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またあっさり

 俺達の……乗ると言うか、住んでると言うか、まあどっちでもいいけど……その第二ゴーレムハイツは、とある森林地帯に差し掛かった。


 と言っても、密林っていう感じではなく、平原の所々に木がまとまって立っている感じだ。例えて言うなら……木が多いサバンナ? かな?


「さて、ディオスの話だと、ここに敵が待ち構えているそうだな」


 そう言いながら、バルコニーに立って、前の方を見ているリッカ。


「向こうになんか見えてる。あれだろ、きっと」


 そう言う俺の目に映っているのは、隊列を組んで待ち構えている兵士、そして柵、塹壕など。


 今度は前と違って、腰を据えて戦うつもりみたいだ。


「クックックッ……木陰には投石器も隠れておりますよ。そして、対ゴーレム用として、爆発系の魔法のこもった魔法石が兵には持たせてあるとの事です」


「ふっ……相変わらず、敵の情報は筒抜けだな……ディオス」


 そう言って、リラックスした微笑みを浮かべるリッカ。


「私の諜報網は完璧ですからねぇ」と言いながら、メガネをクッと上げてニヤリと笑うディオス。


「で……どうする? またチョコゴーレムで押し切るか?」


 俺がそうディオスに尋ねると、ディオスは少し笑いながら俺の方を向いた。


 いつの間にか、またユニコーンのロッキー2世がどこをどう来たのやら、バルコニーに来てる。戦いを見に来たのかな。


「いやぁ……それでも勝てはするでしょうけれど、ゴーレムたちに多少の被害が出てしまうかも知れません。それはちょっと嫌なんですよ、私は」


 そう言うディオスの顔は、あんまり嫌そうでもない。ニヤニヤしているだけだ。


「ゴーレムの核って、作るのが面倒なんですよ。魔力を込めたりして、色々作業するのに10分くらい時間もかかりますからねぇ……」


「要するに、核が勿体無いってことか」


「ええ……。まあ、そういう事です。予備の核は十分ありますけど、使わずに済むならそれが一番……ということです。核は、貴方の回復魔法では治りませんからね」


 まあ、確かに核は俺の回復魔法でも治らないな。ディオスが修理しないといけない。


 回復魔法、という言葉が出てきたので分かるかもしれないが、俺は、ソルジャーからクラスチェンジして僧侶になり、今は更にその上の上級職、"使徒"になってる。


 回復職になったのは、ディオスの勧めもあったが、やっぱりあのとき……砂で攻撃されたあの時、防御魔法や回復魔法があれば……という思いがあったのが大きいかな。


「普通のゴーレムマスターなら、核を一つ作るのに半日位はかかると聞いてるがな……」


 横では、そう言いながらリッカが笑っている。


 ディオスも、今はもうゴーレムマスターからクラスチェンジしている。


 捲簾大将けんれんたいしょうっていうクラスらしい。なんか知らんけど、物を操作したりするのが凄いクラスらしいよ。大陸にはディオス一人だけなんだって。


 そして、リッカはと言うと、ヴァルキリーっていうクラスらしい。大陸に何人かいるらしく、ディオス程じゃないけど、それでも十分強いし、珍しいクラスだって。強化に特化したクラスなんだってよ。


 俺の使徒って言うのも、大陸にはそんなに多くないけど、何人かいる。僧侶系の最高位だね。


「ですので、ゴーレムを繰り出す前に、ユータローの魔法の支援をお願いしますね」


 そう言って、ディオスは俺に頼んできた。


「ああ、分かった。空爆で支援するって事だよな?」


「そうそう。じゃ、皆さんよろしくお願いしますね」


 さて、じゃあいきますかね。


 元々無限に有るかと思う程なのに、更にリッカの強化で高められた魔力で、敵に魔法を打ち込む。


 俺が集中すると、目の前にはチョコの塊が出現し、宙に浮かぶ。


 そのチョコの塊は、だんだん大きくなりながら空を飛んで行き、敵の陣の上空遥か高くで止まった。


 大きさは、直径およそ100メートルといったところか。


 もっと大きくする事も出来るが、今はこの大きさで充分だ。


 俺が目をキッ! とする感じで集中すると、そのチョコ大玉が爆発して飛び散った。


 飛び散った熱々のチョコ弾は、地表の兵たちに降り注ぐ。


 木陰に隠れていた兵は直撃を免れたが、塹壕に潜んでいた兵や、ただそこに立っていた兵たちはそうはいかなかった。


「ぎゃあああ!」とか、「うわああっ!」とか叫びながら、チョコ弾に身を焼かれて倒れていく兵たち。


 よし、攻撃成功だ。ここはもうあれだろ、このセリフを言うチャンスだ。


「ふっ……きたねえ花火だ……」


 よし! 決まった。

 

「ユータロー……前にもこの魔法を使った時、同じ事を言わなかったか?」


「ユータロー……御自分の魔法なんですから、そんな、きたない花火とか、そこまで卑屈な表現をしなくても……」


 決まったはずなのに、何故か二人からツッコミが入る。


 まあ良い。先制攻撃は大成功だ。空から流星の様に降り注ぐチョコ弾は、敵軍に大混乱と大ダメージを与えている。多数の死傷者って感じだ。


「では、すかさずゴーレム君を投入しましょう。」


 ディオスが笑いながら話すと、頷く俺とリッカ。


 前回と同じ感じでゴーレム兵を作り出し、叫び声が聞こえている敵の陣へ、速やかに送り込んだ。


 うん、あれだな。しばらくしたら、何か全滅したな。敵将がまたいつの間にか死んでた。チョコ弾に当たらなかった敵兵も、あまり反撃する余裕無かったみたい。


 まずは、こっちの部隊は壊滅……と。次は別働隊の方だな。さっさと潰そうか。


 何だか、こっちを遠くから見てる奴が、一人いるみたいだし。


 あれは……メイファって奴だったな。

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