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夢の中の男の子

ずっと芸能界ものの小説を書いてみたかったんですが、ついに書くことを決心しました笑。


まだ学生なので投稿が遅れてしまうかもしれません。ごめんなさい(;ω;)




紫色の小さな花が咲いている庭。 


青い空に、風に吹かれて揺れる若緑色の木の葉っぱ。


涼しげだが、どこか夏の訪れを感じさせる。


小さな私の隣には同じ年くらいの男の子がいる。


男の子の手の中には、庭に咲いてたのと同じ紫色の小さな花があった。


男の子の顔はよく分からないけど、なんだか寂しそうな空気が漂っていた。















自然と目が覚めて、「んん」と喉を鳴らしながら寝返りを打つ。 



―何時だろう―



枕元のスマホをひらくと、5時50分。

目覚ましがなるちょうど10分前だ。



―もう一度寝よう―



10分あればそこそこ眠れるはず。布団に潜る。

だけど、頭の芯からじわじわと脳の呼吸が伝わってきて、冬の気配を間近に感じるようになる。

睡眠と覚醒のぼんやりとした中で、朝が来てしまった現実を実感する。



―外は寒いだろうな…今日は朝から雨―



そして意識は"仕事"へ。



―ああ、今日は特番の撮影だ―



耳をすますとわずかに雨の音。 

12月下旬の雨……。



―もう少しここにいたい―



ふと思う。


布団の中ってなんて心地よいのだろう。

自分の体温で温められた暑くも寒くもない空間。

まるで自分の体のなかに潜っているよう。 

誰からも邪魔されたり、咎められたりすることのない安全な空間。


スマホをまたみる。


あっという間に5分経過していた。



―でも、あと5分もある―



今日は休んじゃおうかと考えるのもこの時間帯だ。

でも、今日は年末年始の特番の撮影日。

しかも、生放送だ。

生放送では、どんなトラブルが起こるか分からない。


―あぁ、いやだな。―


番組の台本には、大御所と呼ばれるベテランのタレントさんや芸人さんの名前があったのを思い出す。何より、テレビ番組にはスポンサーや、沢山のスタッフの方々が関わっている。私1人の身勝手な行動が、多くの人に迷惑をかけることになる。

そんなことは分かってる。でも、、、



―もうしばらく、この心地よい空間で

            じっとしていたい―

 

 








ピピピピ ピピピピ ピピピピ



目覚ましがなる。


すると私は一気に女優モードに切り替わり、ガバっと起きて、冷気のなかに飛び込んでいく。


休もうかなんて考えていたのが嘘みたい。



―休めるわけないじゃん。馬鹿だな私―



でも、休みたいと思ってしまうほど布団の中は心地よい空間なのだ。









身支度を切り替え、リビングに向かう。

食卓の上には、すでに朝食が準備されていた。

私は、リビングにいる2人に向かって声をかける。



「おはよう」


「おはよう!みことちゃん、

 ご飯できてるから、さめないうちに食べね!」



朝からテンションの高いこの人はお母さん。

肩まで真っ直ぐに伸びる艶やかな髪を結び、エプロンをつけている。飾り気はあまりなくて、ぱっと見清らかな印象をうける美人だ。



「おはよう。今日は生放送だっけ?」



と声をかけてきたのは、お父さん。身長は高くて180はあるのかな?鼻筋が通っていて、シャープな顔立ち。

身長や顔立ちから、威圧感を感じるかもしれないが、目尻のシワがとても優しい雰囲気を醸し出している。

 


「うん、きんちょーする。」


「大丈夫、みことちゃんなら!!」


「そうだね。僕も応援してるよ。」


「録画もバッチリだからね!!」



「ありがとう。

それと、今日は遅くなりそうだから、夕飯は大丈夫。」


「分かったわ!」




「中村さんがいるから大丈夫だと思うけど、気をつけるんだよ」


「うん」


「そうよー!みことちゃんは今や大人気女優さんなんだから!」


「大丈夫だよ笑」 



私の朝はいつもこんな感じ。明るくて優しい2人。

でも2人は本当のお父さん、お母さんではない。

私は10年前、交通事故で本当の両親を亡くしたらしい。

わたしには6歳から前の記憶がない。

今の両親が言うには、引っ越し途中の私たち家族を乗せた車は逆走してきた軽自動車に激突されたらしい。

幸い、私に外傷はなかったが、事故のショックからか記憶を失ってしまった。そんな私を母の妹夫婦であった今の両親がひきとってくれた。

当時の私は、口数も少なく無気力で、部屋に閉じこもっていることが多かったそうだ。

(今はお父さんとお母さんのことが大好き)

そんな私が唯一興味を持ったのは、TVから流れる俳優たちの演技だった。俳優達の演技は私をワクワクさせた。私は見様見真似で演技をするようになった。そんな私の変化に気づいたお父さんとお母さんは、オーディションをうけるように勧めてくれた。そしてオーディションに受かった私は女優としてCMデビューを果たした。(まあ、その時は12歳だったから、女優というのかは分からないけど笑)

 


まあ、なにはともあれ、私は朝食を食べ終え、家を出る。



「いってきます」 


「いってらっしゃい!」






そういえば、夢の中の男の子は誰なんだろう。

紫色の小さな花を思うと、なんだか、切ない思いがこみ上げてきた。












 

 

 



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