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彼女は鈴蘭を食べた  作者: 月詠桔梗
2/19

2.彼氏

2(彼氏)


彼女と初めて会ったのはもう…12年前。

中学一年生の時。

中学一年のクラスが同じだったの。それだけ。

でも僕も彼女もそんなに陽キャじゃないしさ

席も近くにならなかったし、ほとんど話したことないまま二年になってクラス替えをして、違うクラスになっちゃった。

でも高校は偶然一緒で、委員会も同じになって、その時ようやく認識してもらえたんだ。

その時の会話まだ覚えてるよ。

「はじめまして。委員会同じだね。よろしくね。」って彼女に言われてさ

「中学一緒だったよ。」って言ったらすごい驚かれた。ちょっとショックだったな…。

彼女の高校生活?充実してたよ。充実してた。

僕なんて勉強と部活と委員会と少ない友達との関係を保つので精一杯だったんだけど

彼女はなんかすごいモテて、誰々に告られたんだってってよく噂になってた。

勉強も常に上位にいたし、部活でも全道大会に行っててさ。…大変だっただろうな。

一回だけ、見たことあったんだ。

彼女が一人で泣いてるの。

昼休みに空き教室で泣いててさ、

でも声かけられなくて。

かけられていたら何か違ってたのかな。

わかんないけど。ちょっと後悔してる。

でも学校祭で仲良くなって、snsもお互いにフォローし合ったりなんかして。

そう、それで僕から告白して付き合ったの。

卒業式に。ふっ。いや遅いよね。

だって卒業式に告ったら、

もう遠距離恋愛確定なんだよ。

でも彼女はむしろ良かったって言ったんだ。

「近距離恋愛に慣れてからの遠距離恋愛の方が辛いでしょ。」

って。いや、そうなんだけど。

今となってはさ、彼女にはもっと思い出が必要だったんじゃないかって思うんだ。

近距離恋愛で幸せだった時の思い出っていうかさ。彼女、すごい寂しがりやだったの。

だからか、

「街でカップルを見て寂しくなった。」

って電話越しで泣いたりするんだよ。

んーまぁ重めって言っちゃそうなんだけど、

羨ましすぎると苦しくなるだろ。たぶんそれ。


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