調査
「し、進展……? なんの話だ?」
突然メルが切り出した内容に、俺はまったくついていけない。
まさかとは思うが……ミルキアになんらかの調査を依頼していたのだろうか。
そう戸惑っていると、ミルキアが
「あはは……」
と笑った。
「私も《外れスキル所持者》として、好きでやってることですから。調査と言うと、ちょっと仰々しいんですけどね」
まず大前提として、メルとミルキアの出会いはまったくの“偶然”らしい。
子爵家を追い出され、ミルキアはあてもなくさまよい歩いていた。
ルーフェス家の迫害は相当にひどかったらしく、執拗に追いかけまわされていたようで……
やっと逃げ切った頃には、心身ともにボロボロになっていたとのこと。
疲れ果て、気を失っていたそのとき。
――どうしたの⁉ しっかりして!――
「ある目的」でレイドス村に訪れていたメルが、偶然にもミルキアを発見したらしい。
優しいメルは、ミルキアに王城で住むことを提案したが……ミルキアはそれを拒否。
もう人と関わるのはこりごりになったということで、こうして辺境の小屋で過ごしているという。
「だから、私がメルティーナ王女殿下の《調査》をお手伝いしてるんです。助けてくれた御恩もありますからね」
「なるほど……そういうことか……」
特にメルの行っている調査というのは、《外れスキル所持者》に関わること。
ミルキアもそう当事者だし、気になるのは当然の話だよな。
「それで……こんなところで、いったいなんの調査を?」
俺がそう問いかけると、隣に座るメルが代わりに答えた。
「ごくシンプルなことよ。この場所の近辺で……《黒ずくめの男》たちが目撃されてるの」
「…………‼」
なるほど。そういうことか。
さっきから俺も嫌な気配を感じていたが……ここらへんに、連中の拠点があるということか。
そしてその調査中に、《黒ずくめの男》にさらわれた。
クズーオやマヌーケに護衛されていながら、堂々と彼女だけが連れ去られたということだろう。
不思議に思っていた点と点が、一本の線に繋がってきたな。
俺が黙り込んでいると、ふいにミルキアが口を開いた。
「メルティーナ王女殿下と違って、私は警戒されませんから。ここに住んで、魔物を狩るフリをして……さりげなく、近辺の調査ができる。そうすることで、少しずつ敵の拠点を探そうとしていたんです」
「……なるほどな。よくわかったよ」
――となると、少々やばいかもな。
さっきの気配を感じるに、メルがこの家に入ることは見られてしまっていたはずだ。
となれば必然、ミルキアも疑われる可能性が浮上してくる。
「ルシオ、どうしたの? 急に黙り込んで」
黙り込む俺の顔を、メルが心配そうにのぞき込んできた。
「ああ……いや。なんでもないんだ。話を続けてくれないか」
「はい」
ミルキアはこくりと頷くと、俺とメルに交互に視線を向け……ぽつりと呟いた。
「それで……ついに見つけました。近くの洞窟に……《黒ずくめの男》たちが入っていくのを」
【【 重要なお知らせ 】】
いつもお読みくださり、本当にありがとうございます!
現在ハイファンタジー5位で、すこし失速するのが早く……
私もリアルが忙しいため、なかなか執筆の時間が取りにくいですが、なんとか睡眠時間を削ってでも書いていきます。
ですから、どうか……【評価】と【ブックマーク登録】で応援していただけないでしょうかm(_ _)m
※評価はページ下部の「☆☆☆☆☆」をタップorクリックで行えます。
たった数秒の操作で終わることですが、これがモチベーションを大きく左右するものでして……
私もできるだけ、時間を見つけて書いていきます。
良い結果を出せるように頑張っていきます。
星5つじゃなくても、素直に思ったままを評価していただけるだけでも嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願い致します!




