スティールバード ー殺戮の鳥人間ー
イギリス、ロンドン市内。
夜10時頃。
1人の男性が乗用車で自宅へ帰っている。
狭い路地を走っていると…。
ドォン!
男性:「!?」
突然激しい衝撃音が…!
降りて確認しにいく。
男性:「どういうことなんだこれは…!?」
男性の乗用車の右のリアバンパーにナイフが突き刺さっている…!
男性:「誰がこんなことを…!?」
グサリッ!
男性:「ううっ!!」
男性は背後から何者かに刃物で刺され殺害される…!
翌朝に事件が発覚し、大勢の警察官とパトロールカーが事件現場に集まる。
警察官:「警部、被害者はチャールズ・マーシャルさん背中を刺されています。ところが殺害に使用された凶器がどこを探しても見当たりません。不思議ですね…。」
スマート〈警部〉:「後ろから背中を刺し、だが凶器がない、それい以外のこれといった証拠もない、しかも犯人を見たものもいない…。あまりにも手がかりが足りなさすぎる…。」
一方、市内のとあるマンション。
アレックス:「皆、遅いなぁ…。何しているんだろう…?」
数分後、
「まだ誰も来てないだろう。」、「そうよね。だってまだ時間…。」、「アレックス!?もう着いたの!?早いわねぇ!!」
アレックス:「いや、君たちが遅すぎるんだって。僕、ずっと待っていたんだもの。」
やって来たのはアレックス(20歳'男)の友人の
ハンフリー(25歳'男)
アンジェラ(24歳'女)
キース(24歳'男)
シャーロット(23歳'女)
フレデリック(22歳'男)
レイチェル(21歳'女)
である。
このマンションで会う約束をしていたようだ。
ハンフリー:「いやいや、アレックスが早すぎるんだよ!だって集合時間は13時だろ?今は12時30分だから…。」
アンジェラ:「まあまあ!そんな事よりも早くブライアンの部屋に入りましょうよ!せっかく来たんだから!」
フレデリック:「そうだな!そんな事はもう忘れてさっさとお邪魔しようぜ!」
アレックスたちは早速マンションに住むブライアン(26歳'男)の部屋へ向かう。
ブライアン:「おお!皆待っていたぜ!さあ上がってくれ!」
ブライアンが笑顔で皆を出迎える。
実は彼は1ヶ月ほど前にこのマンションに引っ越したばかりであり、友人を招き入れるのは今回が初めてである。
キース:「おおー!思っていたより広い部屋だな!」
シャーロット:「最高!いいところを選んだわね!」
アレックス:「ブライアン君。今回僕たちがここに集まった理由は、皆で君が新しい家に引っ越したことをお祝いするためだよ。ほら、皆が色々と土産を持ってきてくれたよ!」
アレックスたちはブライアンが新居へ引っ越したお祝いをするために初めて彼の部屋へお邪魔し、そのお祝いのパーティが始まる。
ピーンポーン(呼び鈴が鳴る。)
ブライアン:「何だよ楽しんでいるときに…。ごめんよ!ちょっと出てくる!」
玄関のドアを開ける。
スマート:「ああ、お忙しいところ失礼致します。私はロンドン警察のスマートと申します。」
ブライアン:「ああ、はい…。こんにちは…。」
スマート:「実は昨夜にこの近くで1人の男性が殺害されるという事件が起こりまして。現在市内で情報収集を行っているのですが、もし何かご存じであれば教えていただけませんか。どのようなことでも構いません。」
ブライアン:「ああ、市内で殺人事件があったというのは朝にテレビのニュースで見ていたので知っていましたが、テレビで知っただけでありましてそれで詳しいことは分からないです…。」
スマート:「そうでしたか…。お忙しい中失礼いたしました。犯人は現在も捕まっていませんのでくれぐれもお気をつけてお過ごし下さい。では失礼致します。」
ブライアン:「ああ、はい…。」
玄関のドアを閉める。
シャーロット:「誰だったの?」
ブライアン:「警察の刑事さんだったんだよ…。昨日の夜に殺人事件があって何か知っていることはありませんかと聞いてきてさぁ…。」
キース:「殺人事件…?そうだったのかよ…?俺は今初めて聞いたけどなあ?」
ブライアン:「しかも犯人はまだ捕まっていないから気を付けてくださいだってさ。」
レイチェル:「じゃあ私たちも気を付けないとね…。さあ皆、パーティの続きよ!」
夕方5時頃。
ブライアン:「皆!今日は本当にありがとうな!楽しかったぜ!」
アレックスたち:「こちらこそ楽しかったよ!ありがとう!」、「また遊びにいくぜ!」、「じゃあね!」
夜11時頃。とある狭い路地。
男性B:「あ~。今日も飲んだ飲んだ~。ハハハハハハッ…。」
酒を飲み過ぎて泥酔している。
泥酔した男性は途中で気配を感じる。
男性B:「え~?そこに誰かいるのか~?」
返事がない…。
男性B:「いるんなら来てみろよ~。ほらぁ…。なっ、何だ!?」
そこには凶器を持った何者かが…!
男性B:「まて…!やめろ…!来るんじゃねぇ…!」
ブスリッ!
彼は殺害される…。
翌朝。
シャーロット:「キース!おはよう!」
キース:「おお、シャーロットじゃないか。おはよう。昨日は楽しかったな!」
シャーロット:「ええ良かったわ!また遊びに行こうね!」
キース:「おう!うん…?あれは何だ?」
2人が見つけたのは新たな殺人事件の現場であり、そこに大勢の警察官とパトロールカーが集まる。
シャーロット:「本当に物騒ね…。」
キース:「あれ?あの人…!」
そこには昨日キースの自宅を訪れたスマート警部もいた。
スマート:「一体どうなっているんだ…。この殺人も全くの手がかり無しとは…。これでは解決の糸口が見えない!このままでは、 また被害者が出るかもしれない…!」
シャーロット:「あの人が昨日訪ねてきた人ね…?」
キース:「ああ、そうだよ。 どうやら今回も犯人が誰なのか分からないから捜査は難航しているようだな…。」
2人は事件現場を離れる。
シャーロット:「あら!アンジェラじゃない!おはよう!」
アンジェラ:「ああ…。キースとシャーロットじゃない…。おはよう…。」
アンジェラの様子が昨日とは違っている。
シャーロット:「どうしたの?体調が悪いの?」
アンジェラ:「あ、いや…。これ、話していいのかどうか分からないんだけど…。」
キース:「何を言うんだ!俺たちで良かったら話してくれよ!出来ることはするから!」
アンジェラ:「実は昨日…。どうしてか元恋人(彼氏)の夢を見たの…。」
2人:「…?」
アンジェラは昨夜に以前付き合っていた元恋人(彼女より1つ年下)の夢を見たのだという。
その元恋人の名前が'リチャード'であり4年前に別れたのである。
ここからはアンジェラによる回想である。
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4年前 ロンドン市内。
アンジェラ(当時20歳):「リチャード…。来てくれてありがとう。」
リチャード(当時19歳):「大丈夫だよアンジェラ!今日はどうしたの?」
アンジェラ:「私…。あなたと別れようと思っているの…。」
リチャード:「…!?」
アンジェラ:「ごめんねリチャード…。あなたは本当に良い人よ…。だから嫌いではないの…。」
リチャード:「ではなぜ…?」
アンジェラ:「貴方より好きな人がいるの…。私はその人とお付き合いしようと思って…。」
リチャード:「どういうことなんだ…!待ってくれよ…!もう一度話し合わないか…!お願いだよ…!」
アンジェラ:「もうやめてよ…!もうおしまいよ…!」
リチャード:「そうかい…。分かったよ…!別れるなら別れてやるよ!この裏切り者が!!」
アンジェラ:「え…?」
リチャード:「アンジェラ…!あの時ひとりぼっちで友達もいなくて人間不信だった僕に君が話しかけてくれて、そのおかげで自分自身にも自信を持てた!だが君は自分自身の身勝手な理由で僕を見捨てる…!僕はずっと君を信じていたんだ…!僕には君しか頼りになる人がいなかった!その人に見捨てられるこのショックは君には分かるまい!もはや僕に味方は1人もいない!復讐してやる…!必ず復讐してやるぞ!!!」
リチャードはそう言い残して走り去る。
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現在
アンジェラ:「そのあとに付き合った新しい彼氏ともすぐに別れてしまって今に至るわ…。」
キース:「そんな事があったのかよ…。知らなかったな…。」
シャーロット:「1つ気になるのが、リチャードは最後に言った"復讐する"って…?」
アンジェラ:「私にも分からないわ…。そもそも4年前のことをどうして今頃になって…?」
キース:「今日は休んだ方がいいよアンジェラ。過去のことはすぐに忘れた方がスッキリするから。」
アンジェラ:「ごめんなさい…。ありがとう…。」
夜7時頃
不良のチンピラ3人が路地で屯をしている。
チンピラA:「なあ、これからどうする?」
チンピラB:「そうだ…。この近くのゲームセンターで最新のゲーム機が入ったらしいぜ…。」
チンピラC:「そうか!それなら今夜はそのゲームを俺たちで独り占めして遊ぼうじゃねえか!」
A:「賛成!じゃあさっそく行こうぜ!」
グサリッ!
A:「うっ……。」
チンピラAの胸に刃物〈投げナイフ〉が刺さっており倒れる…!
B:「誰がこんなことを…!?」
ガンッ!
今度はチンピラBの頭が何者かに斧で割られてしまった…!
Bが倒れた直後、後ろに何者かが立っている…!
C:「来るな…!近づくなああああああああああああ!」
ザクッ!
Cは相手に鉈で首を切り落とされた…。
夜8時頃
ブライアン:「お疲れ様です!お先失礼します!」
今日1日の仕事を済ませ帰宅をする。
ブライアン:「今日は久しぶり近道でもあるこの路地を通って帰ろうか。」
彼は狭くて暗い路地を通って帰ることにする。
ブライアン:「相変わらず静かだなぁ…。ん…?」
後ろに気配を感じ振り向く。
ブライアン:「何だあいつは…!?」
後ろから何者かが追ってくる…!
走り出すブライアン!
ブライアンの足が速いため、何とか相手との距離を伸ばす!
ブライアン:「ハハッ!どうだっ!!捕まえてみやがれ!!」
このまま加速をして走り去ろうとした瞬間…!
バァン!
ブライアン:「痛ぇ…!?」
右脚の急な激痛!見てみると右の太ももに銃創が…!
相手が銃〈ダブルバレルショットガン〉で発泡したようである…!
ブライアン:「クソッ…!何て卑怯な…!」
その間に相手がどんどん近づいてくる…!
ブライアン:「…!!」
ほんの一瞬だけ相手の姿が見えた。
ブライアン:(そうだ…!これをあいつに…!)
彼は近くに転がっていた手のひら程の大きさの石を相手の頭に目掛けて投げる…!
ゴンッ!!
相手:「…!!」
投げた石は相手の頭に命中し、逃げていく…!
ブライアンは警察と救急車に通報し、すぐさま病院へ搬送された。
幸いなことに命に別状はなく、脚の中の銃弾の摘出手術も成功した。
翌日。
ハンフリー:「ブライアン!?」
レイチェル:「大丈夫なの!?」
ハンフリーとレイチェルがブライアンが襲われたという知らせを聞いて病院へ駆け込んできた。
ブライアン:「おお…!2人とも…!来てくれてたのか~!安心しろ~!俺はこの通り生きているぜ!」
レイチェル:「命が助かっただけでも良かったわ…!」
ハンフリー:「ところで、相手の顔を見たのか…?」
ブライアン:「ああ…?見たと言えば見たんだが、実はあいつは金属の仮面を被っていてな…。素顔は分からないんだよ。」
ハンフリー:「仮面…?顔を隠していたということか?」
レイチェル:「それはどんな仮面だったの…?」
ブライアン:「そうだな…。形からして鳥の頭のようだったな…。まるで鳥人間のようだったぜ。あいつはスティールバード(鋼の鳥)だな。」
レイチェル:「スティールバード?」
ブライアン:「あっ、いやいや!俺が勝手にそいつをそう呼んでいるだけだよ!気にするな!」
ハンフリー:「ハハハッ! 自分を襲った犯人にあだ名をつけるなんてブライアンらしいぜ~。」
夜7時頃。市内の路地。
女性A:「何度言わせるのよ!早く買ってきなさいよ!全く!イライラさせてくれるわね!」
女性B:「はい…。すみません…。」
気の荒い女性Aがもう1人の女性Bに買い物に行かせようとし、女性Bは買い物に出かける。
数十分後。
女性Aのもとに人影が。
女性A:「買ってきたの…?早かったわね。さあ、こっちへいらっしゃい!」
人影がゆっくりと歩いてくる…。
女性A:「へぇ!?だ、誰よ!?嫌っ!来ないで!」
バコッ!!!
女性Aは相手に鈍器〈金属ハンマー〉で頭を思い切り叩き割られた…!
その直後に女性Bが帰って来た…!
女性B:「…!!」
彼女は女性Aが殺害されていることに気づき、ほんの一瞬だけ犯人の姿が見えた。
だが犯人は女性Bの存在に気づいていない様子でその場から去っていく。
彼女はすぐに警察に通報し、警察が駆けつけ、スマート警部もやって来た。
スマート警部:「あなたが戻ってきた時には既に殺されていたのですね…?」
女性B:「はい…。見知らぬ人にハンマーで頭を叩き割られていました…。」
スマート警部:「犯人の顔は見たのですか…?」
女性B:「犯人は仮面を被っていました…。鳥の頭のような形でした…。」
スマート警部:「それは鳥の仮面で顔を隠していたということですね…?」
女性B:「はい…。その仮面は金属で作られたような感じでした…。すみません…。あまりうまく話せなくて…。」
スマート警部:「いえ、貴重な情報をありがとうございます…!」
翌日。
フレデリックとアレックスがブライアンの病室へやって来る。
アレックス:「ブライアン!大変だ!」
ブライアン:「どうしたんだよ?そんなに驚いた顔で…。」
フレデリック:「この前ブライアンを襲った犯人が鳥の頭のような仮面を被っていたといっていたよな…!?昨日にも女性1人が殺害される事件が起こったんだが目撃者の証言によるとその犯人は鳥の仮面を被っていたといっていたそうだぞ!!」
ブライアン:「!!!!!」
どうやら昨夜起こった事件の犯人はブライアンを襲った者と同一の人物かも知れないのだ言う。
彼はその連続殺人鬼に殺されるところであった。
アレックス:「それにしてもその鳥人間の連続殺人の目的って一体何なんだろう…?」
ブライアン:「そんな事、俺たちが知るかよ…。」
フレデリック:「しかもまだ捕まってねえし、危険だよなぁ…。」
しばらくすると今度はアンジェラが彼の病室に来た。
アンジェラ:「あら、アレックスとフレデリックも来ていたのね。」
ブライアン:「アンジェラ!久しぶりだな!」
アレックス:「アンジェラ?何か具合が悪そうだけど?」
実はアンジェラは昨夜にまた元恋人リチャードの夢を見たのだという。
彼女はブライアンたちに詳しく説明する。
フレデリック:「4年も前のことがどうして今になって…?」
アンジェラ:「分からないわ…。」
ブライアン:「まあまあ…。もう過ぎたことなんだし、いつまでも引きずったって仕方がないだろう。あまり考えないことだ。」
アンジェラ:「そうね…。ブライアンを襲った鳥人間、早く捕まるといいね…。」
夜7時頃。
アンジェラ:「あれ、化粧水がない…。今ならまだ店も開いてるから、買いに行って早く帰ろう…。」
アンジェラは買い物へ出かける。
30分後。
必要な買い物を済ませ、自宅へ帰ろうとする。
アンジェラ:(……? 後ろに誰かいるの…?)
気配を感じ、後ろを振り返る。
アンジェラ:「!?」
そこにはブライアンたちが言っていた"鳥人間"が立っている…!
鳥人間:「……」
鳥人間は手にナイフをしっかりと握りしめ、彼女の方へ目掛けて走ってくる…!
彼女も必死に走って逃げる!
しかし鳥人間の足が速いため、このままでは追い付かれる…!
アンジェラ:「嫌っ…!やめて…!」
スマート:「どうしましたか!?」
偶然にもスマートが近くを通りかかっておりアンジェラの悲鳴を聞き、駆けつけてきた!
スマート:「私に任せて! 止まれ!撃つぞ!〈銃を構える〉」
すると鳥人間の足が止まり、一瞬だけ2人の方にナイフの刃を向け去っていった…。
その時 鳥人間はまるで「次は絶対に殺す。」と言っているように見えた…。
スマート:「怪我はありませんか?」
アンジェラ:「はい…。ありがとうございます…。」
スマート:「どうかなさいましたか…?」
アンジェラ:「まさか…。リチャード…?」
彼女はスマートに事情を詳しく説明する。
スマート:「なるほど…。そんな事があったのですね…。まさかその彼がこの頃発生している連続殺人事件の犯人だとでも…?」
アンジェラ:「そんな…。やっぱり彼は私のことが許せなくて…。」
スマート:「奴はまた来るかもしれませんので、もし何かがあれば我々に何なりとお申し付け下さい。今夜は私があなたの家までお送りいたしましょう。」
アンジェラ:「はい…。ありがとうございます…。」
アンジェラはスマートに家まで付き添ってもらいながら帰宅した。
翌日の午後7時頃。
キース、アレックス、ハンフリー、シャーロット、フレデリック、レイチェルの6人がブライアンのお見舞いのためにそれぞれ手土産を持って病院へ向かっている。
キース:「ブライアンと会うの久しぶりだな~!」
アレックス:「聞いた話ではもうすぐ退院できるんだって!」
ハンフリー:「これブライアンの大好物〈フルーツ〉だから絶対に喜ぶよな!」
シャーロット:「皆で彼を元気付けてあげましょうね!」
レイチェル:「ねえ、ところでアンジェラは?」
フレデリック:「今日は来られそうにないんだって。だから今度は皆でアンジェラ元気付けてあげるのはどうかな?」
一同:「いいね!賛成~!」
そして病院に到着し、さっそくブライアンの病室へ向かう。
それを遠くから眺める鳥人間…。
一方、アンジェラは自宅で過ごしていたが妙な胸騒ぎがして仕方がないのである。
アンジェラ:「やっぱり皆のことが心配だわ…。私もブライアンの病院へ行かなきゃ…!」
アンジェラはブライアンのいる病院へ行くために外出した。
アレックスたちはブライアンの病室へ入り、ブライアンに見舞いの際の手土産を渡す。
ブライアン:「おお皆!わざわざ本当にありがとうな!」
シャーロット:「すっかり元気が出てよかったわ~!」
ハンフリー:「おかげでこっちまで安心したぜ!」
いつも通りの何気ない会話で楽しんでいた。
「ギャアアアアッ!」
一同:「…?」
「先生が殺された!」、「早く警察に通報しろ!」、「助けてくれ!」、「逃げろ!」
突然病室の外から悲鳴が次々と聞こえてくる…。
ハンフリー:「ちょっと見てくる…!待ってろ!すぐに戻るから!」
ハンフリーが外の様子を見るために病室を出る。
数十秒後…。
彼が慌ただしい様子で戻ってきた。
ハンフリー:「急いで逃げろ!奴だ!この病院で人々を殺している!今すぐここから出るんだ!!!」
彼曰く。今現在、連続殺人鬼の鳥人間、"スティールバード"がこの病院に侵入して大量殺人を行っていると…!
ハンフリーたちは急いで逃げる準備をする中、ブライアンはなぜか逃げようとしない…!
ブライアン:「皆は先に逃げてろ!俺が奴を食い止める!」
フレデリック:「何を言ってるんだよ!相手は凶器を持っているんだぞ!?」
ブライアン:「それが何だと言うんだ!俺はあいつからの借りを返さねぇと気が済まねぇ!大丈夫だから先に逃げるんだ!!!!!」
ハンフリーたちはブライアンに言われるがまま先に逃げる…!
キース:「うわっ!!」
廊下を出ると鳥人間が既に向こう側で立っており、ゆっくりと彼らの方へ歩いてくる…!
ブライアン:「さあ来やがれ鳥人間め!!!」
ブライアンは金属の杖を握りしめ立ち向かい、その間にハンフリーたちは逃げる…!
鳥人間を2度ほど金属の杖で殴るが鳥人間は激しく反撃!
グサリッ!
ブライアン:「うっ…!」
ナイフを胸に突き刺され、ブライアンは殺害されてしまう…!
ハンフリーの後を追う鳥人間…!
一方、ハンフリーたちは病院内の倉庫へ隠れようとするがアレックスが錯乱状態となり、彼1人だけでトイレの方へ駆け込む!
キース:「待てアレックス!!!」
彼は聞く耳を待たずにトイレの中へ入っていく…!
フレデリック:「仕方がない!早く中へ!」
結局キース、ハンフリー、フレデリック、レイチェル、シャーロットの5人で倉庫へ隠れることに。
それから約1分後、
コツッ、コツッ、コツッ、コツッ、
歩く足音が…。
必死に息を殺す5人…!
コツッ、コツッ、コツッ、コツッ、
足音が通り過ぎだようで聞こえなくなった。
5人:(やった…!助かった…!)
5人の緊張がなくなり安堵する。
彼らが倉庫を出ようと扉を開けようとした瞬間…!
ドバァアアアアアアアアアアアアン!!!
5人:「…!?」
突然扉が外(廊下)側から勢いよく開き、そこには銃を持った鳥人間が立っていた…!
バァン! ズドン!! ドーン!!! バキューン!!! ボォン!!!
5人は鳥人間の手により無惨に銃殺された…。
夜9時頃。
アンジェラが病院へ到着した。
アンジェラ:「え…! どうして…!?」
病院内はひどく物が散乱しているうえに、既に鳥人間に殺害されたと思われる人々の遺体もたくさん倒れている…。
彼女は生存者がいないか探し始める…。
「アンジェラ…!」
アンジェラ:「…!! あ、アレックス!」
声が聞こえた方へ振り向くとアレックスがトイレから姿を現した。
アレックスは彼女が来たことに安堵する。
アンジェラ:「ねえ…!皆はどうしたの…!?無事なの…!?」
アレックス:「いや…。皆は… 死んでしまった…。あいつに殺されてしまったんだ…!」
アンジェラ:「そんな…!!」
アレックス:「ごめんなさい…。僕は皆を助けられなかった…。あの時、混乱していたせいで自分1人で逃げてしまった…。」
アンジェラ:「あっ!アレックス!後ろ!!!」
後ろを振り向くとすぐ後ろに鳥人間が…!!
アンジェラ「早く一緒に逃げるわよ!!」
彼女はアレックスを連れて建物の奥へ走る!
鳥人間も2人を追う!
2人は手術室へ入る…!
アレックス:「そうだ…!良いことを思い付いた…!」
しばらくして鳥人間も手術室へ入る…。
しかし手術室には誰もいない…。2人を探す鳥人間…。
「…!!」
アンジェラが見つかってしまう!
鳥人間がナイフをしっかり握りしめアンジェラを刺そうとした瞬間…!
アレックス:「食らえっ!!!」
グサリッ!!
別の場所に隠れていたアレックスが手術室のメスで鳥人間の背中を思い切り突き刺す!!
鳥人間:「……」
今度はアレックスに襲いかかる!
アレックス:「おい!何をする!離せ!」
アンジェラ:「アレックス…!」
彼を助けるために鳥人間に後ろから手をかける!
すると鳥人間の仮面が外れた…!
アンジェラ:「!!!!!!」
鳥人間の素顔は身に覚えのある顔であった…。
そう…。アンジェラの元恋人"リチャード"であった…!!
再びアンジェラに襲いかかる!
アレックス:「クソッ…!くたばりやがれ!!!」
グサッ!
彼はリチャードの背中に刺さっているメスを更に奥へ刺す!!
リチャード:「うっ…!!!」
リチャードは倒れる…!
倒れたままで起き上がろうとしない…。
アレックス:「や… やったぞ…!」
アンジェラ:「今のうちに外へ…!」
2人は倒れている隙に病院の玄関へ歩く。
そして玄関にたどり着くとそこには病院からの通報を受けた警察が駆けつけており、スマートも来ていた。
スマート:「2人とも!大丈夫ですか…!」
2人は警察が駆けつけて来たことに安心し、病院を後にしようとする…。
2人:「…!?」
後ろから気配を感じ、振り向くとリチャードが立っている…!
リチャードは激しい怒りの表情で、ナイフを握りしめて2人に襲いかかる…!
スマート:「伏せろ!〈銃を構える〉」
スマートの声で咄嗟に地面に伏せる!
バァアアン! グシャ…!
リチャード:「…!?」
スマートが発泡し、放たれた弾丸はリチャードの胸に命中する…!
バタンッ!
リチャードは胸を撃たれ、その場に倒れ、今度こそ息絶えた…。
スマート:「2人とも!もう大丈夫だ!」
2人:「刑事さん…!!」
無事に助かった2人はロンドン市内の警察署で保護されることとなった。
数日後…。
市内の公園のベンチに1人で座り込むアンジェラ。
そこへアレックスがやって来る。
アンジェラ:「あら、アレックスじゃない。元気?」
アレックス:「うん、おかげで元気だよ。アンジェラは?」
アンジェラ:「私も何とか元気よ。ありがとう。」
2人で会話をはじめる。
アレックス:「まだ辛い…?」
アンジェラ:「ええ、少し切ないわ…。でもこのままじゃダメよね…。」
アレックス:「リチャードのことだよね…?僕もブライアンたちが死んでしまってまだそれが受け入れられないよ。」
アンジェラ:「リチャードは自分自身が言った通りに私に復讐しに来たんだわ…。だってあの時、私にだけ凄く強い恨みが込められた目をしていたんだもの…。」
アレックス:「そうなんだね…。でもどうして他の無関係な人たちまで…?」
アンジェラ:「あの人は幼い頃から控えめな性格で、友達もいなくて、重度の人間不信で、頼れる人がいなかったのよ…。それで私以外の人間をも敵だと考えてたくさん殺していたに違いないわ…。」
アレックス:「人間不信か…。とても辛かったんだろうな…。でも、どうして鳥の仮面なんかをつけていたんだろう…?」
アンジェラ:「実はあの人は鳥が大好きな人だったのよ…。確か子供の頃は鷲を飼っていたり、家には鳥の図鑑や写真集がいっぱいあって…。それで好きな鳥の仮面を…。」
アレックス:「なるほど…。鳥が好きだったんだね…。あ、あれ…。」
2人の目の前には飛んできたたくさんのハトたちに餌をあげる人がいる。
アンジェラ:「そう…。彼と付き合っていた時、彼と一緒にハトに餌をあげていたわ…。あのように…。あの頃はとても楽しかったわ…。」
そしてハトたちは大空へ羽ばたき、飛んでいった…。
〈終〉