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戦いは続く

  魔獣やら、魔物やら、虫たちの大群に向けて、ゴーレムの小隊――15体のゴーレムたちが、それぞれ走って接近していく。


 敵の数は、それこそ無数に居る。このあたり一帯の全ての動物達が敵にまわっているようだ。野にいる魔物や魔獣は少ないとはいえ、広いエリアから集めたのであろう、ここにいる数は凄いことになっている。


 普通に考えれば、多勢に無勢であるが、さて、どこまでゴーレム君たちはやってくれるか?


「さて、私達のゴーレム君ですが、核を潰されると停止してしまいます。しかし、逆に言えば、核がやられなければ、長時間動き続ける事はもちろん可能なわけですから……」


 ディオスが横で話をしているうちに、敵の先陣とゴーレム君たちは戦闘開始となったようだ。


 ゴーレム君たちは、それぞれしっかり自分で判断して、適切に状況を見ながら戦うことが出来る。15体のゴーレムは、どうやらそれぞれ3体ずつ、5つのチームに別れたようだ。


 敵の攻撃はチョコの身体には有効な打撃にはならず、こちらの熱いチョコ攻撃は、確実に敵に火傷を追わせ、打撃を与えていく。


 ゴーレム達は、身体をくねらせて攻撃をかわしつつ、手を触手のように伸ばしたりして敵に触れ、高熱の身体を活用して攻撃している。


「敵を高熱で火傷を負わせつつ、ある程度有利に戦うことができるはずです。しかし、敵にも有効な攻撃方法はあり、それは例えば、体全体を押しつぶすような攻撃、または魔法やブレスなど、広範囲を一気に攻撃できるような方法なら、私達のゴーレムにとっても脅威です。しかし……」


 とかディオスが言っているうちに、後方で控えていた赤いドラゴンが、いきなり口を開いたかと思うと、ゴーレムに向けて高熱のブレスを放った。


 巨大な火の塊がゴーレム達に向かって飛んで行ったが、我がゴーレム君達はそれを素早く移動して、うまいこと躱したようだ。かえって敵に多少被害が出ている。


「おおっ、うまく避けたでゲスね」


 アドンが感心するところに、ドヤ顔のディオスが説明を続ける。


「クックックッ……そう、要するに、当たらなければ良いわけです。そして、あのゴーレム君たちは判断もしっかりしてますし、動きも相当速いですからねぇ、そう簡単には当たりませんよ?」


 こっちのゴーレム達が、そう簡単にやられないのは分かったけど、いかんせん15体。これだけの数だ。ずっと敵を倒し続けても、何時までかかるやら。


 それに、ゴーレム君たちが倒し切れなかった虫や鳥たちが、ゴーレムハイツまでやって来てる。バルコニーの窓に、虫がいっぱい付き始めた。壁や窓のの隙間から入って来たりしないか、多少心配である。


「虫たちが来てるが、侵入の心配は無いか?」


 リッカがそう尋ねると、ディオスは少し考え込みつつ答える。


「一応、毒ガスや虫攻撃も想定しており、気密性は保たれています。ですが、だからといってこのまま放置しているのも良くありませんね……メイファ!」


 いきなり呼ばれて、メイファはびっくりしたのか、ハッとディオスの方を向いた。


「はっ、はい! 何でしょう?」


「あなたの水魔法は、お湯も出せましたね?」


「あ、はい、熱湯で攻撃もできます!」


「よろしい……では、メイファ。貴女は外にいる虫を、熱湯のシャワーをかけて殺して来なさい。自分の身は氷の殻で守れますね?」


「は、はい、出来ます。出来ますけど、こんなにたくさん虫がうじゃうじゃいる中に出ていくんですか……? あたし、虫はそんなに得意じゃないと言うか、気持ち悪いというか……」


 それを聞いたディオスがニヤリと笑った。これは不味い兆候である。


「虫が苦手……? それはいい事を聞きましたよ。今度からのお仕置きには、虫も活用いたしましょう」


「あ……」


 その言葉を聞いたメイファに、絶望の表情が広がるが、しかし何故かどこか嬉しそうにしているのは、一体何なのであろうか?


「お仕置きを貰いたくなければ、外に行って仕事をして来なさい。それに……」


 ディオスはそう言うと、外を見やった。


「見えーる君たちも、到着したようです」


 外を、虫だらけの窓から見てみると、確かに鳥型ゴーレム、見えーる君が見えた。どうやらかなりたくさん来てるようだ。


 見えーる君たちが、外にいる虫をついばんで殺したり、飛んできた鳥たちを攻撃したりしている。


「さあ、これでやりやすくなったでしょう。敵の鳥は見えーる君に任せ、貴女は熱湯で虫を殺して来なさい。虫は熱湯を掛けるとすぐ死にます」


「は、はいい、分かりましたディオス様……」


 もう逃げられないと諦めたのか、メイファはまず窓越しに氷の殻を虫が入ってこないように作り、窓を開けても大丈夫なようにすると、窓を開け、その中に素早く入ってもう一つの小さな殻を作って自分がそこに入り、その殻を閉じた。


「こうなったら、もうさっさと終わらせなきゃ……」


 メイファはそう言いながらうまく外に出ると、そこから虫たちに向けて、魔法で作った熱湯のシャワーを浴びせかけた。


 熱湯でどんどん虫たちがやられていき、そしてそのまま洗い流される。おお……いい感じだ。何か見てて気持ちいいぞ。洗車してるっぽい。


 そのまま、見えーる君たちにも手伝ってもらって、ゴーレムハイツにやってくる虫たちは、とりあえずそのままメイファにお任せとなった。

 

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