動けない
ふと思いついた不思議な話や怖い話を不定期に投稿します。
一話一話がとても短いです。
その体験をしたのは、祖父が亡くなった後のことだから既に私が社会人になって働いていた頃だったように思う。
ある日、眠っていてふと目を覚ました瞬間、窓の外から強烈な気配を感じて私は身動きが取れなくなってしまった。いや、動いたら何か悪いことが起きるのではないかと思い、動くことが出来なかったという方が正しいだろうか。
意識ははっきりとしていて、心臓がばくばくと強く脈打ち、口の中が渇いてからからになっていくのを感じていた。
それからしばらくの間、その気配は窓の外にあり続け、いつ消えてくれるのだろうかと思いながら微動だに出来ない時間が過ぎ去っていった。
ようやく気配が消えたとき、どっと冷や汗が出てきて深い呼吸をしてどうにか落ち着こうとしたのを覚えている。
あの強い気配の正体が何だったのか、もしあの時、指の一本でも動かしていたらどうなっていたのか、今も分からないままである。
だが、恐らくではあるが分からない方が良いのだろうと、そう私は思う。
これは私が実際に体験したことを少し脚色しています。
結局、あの気配は何だったのか、知りたくもあり知りたくもなし。