束縛系
「と言う事は……メイファさん、貴女は、三年前のあの日、私に良いイメージを持っていたが、帝王ケンイチを裏切ってまで助ける気は無かった。しかし今、私達がケンイチに対抗できると見て、こちらに乗り換えよう……そう考えている、それで宜しいですかな?」
「まあ……ぶっちゃけて言うと、そうなる……ね」
ディオスの質問に、メイファが答える形で、会話は進む。
「あの時、私に警告してくれた時、貴女がもう少し具体的に話してくれれば、私達の仲間は死なずに済んだのかも知れないのですがねぇ……」
「あの時は、あの程度までしか言えなくて……それ以上の事を話して、それがケンイチに聞かれたら、さすがにまずかったから……」
「ふむ……全く、保身に余念がありませんねぇ……貴女という方は」
「そう言う性格でね……人生、慎重にやってかないと命がいくつあっても足りないから……」
「そうですか……それにしては、良く此処に一人で乗り込んで来られましたねぇ……何か策でも有るのでしょうか?」
「いや……こればっかりは、勝負というか、何と言うか……賭けに出るしかないと思ったから……」
「勝負……?」
ディオスが、首を傾げる。
「そ、そう……。女には、時として……プライドも見栄も捨てて、この男だ! と思ったらなりふり構わず、取りに行かないといけない時がある……今がその時なの」
あー。もう気持ちが言葉に出ちゃってるな。メイファ。
「と、とにかく! あたしはあんたの下につく事を決意した! 三人とも、いや、そこのユニコーンも、思う所はあるかもしれないけど、どうか手下にしてほしい! このヤン・メイファ、諜報と暗殺には多少の自信がある! 必ずお役に立つから! どうか! なにとぞ!」
そう言ってソファから立ち上がると、ディオスに向かって三つ指をついて頭を下げるメイファ。
これ、どうしよ……
迷う俺。メイファに何故か同情的な目を向けるリッカ。そして、ニヤニヤと笑っているディオス。
「そうは言われても……私はですね、貴女方帝国の人間を、皆殺しにしてやろうと思っているのでねぇ……貴女も生かしておきたくないのですが……」
「あんたの仲間が死んでしまった事は、謝る……。今後のあたしの働きで、どうか埋め合わせを……」
「埋め合わせ……生き埋めになった事のある私にとって、その言葉は禁句ですな……嫌な思い出が蘇ってくる……」
「あ……ごめん……ごめんなさい……」と、半泣きになるメイファ。
ニヤニヤしながら、土下座してるメイファを言葉で責めるディオス。何と言うか、お前……悪い奴だ……。
クックックッ……と笑いながら、ディオスは懐から何かアイテムを出してきた。ネックレスのようだが、どうもディオスが持つと怪しさ倍増である。
銀色の鎖で出来たネックレスには、何やら青っぽい、怪しい色の石が付いてる。
「もし、貴女がどうしても私達の手下になりたいと言うなら、この隷属のネックレスを着けてもらいましょう……。これは、一度身に着けてしまうと、魔力で二度と取ることが出来なくなり、私達が危害を受けると、貴女にも同じ様に危害が及ぶ、そんな素敵なアイテムですよ……。どうします?」
ディオスよ……いつの間にそんなん作ったんだ?
「……それで手下になれるというなら……着けます」
メイファがすんなりそう答えるのを見て、多少張り合いがなくなったのか、ディオスからはニヤケ顔が消える。
「ふむ……リッカ、ユータロー、これなら裏切りの心配はかなり少なくなりますが、どうです?」
「私は構わない。氷と水の魔法の使い手がこちらに付くなら、帝国にとっても痛手だろう」
「俺は……まあ、ディオスがそれで良いなら、構わないよ」
「ならば、決まりですな」
そう言うと、ディオスはネックレスをメイファに渡し、着けさせた。大人しくネックレスを受け取り、拘束されている両手で、器用にネックレスを着けるメイファ。
「メイファ、貴女は私がこき使ってやりますからね。これからは馬車馬のように働きなさい。宜しいですね?」
「はい!」
何故か嬉しそうに答える、ヤン・メイファ(29歳・独身、結婚願望強し、実はドM)であった。




