲沙は椅子から立ち上がり、部屋の窓に目を向ける。外の世界は彼女にとってあまり関心がない場所だったが、今はある場所が頭に浮かんでいた。行きつけのゲームショップ。新しい冒険を見つけるために、彼女がしばしば足を運ぶ場所だ。

「次のゲームでも探しに行くか…」

玲沙はフード付きのジャケットを手に取り、肩に羽織る。外に出ると、少しだけ冷たい風が頬に当たった。彼女は足早にショップへと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ