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I'm joker!!  作者: はとかぜ
第1章 チュートリアル
3/5

ep.3 基本設定

『……と、その前に、私の名前を決めていただけますか?』


「ああ、そうだった……じゃあエクスでいいか?」


『問題ありません。もし私に聞きたいことがあれば、『エクス』と、お呼びください』


 名前の登録を終え、ついに僕はプレイヤーとしての初期設定に入っていく。


 まずは種族を決めるらしい。この世界にいわゆる異形のモンスター、と呼ばれるようなものはいないらしいが、大体人の形をした、人ならざるものならたくさんいるらしく、エルフ、獣人、吸血鬼、有翼人など、選ぶ種族によって基本機能に多少の違いが生まれるらしい。


(人間は、基本全てのスペックが平凡で、生命力が他に比べて低く、成長性が段違いに高いな。難易度は1か……まあ、確かに慣れた体だからな)


 扱いやすい初心者向けといったところだろうか……成長性からわかる通り、ゲームを進めていく段階で、どんどん化けていくタイプなんだと思う。


「まあ、人間が一番良さそうだな」


『かしこまりました。種族、人間として、身体を変化させます』


「……僕は人間だが?」


『形式上です。今ゲーム内での登録を終えました。次に、ゲーム内での性別を決めていただきます。未登録とすることも可能です』


 性別まで変えることができるのか。ここまでくると現実での特徴をほとんどもみ消すことができそうだが……果たして申告なんて出来るのだろうか?


「……なら女にする。僕は徹底的に自分を偽るよ」


『躊躇無いですね……大抵は自分と同じ性別を選ぶものですが……』


 まあ、それは分かっている。僕から見れば、男の難易度と女の難易度はぜんぜん違う。男が1で、女が2だ。それは単に僕のもとの性別が男だからだ。筋力だって変わるし、女になればいわゆる胸だってある。身体を動かす感覚は全然違う。


『かしこまりました。性別、女性として、身体を変化させます』


 そうエクスが話した直後、僕の身体が変化した。


 元から細かった腕がもう少し華奢な者に変化し、胸も大きく膨らんでくるような感じがする。足も、体も、全体的に肉感が増したような感じだ。


 後は下腹部の違和感くらいか……僕の息子なんて使ったことないし、これからゲームで使う予定もないので別にいいや。


「意外にでかいんだな……」


『お望みであればスリーサイズを変えることも可能ですよ?』


「いや良い……僕はそういうの良くわかんないからさ」


 話してみてわかったが、やっぱり声帯も変化しているらしい。普通に話したら高い声しか出てこない。偽るなら口調まで変える必要がありそうだ。


 流石にその辺りの補助は無いらしい。頑張って偽れってことだろう。


「あー……えっと、それじゃあ、次に行きましょうか」


『上手いですね、中身が男とは思えません』


「嘘つきって言われてたからね。このくらいお茶の子さいさいだよ!」


『そうですね。では次に、職業を決めましょうか』


 これが今日のメインであるとも言える、職業を決めることになった。さっきはサラッとしか説明されなかったが、かなりの幅があると言っていたので、良く吟味して決めるのが良さそうだ。


『改めて説明しておきます。今から職業を選びますが、選べるのはレベルⅠにあたるもののみです。レベルを上げていくことにより、職業はどんどん進化していきますので、その派生系統も加えて考えてください』


 そう言われたので、僕は適当に『魔導士』を選んで、派生系統を調べると、レベルⅠは、普通に『魔導士』だったが、レベルⅡになると『魔導士(火炎)Ⅰ』だったり、『魔導士(水)Ⅰ』だったりと、いくつかの系統に分けられていた。


 さらに進んでレベルⅤくらいになると、それらが全て一つに収束して『大魔導師Ⅰ』となり、最高レベルのレベルⅩは、『大賢者』となっていた。


「これは……時間がかかりそう……」


『この際ですから、レベルの説明もしておきましょう。


 レベルは大きく分けて全部で10段階あります。それが今言ったレベルⅠ〜レベルⅩ、成長レベルと呼ばれるものです。それを細かくさらに細分化したものが、実質レベルとなり、その実質レベルがレベル450に達したとき、成長レベルⅩとなります。


 実質レベル1と成長レベルⅠは別物ですので注意してください』


「450!?普通のゲームのカンスト以上じゃないの!」


『……やっぱり違和感ありませんね……ある種の才能でしょうか……』


 今は関係ないだろ!くそ、やっぱり性別を変えたのは失敗だったか……今のうちから違和感無いようにしておけばいいと思ったが、もういっそボーイッシュな僕っ娘として生きていくか?


 そんなことを考えていたら、職業を選んでいた画面がいきなり動き出して、一つの職業を表示した。


『……嘘が得意なら、これが適正あるかもしれませんね』


「なになに……『幻術師』?」


『はい。いわゆる幻覚、虚構などを生み出すような類です。『魔導士』でも使えないことはないのですが、この『幻術師』は、その分野に特化しているので、たとえ『大賢者』であっても、『幻術師Ⅲ』に、この分野では、理論上勝つことができません』


 なるほど、幻覚を使って相手を翻弄しろということか。だが、これはかなり難易度が高い。難易度5とは、道理でなかなか選択肢に入らないのだろう。


 おそらく、幻覚自体に殺傷能力があるわけでは無いからだろう。精神に干渉するものだから、なんとか自殺に追い込んだりするのが正攻法だろうか。


『その通りです。こちらの職業を選んだ人間は今のところ片手で数えられるほどしかございません。そして、彼らも扱うことに苦労して、この内3人が既に息絶えています』


「とんでもないね……」


『ですが、うまく扱えたときの実力は保証しましょう。レベルⅩの『幻界の支配者』は、現実を虚構に、虚構を現実にすることができ、『大賢者』や『剣聖・極』をも上回る力が得られるでしょう


 奇怪な幻術で場をかき乱す、型にはまらない、まさしく『ジョーカー』とも言える職業です』




 得意分野を選べと言われたが、確かにこれは僕の得意にドンピシャだ。成長性も高いし、迷う必要は無いように思われる。


 だが、既にそれを選んで死んだものがいる以上、扱うのは難易度に違わず圧倒的に難しそうだ。


「1つ聞かせて……その死んだ3人は、何で死んだの?」


『……一人は『剣士Ⅰ』との高速戦闘についていけずに身体両断。


 一人は『大魔導士Ⅰ』の力により幻術を破られ焼死。


 一人はとある『大盗賊Ⅱ』のユニークスキルにより、幻術の支配権を奪われ、本名を聞き出されてゲームオーバー。


 ……といったところですね』


 予想はしていたが、改めて聞くとえげつない、一人はスピード勝負で負け、一人は完成度の甘さで負け、一人はただの初見殺しで負けた。


 ……だが、それならばおそらく、大したことはないと考えられているはずだ。僕の得意分野は間違いなく『嘘』だし、これは利用するしか無いだろう!


「……『幻術師』にしよう。それが僕の選択だ」


『……変更は不可能です。よろしいですか?』


「問題ない!」


『職業を『幻術師』として登録しました』




 ◇◇◇


『さて、まだ終わってはいませんよ。細かい容姿の設定、最後にプレイヤー名を決めて、やっとゲームスタートです』


 まあ、此処までくればこれからの生活を左右する要素はぐっと減りそうだが、かと言って容姿を面倒臭がっても、どこでボロが出るか分かったものじゃない。


 最後まで本気で決めよう。


 まずは髪色だ。ヘアスタイルも変えられるようだが、これは後回しでいい。僕の髪色は現実世界と同じ赤茶色っぽい色合いだが、当然、このままではバレる危険性がある。


 ここは1つ、僕の容姿を金髪碧眼の美少女に変えてみる。髪色を金髪に変更すると、すぐに髪色が金髪に変化した。


 髪型もボブに変更する。目の色も青色に変えて、これでどこからどう見ても僕の要素は残っていない、ただの別人に変わった。


「フッフッフ……これなら誰にもバレないね……ただ、嘘をつくのはほどほどにしたほうが良さそう……」


 嘘のキレでバレる可能性だってある。余程の事でなければ嘘をつくのは控えたほうがいい。


 後は服だ。とりあえず動きやすさを重視したいので、青地に黄色い模様が入った半袖の服とスカートを選んだ。下着は……まあ適当でいいや。


 見た目が、髪色や目の色も含めて青と黄色で統一されてしまっているが、これでヨシ!


『出来ましたか?』


「うん、バッチリ!」




『では、最後にプレイヤー名を考えて、私に宣言してください』


 最後は名前だ。これからゲーム内で使われ続ける名前。




「……フォース……うん、これでいこう」


『プレイヤー名『フォース』でよろしいですか?』


「うん、それでいいよ」


『ちなみに何で?』


「よく言うじゃない?トゥルー・オア・フォース?、ってさ。その『フォース』よ。間違っているって意味のね」


『……なるほど、良く出来ていますね』




 さあ、これで一通りの基本設定は終わった。ついに始まるらしい、僕、改め、私の大冒険が。


『あなたは今から、異世界に1人の人間として降り立ちます。


 それでは、ぱったりと死んでしまわぬよう、異世界ライフを楽しんでください』


 意識が闇に落ちる。


 そして―――――…………




 ◇◇◇




『行ってしまいましたか……新たにこの世界にやってきた少年少女は、一体どのようにこの世界を歩むのでしょうね。


 私はただ、淡々と自分の仕事をこなすのみです』

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