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ハゲのお嬢様と狼男

Twitterのタグ企画で、SSを書くことになりまして、今回は、ハゲ、狼男をテーマで挑戦してみました!!

嫌いだった訳じゃない。けれど、あの人を見ているとイライラした。どんな時でも飄々とし、ヘラヘラ笑い。そのくせ本当の心は明かそうともしない。

だから、壊したかった。

ぐちゃぐちゃに崩してみたかったのだ。


***


それは、定例の晩餐会にて起きた。


出席者は、王太子並びにその兄弟と婚約者一同、そして国王夫妻。テーブルに着いていたのは総勢10名の王族と貴賓達だ。いつものように淡々と生ぬるい感じで会食が始まったかのように見えたが…


「ジュディに贈り物がある」


皆は一斉に声の持ち主である国王に顔を向けた。

誕生日を二日後に控えた王太子の婚約者ジュディ・ヘーゼル。女神の再来と名高い彼女の為に特別に用意された食前酒。

運ばれてきたそれは、珍しい色のシャンパンだった。


「幻の果実甜瓜から作られた希少なものらしい。とても芳醇で甘いのだとか」


どんよりした翠色のそれは、甜瓜(メロン)の果肉というより、どう見ても毒蛙の身体を彷彿とさせるもので、炭酸の泡すらその背中に抱える透明なイボに見えた。


しかし、皆は口を噤む。

不穏な憶測で場の雰囲気を台無しにするような勇者は現れなかった。

事なかれ主義達は1人残らず即席の笑顔を浮かべ、彼女を祝福したのである。


やんごとなき身分の方々からの拍手に包まれて、ジュディは優雅に会釈し、グラスを掲げる。


そして、中身を豪快に飲み干した。



***



「メインデッシュのお肉の筋が硬くってね、ナイフを入れるのに往生したの。あんまり切れないものだからちょっとイラッとして、いっその事、歯で噛み切ろうと思ったのよ。それがさぁ、嘘みたいに弾力があってね、粘る粘る……糸切り歯が折れるかと思ったわ」

「それで、漸く噛みちぎった衝撃で髪の毛が飛んだと……」

「飛ぶは言い過ぎよ。後ろに抜け落ちたのよ。バサッと」


ジュディはサバサバと説明すると、頭をツルリと撫でた。見事に頭髪だけが抜け落ちた肌は、太陽の光をキラキラと反射している。

グランケはそれを一瞥し、長い足を組んだ。


……思ったより普通だな。

さぞ、みっともない様になったのだろうと期待していたが、そうでもなかった。


「伯爵から、君が落ち込んでいるから慰めてやってくれと頼まれて訪問したのだが。まったく気落ちしてる様子がないな」

「一応、3日間は落ち込んだわよ。だけど、毛を取り戻す手立ては一切ないんだもの。諦めるしか無いでしょ」

「……この国において豊かな頭髪は女神の加護を意味すると聞いている。美人の条件であると。何をおいてもそれが優先されるそうだな」

「まあねぇ~お陰様で持て囃される人生だったわ。王太子妃にまで抜擢されちゃったしね!」


ジュディは類まれな髪色の持ち主だった。

淡いストロベリーブロンドの髪は艶やかに波打ち豊かに腰まで広がり……それはもう、見る者が全て息を呑み、たちまち虜になる美しさだったのだ。


「て、ことは、今の私って……」

「究極のブサイクにございますね」


赤毛のメイドが横から口を挟む。

どうやらこのメイドは、敬語を使ってさえいれば礼儀を果たしているものだと誤解しているようである。


「究極……何だかかっこ良いわね!ウスハ!」

「究極という形容は色々使えますね!」


彼は咳払いをした。グレーのメッシュの入った前髪が揺れる。まるで筆で縁取られたかのように輪郭のハッキリした青の瞳が、鋭い光を伴いジュディへ向けられた。


「女神の再来だと囁かれた君がそのシンボルである髪を失う。それにより起こるであろう最悪の事態が予想できるだろう?不安じゃないのか?」

「だって、私は何も悪くないもの」

「……毒を仕込んだ犯人は、まだ見つからないのか?」

「そうみたい。あの場では王からの贈り物とされていたけど、提案したのはロミオ殿下だったそうなの」

「お前のフィアンセが?!」


身を乗り出すグランケを横目で見つつ、飄々とジュディは続ける。


「それで、ロミオ殿下から頼まれてシャンパンを用意したのは第二王子のデミオ様、デミオ様から相談を受けて紹介したのはフィアンセのエリーゼ様で…特注のグラスを用意したのは第三王子ヨシオ様のフィアンセ、ルーベラ様のご実家のお抱え硝子アーティストとかで……えー、そしてシャンパンを作った醸造家は、かつて王妃のボーイフレンドだったとかなんとか……」


なんとも複雑な背景に眉を寄せるグランケは、その深く刻まれた皺を揉む。


「途中で混入された疑いもあるだろう」

「シャンパンは完全に未開封だったそうよ。給仕も無罪ね。目の前で注ぐところを見てるもの」


ジュディはクスクスと笑い声を立てる。


「見るからに怪しい色のシャンパンだったわ!内心飲むのは躊躇したの。だけど、誰も止めてはくれなかった。だから一気に全部飲み込んでやった!」


そして、フンッと鼻を鳴らした。


「何が女神の再来よね?笑わせるわ!なんの奇跡も起きないし、加護も無い」


ジュディは憤って見せる。グランケはテーブルに両肘を立て、組み合わせた指を弄ぶ。そして、暫し逡巡した後、口を開いた。


「ジュディ、実は、頭髪を復活させ……」

「幸いさぁ!抜け落ちた髪は殆ど残ってたの。後方に一纏めにして盛ってたから散らばりもせず、こう一塊になってね。これって幸運なのかな?女神の御利益?はっはぁ!」


グランケは口を噤む。その人間離れした美しい横顔がしゅんと萎える貴重な様を、ウスハが目敏く見つけてニヤニヤと笑う。


「実は明後日、王宮に呼ばれてるの。今後のことについて大事なお話があるそうよ。お父様からは抜け落ちた髪で作った鬘を被って行くように言われてるけど」


ジュディはグランケの真似をしてテーブルに肘を立てる。そして、両手で頬を受け止めて、グランケに視線を合わせた。


「でもね、抜け落ちた途端感じる、この他人感、物質的な感じ、何なのかしら……不思議よね?」

「ジュディ、君は再び髪を生やしたいと思わないのか?」

「さあ……?でもね、あの髪のメンテナンスには物凄く手間とお金がかかってたのよ。起きている時間の三分の一は奪われていたし、風や日光に晒すことを禁じられていたから満足に外出も出来なかった。こうやって外でお茶を飲むことでさえね!」


そう言って嬉々として空を見上げるジュディの顔はあどけなく、出会った頃の彼女を思い出させた。グランケの胸がキュウと締め付けられる。


やがて、蜻蛉が飛んできて、ジュディの頭に止まった。


「おい……虫が止まったぞ」

「好きにさせておいて。パン屑を撒いていると小鳥も止まるのよ。栗鼠も行ったり来たり。糞を落とされても拭き取れば綺麗になるし」

「……」

「グランケはいつまでこっちにいるの?」

「三日ほど」

「久しぶりにガオちゃんに会いたいわ」

「……」


グランケはそれには答えず頬杖をついて横を向いた。


「だって、三日後は満月でしょ」



*****



「お嬢様、グランケ様が奥の園でお待ちです」


ウスハがランタンを提げて部屋を訪れると、ジュディは出窓のカーテンを全開にして煌々と輝く満月を鑑賞していた。ウスハの言葉にバッと振り返り、急いでクローゼットの扉を開けてニットカーディガンを手に取り羽織る。

ウスハの差し出すランタンに、手を伸ばしつつ呟いた。


「今夜はランタンが必要ないほど月が明るいけれど……」

「道中月が見えぬ所も通ります。お持ち下さい」


ランタンを提げて渡り廊下を歩いていく主人の後ろ姿を見送りながら、ウスハは満足そうに微笑んだ。


***


生垣の影に身を屈めながら、グランケはジュディを待っていた。

そっと、膝に置かれた手を見る。

それは銀白色の毛に覆われ、指の先からは黒く細長い爪が伸びている。表を返せば、同じく毛むくじゃらの海から濃灰色の肉球が島のように浮かんで見えた。

グランケはため息をつく。

幼い頃、ここでジュディに出会い、変身した姿を見られた。

ジュディは怖がりもせず、狼の姿になったグランケに突進してきた。


「モッフモフぅ~ガオちゃん、よぉし、よぉぉーーーし!」


耳の後ろと首をワシワシと指で搔かれ、柔らかな身体を擦り付けられた。


軍事国家である隣国で代々将軍を務める名家の嫡男であるグランケは、遥か昔、先祖が人狼と闘った際に受けた呪いを引き継いでいる。満月の夜になると狼男に変身してしまうのだ。

月に怯え、満月が近付くと森に身を隠す(ついつい遠吠えしてしまうから)

そんな生活に幼いながらも疲れていたグランケは、僅かも自分を恐れぬ少女に救われ、同時に、その可憐な姿に心奪われた。


あれから15年余り……

いずれは結婚を申し込みたいと、遠距離をものともせず隣国にある伯爵家にせっせと通っていた。

しかし、思春期に差し掛かる頃から気持ちと身体の制御が困難になり、ジュディを傷付けないようにとの配慮から足が遠のいてしまう。


その隙に、まさか王太子に奪われるとは……!


強靭な肉体と底なしの体力は歴代に並ぶものなしとの評価を受けているグランケだが、その性質は大人しく臆病だ。ジュディは大好きだが、幸せにする自信が無い。だって、自分は狼男なのだから。その一生逃れられない負い目がグランケの勇気を吸い取っていく。


だから、諦めようと決意した。

いっそ嫌いになってしまった方が楽になれると思い、それを実践する日々。

なるべく顔を合わさず、触れさせず、ジュディの欠点ばかりを探し、嫌な記憶ばかりを思い出そうと努力した。

けれど……


「グランケ!!」


生垣をぶち破って飛び出してきたジュディに度肝を抜かれ、グランケは湿った芝生の上に尻もちをついた。


「きゃーっ!!久しぶりのモッフモフぅぅぅ」


両手を伸ばして突進してくるジュディから逃げようと尻で後退するが、程なく捕まり首に抱きつかれた。


「グランケの匂い~っお日様のにほひ~」


首筋を盛大にフガフガと嗅がれ、耳をもむもむと揉まれ。グランケは擽ったさに耐える。見下ろすと、髪のない形の良い頭に細かな葉っぱがたくさん散りばめられていた。グランケはそれを傷付けないようそっと爪で摘み、少しずつ取り除いていく。


「生垣に突っ込む奴があるか」

「だってもう絡まる髪もないんだもん」

「小枝で傷が付く。せっかく綺麗な肌をしているのに」

「別にもう良いんだもん。見掛けなんか」


ジュディは更にぎゅっとグランケに密着した。


「……ジュディ、王に謁見してきたのだろう?どういった話になった?」

「髪が抜けた事はあの時あの場にいた人物しか知らないし、他言しないように誓約書にサインまで書かせたそうよ。鬘を着用して慎重に行動するならば、なんの問題も無いって」

「つまり、王太子のフィアンセは継続……」

「ううん。辞退してきた」

「はっ?!」


ジュディはグランケの毛皮に顔を埋めたまま、くぐもった声で本日あったことを説明し始めた。


***


ジュディは鬘を掴み、空中に放り上げた。


面食らう国王夫妻と王太子、王子の前に、ツルツルの頭部を堂々と晒して見せる。

そして、高らかに宣言をしたのだった。


「私の価値は髪に非ず!このようなものに縛られて生きるのは真っ平だと気付きました。女神の加護などなくとも、私は自らの手で未来を掴んでみせます!」


***


「ばっ、馬鹿なことを!!」

「元々気が進まなかったんだもん」


グランケはジュディの肩を掴み、引き剥がす。

そして、こんこんと言い聞かせた。


「ジュディ、王妃を輩出した家となれば、この先長くヘーゼル家は優遇される。しかし、名誉な申し出を断ったとなれば、真逆の未来が待っている」

「……知ってるわ。お父様も覚悟を決めたって言ってる。この先は実力で勝負するから良いんだって」

「諦めるのはまだ早い。ジュディ、俺が今夜君を呼び出したのは大事な話があったからだ」


ジュディは首を傾げ、目をキラキラと輝かせた。


「大事な話ってなあに?!」

「俺なら君の頭髪を復活できるかもしれない!」


グランケが思い切って告げた言葉に、ジュディはあからさまにがっかりし、項垂れる。グランケは慌てて言い募った。


「狼男になっているこの状態で君を噛めば、毛穴が活性化されて頭髪が復活する可能性があるそうなんだ!これは薬や呪いでねじ曲げられた部分にだけ有効な修復機能で……」

「グランケに噛まれる……」

「もちろん、出来るだけ痛くはしないように努力するつもりだ!」

「そりゃあグランケには噛んでもらいたいけど……」

「そうか……えっ?!噛んで……貰いたい?!」


ジュディはもじもじと身体をくねらせている。


「身体中噛み跡をつけてもらったって構わないんだけど……」

「何を言ってるんだ、ジュディ。そんなには噛まない。とにかく、自毛が復活すれば鬘に頼らなくても良くなる訳だから……」


ジュディは唇をキュッと真一文字にすると、グランケを上目遣いで睨んだ。


「グランケは私に髪があった方が良いと思うの?」

「俺の意見など関係ないだろう」

「ちっ」

「舌打ちするな、はしたない」


ジュディはすっくと立ち上がると、何を血迷ったか夜着の裾を捲りあげ始めた。

グランケは動転し、慌てて後退る。

そして、下着が見えそうな位置まで布を引き上げたジュディは、不遜に言い放った。


「では、内股を噛んでください」

「はっ?何故、よりにもよってそんなとこ……」

「お尻でも良いです」

「ばっ、馬鹿な!!」

「噛むほどのお肉はついてないかもだけど胸でも良いです」

「ジュディ、俺は君と伯爵家の為を思って協力を申し出たんだ。茶化すのは止めてくれ!」


すると、ジュディは裾を握り締めたままプルプルと震え始めた。

見上げた視線が落下する何かを捉え、それを追う。

ぽたりと落ちたそれは、たちまち芝生に吸い込まれていく。

それからも次々と大粒の雫が落下してきた。


「ジュディ……何故、泣くの?」


グランケは情けなくも子供のようにたじろぎ、ジュディに訊ねる。


ジュディは漸く裾から手を離すと、とめどなく涙が溢れてくる目を覆う。


「私は狼男のお嫁さんになるのが夢だったの。グランケに会ってから、ずっとずっとそう思ってきた。だけど、グランケは私を避けるようになって、触らせてもくれなくなった。だから、望まれるままに王太子の婚約者をお受けしたの」


グランケは思いもよらぬ告白に、呼吸を忘れた。


あの時、ジュディから直接王太子との婚約を知らされた時、グランケはどうした?

どう答えた?

深く傷付き血を流す心を必死で覆い隠し、おめでとうと祝福した。

決して笑えなかったけれど。

だが、ジュディは笑っていた。

だから、そんな気持ちが裏に隠されていたなど、全く気付かなかった。


「髪が抜けて最初は落ち込んだけど、直ぐに喜んだわ。これで、当てつけのようにお受けした婚約の話を無かった事に出来るって」

「何だって?」

「王太子様への罪悪感とグランケへの想いが募る一方で苦しかった……毎日どんどんと心が死んでいく心地だったわ」


グランケはヨロヨロと立ち上がり、ジュディの顔を覗き込んだ。涙を拭いたかったが、狼の手では傷つけてしまう。頬から顎を伝う涙を吸い取りたかったが、突き出た鼻の距離感が掴めない。


「ジュディ……俺は……」

「グランケが髪の毛の無い女性など嫌だと言うなら噛んで貰う。鬘だって被るわ。他の誰でもないグランケに好きになって欲しいの」

「俺は、俺は狼男で、きっとそれは俺の子供にも遺伝して……」

「私は狼男のグランケが好きなの」


ジュディは顔を覆っていた手を外すと、涙でぐしゃぐしゃになった顔を近付けて、グランケの鼻先に口付けた。



***


「それで、結局、ジュディの髪の毛は生えないまんまなの?」

「はい。グランケ様が、頭髪が復活してまた誰かに見初められたら困るからって」

「とにかく、ジュディ・ヘーゼルとグランケ・アーモンドの交際は順調な訳だね」

「この秋、ジュディ様は結婚に先駆けて隣国へ発ってしまわれる予定です」

「君は一緒に行かないの?」


赤毛のメイドは肩を竦めた。


「どうやらグランケ様に嫌われているようで」

「動物的な勘で気付いているのかもしれないねぇ」

「殿下、私を雇って頂けません?とてつもなく有能なことは、この度のことで充分解って頂けたと思うのですが?」


ロミオ王太子殿下は美しい眉を上げ、白いスラックスに覆われた足を組みなおした。


「突然部屋に忍び込まれ、提案を持ちかけられた時は、なんと無礼な人間だと驚いたがね。なんと、絶滅したと云われる魔女の末裔だったとは。確かに有能だが、駒にするには危険すぎる」


ハンターに追われ、息も絶え絶えな状態でヘーゼル家に逃げ込んだところをジュディに助けられたウスハ。

ジュディはその素性を知った上でウスハをメイドとして雇い、ハンターを退け保護した。


「今回のことは私なりの恩返しのつもりだったんですが。まあ、そばで見ててイライラして我慢ならなくなったのが一番の理由ですけど」

「理由が自分勝手な上に、頭髪が全部抜けるシャンパンなど、用いるアイテムがえげつなくて計画が大雑把すぎる。全く、ジュディほど王妃に相応しい逸材は居なかったというのに、後釜を見つけるのは相当骨が折れるぞ」

「え?王妃に相応しい?お嬢様が?あの天然お人好しが?」

「……敢えて君の企みに乗ってくれたとは思わないのか?」


ウスハは愕然と目を見開いた。

王太子は、顎を上げてウスハを見下ろす。


「魔女の末裔を匿って、狼男に恋する令嬢だぞ。その豪胆さは並じゃない。私はそれを諦めたんだ。責任は取ってくれるんだろうな?」


冷たいブルーの目を細め、唇を舐める美形の王子を目前にして、ウスハは震え上がった。


「全ての後始末をし、この国を出て再びハンターからの逃亡する日々を送るか、それとも私に隷属を誓い永遠に仕えるか、どちらかを選ばせてやろう」


ウスハは白目を剥きそうになりながら、いつかのジュディとの会話を思い出していた。


正に、究極の選択。どっちを選んでも地獄。

究極ちっともカッコよくなんかない。

助けて、お嬢様。


もう二度と戻らぬ主人との長閑な日々を思い、

ウスハは初めて自分の軽率な行動を反省した。

そして、心の中でしくしくと涙を流すのであった。



おしまい

短編なんですが、若干書き足らない部分もあり、いつか、続編かけたら良いな。という希望を込めて連載小説で登録してあります。

いつか、いつか……

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― 新着の感想 ―
[一言] ٩(๑>ᴗ<๑)۶ 楽しかったです〜!! ジュディの髪が、最後までツルっとか。 ふぁ |゜Д゜)))と、なりましたが なるほどね、なるほどと〜。 本当に、魂抜かれるくらいびっくりだけど ハ…
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