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死んだら神様がいた

リッカが死ぬ前、ユータローが死んだ時に、話はさかのぼります。

 今、俺は、いつか見たあの場所にいる。


 そして目の前にいるのは、ニヤニヤ笑っているあのジジイ神だ。そして、俺達は向かい合って白いソファに座っている。


「無事、人生を謳歌したようじゃの。どうじゃった? 良い人生だったか?」


 相変わらず、変なジジイだ。ずっと天から見えてたくせに。なぜ俺に言わせる?


「……まあ……悪くは無かったが……エレンと結ばれなかった事だけが残念だ」


 そのようにジジイ神に言ってやった。


 これは全く本心だ。それ以外は、色々あったが、結構楽しい人生だった。


「まあ、そうじゃろう。そこでそんなアンタに、お客さんが来ておるぞ?」


 そう言うと、ジジイ神は「いらっしゃ〜い」と言って誰かを呼んだ。


 何もない空間から扉が現れ、出てきたのは……エレンだった。


「え……エレン!」


「うふふ……人生お疲れ様! ずっと私、あの世から見てたからね!」


 そう言って俺に飛びついてくるエレン。ガッチリと抱きしめる俺。鼻に入ってくる、エレンの髪の香り。


 ああ大好き好き好き好きだぁ……エレン……


 横でニヤニヤしながらジジイ神が見てるが、もうどうでも良い。


 抱き合うのを少し緩め、手を肩の上に回したまま、エレンは俺に話しかける。


「ずーっと見てたのよ? バッツさんとも見たりしてたわ。あそこのリッカと飲んでた場面、こっちも二人でドキドキしながら見てたんだからね! どうなる? 告白行くのか? 行かないのか? 何てバッツさんと話しながら!」


「ええ……そうなのか? そんなとこまで見てたのかよ……」


「そうよ……。 ねえ、あのさ、リッカとだったら……私、許してたよ? こっちは死んじゃってるんだし、ユータロー、まだ子供もいなかったんだから……」


「そんな事言われても……」


 そう、俺は結局、リッカに秘めていた恋心を墓場まで持って行く事が出来た。彼女には、何も言わなかった。なにもしなかったのだ。


「今だから種明かししちゃうとねぇ……実はリッカもね、ユータローの事、心の中では好きになってたんだよ?」


「えっ……そうだったのか? 全然気づかなかった……」


「そうなんだよ? だから、ユータローとリッカだったら、こっちに来るまでの間くらい、二人が引っついても許してたけどなー、バッツさんも言ってたよ? ユータローとだったら許してやるか……って」


 何これ、超恥ずかしいし、気まずいんですけど。リッカが死んでこっちに来たらどんな顔して会えば良いんだ?


「リッカに今度会ったら、どんな顔で会えばいいんだ……」


 俺がそう言うと、エレンは笑って答えた。


「普通にしてれば良いのよ。リッカがこっちに来るまで、あと何年かあるらしいから、その頃には落ち着いてるでしょ、それより……」


 そこで言葉を終えると、エレンは俺の方をじっと見つめる。


「これからは、ずっと一緒……て事で良い? 私と一緒にずっと」


「もちろん、これからはずっと一緒にいよう。エレン。愛してる」


 気が付くと、俺たち二人は唇を重ねていた。


「ん……感動の再開のところ、邪魔するが……」


 あ、そうだった。横にジジイ神が居たんだった。声のする方に顔を向けると、ジジイ神がニヤニヤしながらこっちを見ている。


「何だよジジイ……こっちはいいとこなんだから……」


「全く、神に向かってジジイ呼ばわりとは、全く前から変わっとらん……まあ良い。お主達のこれからの事なんじゃが……」


「俺たち二人の?」


「うむ。 お主たち、もし良ければ、ワシの下で働いてみる気は無いか? 天使の数が足りてなくてのぅ」


「天使……って、アドンみたいな?」


 エレンがそう尋ねると、ジジイ神は首を縦に振る。


「そうそう、あれじゃ。あんな感じで人間を導く仕事なんじゃが……どうかのう?」


「俺はちょっと……あのパンツ一丁ってのは……」


「私も、あんな風に頭を剃らないといけないのは、ちょっと……」


 俺達二人からそんなことを言われ、慌てて否定するジジイ。


「あ、いや、あれはあいつが好きでやっとる事じゃ。別に服を着てもいいし、髪型も自由じゃ。お主たちの今のままで問題ないぞ?」


「あ……そうなんだ。なら、二人一緒で仕事して良いなら考えるぜ、なあエレン」


「そうね、ユータローがそう言うなら、それで私は良いわ」


「もちろん、お主たちはカップルでの採用予定じゃ。では、これからはよろしく頼むぞ」


「うん、分かった。これからはあんたが上司って訳か。よろしく頼むぜ」


 これからは天使になって働く……か。それも結構楽しいかもしれない。エレンと一緒だし、これからの事が楽しみだ。


 エレンが、俺を見ながら聞いてくる。


「ねえ、ユータロー、もう気が付いてる? あなた、チョコを出す魔法、もう使えなくなってるのよ?」


「え……? そうなんだ?」


 そう言われて、チョコを出してみようとしたが、確かに出来なくなっていた。そうか……生きている間だけなんだな、あの特別な力は。


「えへへ……だから今日ね、私がチョコレート、準備しておいたよ? 今日、ユータローと会えるって神様から聞いてたから」


「そうか、じゃあせっかくエレンが俺のために準備してくれたチョコレート、もらっちゃおうか」


 そう言って俺たちは、ジジイ神の方を向いた。


「じゃあ、取り敢えず俺達、今日は二人で過ごすよ。また明日からな」


「うむ、天使の務め、しっかり覚えて励んでくれよ。さっきエレンが入って来た扉から、お前たちの住む天界に行けるからの」


「うん。分かった。色々と有難うな。じゃあ、また明日」


 エレンと一緒になって、二人で扉を開けて出て行った二人を見送った後、ジジイ神はつぶやいた。


「ふふっ、あの二人なら、ゆくゆくはこの世界を任せてみても良いかもしれんのぅ…」


 そう呟く神の顔は、チョコでもさっき食べたかのように、甘く微笑んでいた。

これでおしまいですが、最後にみんなのその後を書いて完結です。

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