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復讐を決意

 ゆっくりとではあるが掘り進められていく穴は、途中から直角に曲がり、谷底に沿って掘り進め、少し離れたところでまた谷に出るようにしようということになった。


 穴掘り用のゴーレムが石を削って穴を掘り、掘り出される小石や砂を俺達が後ろの方に押し固めて、少しづつ進んでいく。


 穴の大きさは直径1メートルよりちょっと大きいくらいなので、そんなにスペースは無いが、長さは多少あるお陰で三人が横になって休むくらいの事は出来たので、寝る事は可能だった。


 ゴーレムにも穴掘りを休ませ睡眠を取ろうとした、そんな時、穴の天井方向と言うか、上を見ながら、ぽつりとディオスが口を開いた。


「二人とも聞いてください。私、これからの事を話したいので」


「……聞こう」


 そうリッカさんが答えると、ディオスはゆっくりと話し始めた。


「私は、後悔しています。……あの、ヤン・メイファとかいう女のあの一言……もっとしっかり考えていれば、あの時、帰路になにか危険があるという考えに至っていれば、この事態はひょっとすると防げたかもしれません」


「あの時か? 帰り道も気をつけろみたいな事を言われた、あの言葉か? あの言葉だけからこんな事が起きるのを予想するのは無理だ。お前が後悔することなんて無いだろうよ」


 俺がそう言っても、ディオスは首を縦には振らなかった。


「私の感じた違和感、それをそのままにしておいた、放っておいたのが駄目だったのです。もっと警戒するべきでした」


 更にディオスは話を続ける。


「私は、今後、もうこのような事は起こさせません。……ええ、そうですとも。このディオス……敵の計略にかかる事など、これからは絶対に許しませんとも」


「ディオス……」


 リッカさんが声をかけるが、ディオスは少し興奮してきたのか、話を続けた。


「敵のっ! すべての策略を打ち砕き! 計略を見破りッ! あのサイタマ帝国の奴等にっ……! 裁きを下すッ!! 罰を与えてやる!!」


 魔法の灯りだけがある薄暗い穴の中、ディオスの震える声が響く。


「なら、俺は……今よりもっと強くなるよ。ディオス」


 今度は、俺の決意表明ってわけだ。


「俺がそもそも、皇帝ケンイチに認められる程の力があれば……こんな事にはならなかったとも言える。だから、俺はもっと強くなる。もっと強くなって、帝国の奴等を叩き潰して、死んだ皆の、そしてエレンの……無念を晴らすッ……!」


「それなら、私も思う所がある」


 今度は、リッカさんの番か。


「そもそも、私がサイタマ帝国に行く前にもう少し良く調べてみれば、もしかすると、このような事態は避けられたかもしれない。それに、マハールから誘われた時、もっと冷静でいるべきだった。私は、もっと指揮官として成長しなければならない。あの時、バッツに言われたのだ……リーダーならしっかりしろ、怒ってても生き残れんぞ、とな」


 あの時バッツさんから言われてたのは、そんな事だったのか。


「私は、もう狼狽えない。大局を見誤らない。そして……あの皇帝に勝つ。死んだ皆、そしてバッツの仇は、必ず取ってみせる」


 どうやら、三人とも今後の目標は決まったようだ。


 俺達三人は、サイタマ帝国を叩き潰す。


 そして、あの皇帝ケンイチを倒し……死んだ仲間達の仇を、必ず討つ。

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