落とし前をつける
俺がチョコの攻撃を一旦やめ、そして、投降してくるようにリッカが呼びかけると、大人しく銀色のドラゴンは防御を解き、背中に乗っていた帝王・ケンイチと、その仲間たちが、両手を上げて降りてきた。
俺は、降伏してきた帝国の皇帝・ケンイチと、生き残っていた残りの奴らを、取り敢えずゴーレム君で捕まえ、確保した。残りの奴らは、どうやらケンイチの取り巻きで、特に重要人物でもないようだ。まあどうでも良い。
銀色のドラゴンも、翼をたたんで大人しくしている。多分このドラゴンは、頭も相当賢いんだろうな。できれば味方に欲しいほどだ。
さて、問題はこいつだ。俺は、目の前でゴーレム君に押さえつけられているケンイチを見つめた。
俺は、きっちり落とし前はつけるつもりだ。
「おい、ケンイチ」
「……」
ケンイチは、何も答えず、俺の方に顔を向けた。表情からは、多少の恐怖が見え隠れしているそしてそれを隠そうとしている事も、表情からは伝わってくるなあ。
「色々とお前に言いたい事は有るんだが、取り敢えずひとこと言わせろ」
「……何だ」
「お前、大したことないな……失望したぞ」
そう言われて、ケンイチは顔を真っ赤にして何か言いたそうだったが、何も言わなかった。
あの時、マハールに言われた事だ。きっちり言い返してやったぜ。
「そして、そんなお前に、きっちり仕返しはさせてもらう」
そう言いながら俺は、体にチョコをまとわせる。チョコは、俺の身体に合わせて変形し、パワードスーツみたいになった。
そして、俺の両手には、チョコで出来たボクシンググローブ。
その間に、ケンイチを押さえていたゴーレム君は十字架の形に変形し、ケンイチは磔の体制になる。
「な、何をする気だ……!」
「安心しろ、殺しはしない……」
そして俺は、ケンイチの腹に強烈なボディーブローを打ち込んだ。
「ぐぶっ……」
チョコのパワードスーツによって強化された力でぶん殴られ、ケンイチの脇腹から肋骨が折れる音が聞こえる。
しかし、俺はその手を引く直前、そのまま回復魔法をケンイチにかけた。おかげで、俺が手を引いたあとは、傷はしっかり治っている。
そして、もう一発! 今度は、顔面にパンチを食らわす。
「ぶぐっ!」と変な声を出すケンイチ。
もちろん手を引く前に回復魔法だ。手を引けば、やはり傷は無い。
しかし……身体に痛みだけは残っている。
打撃! そして回復! これを繰り返す。
「うぶっ! ぐうっ! ブペッ……」
腹を、顔を、肩を、首にパンチを打ち込むっ!
打撃! 回復!
さらにまた打撃! 回復!
ケンイチに、何発もパンチが打ち込まれるが、ケンイチに怪我は無い。ただ痛みと苦しみが続く。
打撃っ! 回復! 打撃! 回復!
ドガッ! バキッ! メキャ! ブチョッ!
「ううっ、ぐうっ、もうやめべっ、だずげべっ!」
情けないやつだ。マハールは命乞いなんかしなかったのにッ!
打撃!回復!打撃!回復!打撃!回復!打撃!回復ゥ!
いくぜ! 貴様にはこうするって前から決めていたっ!
仲間の分まで、徹底的に貴様を痛めつけるッ!!
打撃回復打撃回復打撃回復打撃回復ゥゥゥ!!
喰らいやがれェッ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアァァッッ!!」
ボコドカバキメキョゲボベキィっ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアアッッ!!」
無限にパンチを打ち込み、そして回復ッ!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアッッ!!」
そして最後の何発かは、もう回復魔法はかけないっ!
「オルァアア!!」
ドゴオッ! ベキィ! グチャアッ!
「あぶゃあああっっ!!」と情けない声をあげ、目から、鼻から、口から、股間から、血や涙や鼻水、その他あらゆる汁を出し、許容範囲を完全に超えた痛みを喰らい、十字架上で痙攣して、ボコボコになって口から泡を吹いているケンイチ。
よっしゃ! スッキリ決まったッ!
仇は討ったぜぇっ! エレン!
多分、次かその次で終わりです




