表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

目を開けていたら

 これは、私が長期入院をしていたときの話である。


 その夜、環境が変わると寝付きが悪くなる私はなかなか寝付くことが出来ずに何度も病室のベッドの上で寝返りを打っていた。

 ごろりごろりと寝返りを打っては眠れない、眠れないと思っているとドアの向こうからガラガラというキャスターの音と、ペタンペタンというスリッパの音が聞こえてきた。

 どうやら夜の見回りに看護士さんが来たらしい、と私は寝返りを打つのを辞めて寝たふりをすることにした。

 以前に一度、寝付けなくてベッドの上に座っていたら、ドアを開けた看護士さんをびっくりさせてしまったことがあったので、それ以降は看護士さんが見回りにきたときは寝ているふりをするようにしたのである。


 隣の病室のドアが開く音がして、ああ、次は自分の病室の番だなと思っていると案の定、私の部屋のドアが開いた。

 しかし、そこで普段とは違うことが起こった。

 いつもなら入口から中の様子を伺って、異常がなければそのままドアを閉めて立ち去っていくのだが、その時に限っては病室の中に入ってきたのだ。

 はて、なにごとだろうかと思いつつも寝たふりをして目を閉じていたのだが、なんとなくこちらの顔を覗き込んでいるような気配を感じる。


 どれくらいそうしていたかは分からないものの、暫くしてその看護士さんは病室を出て見回りへと戻っていった。

 何事だったのだろうか、と思いつつ目を開けて起き上がるものの、特に何かあった様子でもないので私は首を傾げていた。


 それ以降は見回りに来た看護士さんがベッドの側まで来る、ということはなかったのでますます不思議ではあったが、異常がないかしっかり確認をしてくれたのだろうと、特に気にすることではないと思うことにした。



 その後、私は無事に退院したのだが時折、ふと思うことがある。

 もし、あの時に目を開けて相手を見ていたら、目を合わせていたら、どうなっていたのだろうかと。

 看護士と思っていた存在が、もし看護士ではなくこの世のものですらなかったとしたら……今頃自分はどうなっていたのだろうか、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
昔から「好奇心は猫をも殺す」と言いますが、目を合わせなくてよかったですね。 こういうシチュエーションは、スルースキルの有難みが改めて実感出来る状況と言えますね。
これはかなりゾクゾクしました。 目を開けていたらどうなっていたのでしょうね。 目を開けないという些細な選択が運命を分けたのでしょうね。
ひんやりするお話でしたね 真相は闇の中……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ