雨
三題噺もどき―ななじゅういち。
お題:雨音・水たまり・傘
雨音の響く世界で。
独り。
傘をさして、パシャパシャと歩いていく。
道のあちこちにできた水たまりを避けてみたり。
はたまた、飛び込んでみたり。
そんなことをしながら、雨の中、歩く。
雨が続いていると、寂しくなってしまうから。
何か楽しいものは無いかと、無意識に足が外に向いてしまう。
カラフルな傘をクルクル回すのは、このモノクロ世界に、色というものが無くなってしまったようで、さみしいから。
長靴も、カッパもカラフル。
街の全てが重たくて、何を見ても悲しくなってしまう。
―それでも、雨音が、少しだけ、楽しくしてくれる。
傘に当たって弾けたり、木々にぶつかったり、水たまりで跳ね返ったり。
そんな音があると、
雨の日も悪くない。
そんなことを思うのは、自分だけだろうか。