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また集合で

 さて、俺達は今、サカタの町の酒場に居る。テーブルには、俺、エレン、べミオン。そしてサカタの町に先に戻っていたリチャード、モゲロさん、バッツさん。そして、その同じテーブルに、王都に向かったはずのディオス、リッカさんも座っている。


 あの八人でまた集まり、酒場でテーブルを囲んで飲んでいるのだ。


 一体、なぜこうなったのか?


 話を少し戻すと、それは、俺達がユニコーンを連れて、町外れまで戻った時の事であった。


 町外れまで戻ったエレンが俺達に報酬を渡し、いざ王都に向かおうとしていた時、俺は一緒に付いていくつもりだったので、そこで町に向かうべミオンと別れ、エレンに同行することを申し出た。


 もちろん報酬は無しで、だ。ここで別れたくなかったからね。


 エレンはそれを喜んでくれて、二人で王都に向かう事になり、べミオンと別れの挨拶をしていたときだった。


 王都の方からディオス、リッカの二人組がやって来るのが見えたのだ。


 二人は俺達のところまで来ると、開口一番、二人揃って俺達に言った。


「王都が……もう落ちてた……」


 そして、俺達は今、事情をリッカ、ディオスに聞くため、近くの酒場に行ったところ、そこで飲んでたリチャード、モゲロさん、バッツさんを見つけ、こうして8人揃ってテーブルを囲んでいると言うわけだ。


 ちなみに、リッカさん、エレン、ディオスの三人は、今は浪人という扱いらしい。仕える国が滅んだので、在野の人材にでもなった感じだろうか。


 と言うわけで、ニイガタ王国とはもう敵同士では無くなってるので、三人はここサカタの町の酒場でも問題なく酒を飲める状況のようだ。


 酒場の横の馬をつないでおくスペースには、2頭のユニコーンが仲良く並んでエサを食べている。そしてそのまた横には、ディオスが肩に乗ってきたのであろうゴーレムが、糸の切れた操り人形のように足を投げ出して、地面に座っている。


「さて……じゃあ、話を聞かせて。リッカ」


 テーブルに肘をつき、手を顔の前で組み合わせながら、エレンはリッカに尋ねた。その顔からは、ガッカリした表情が見て取れる。


「そうだな……順を追って話そう」


リッカが話した内容は、大まかにいうと次の通りであった。


 リッカ、ディオスが急いで王都へと向い、一日かけて王都に着いてみると、ヤマガタ王国は戦いが既に終わってしまっていた。


 王都で知り合いに会い、どうなったのかを聞くと、ヤマガタ王国は殆ど戦いもせずに、敵が迫るとすぐに降伏してしまったとの事。


 王とその家族は捕らえられ、新しいニイガタ王国の将軍が統治を速やかに引き継いだので、現状、特に混乱もなく平穏であるとの話であった。


 現在、元ヤマガタ王国の兵は続々と投降し、ニイガタ王国軍に再編成されているところで、今ならヤマガタ王国の兵は厚遇するからニイガタ王国軍に入るべし、と呼びかけがあっているが、リッカさんはニイガタ王国軍に属するのを良しとせず、エレンに合流すべくここにまた戻って来た、と言う事であった。


 そんな話を聞きながら、俺はぼんやりと、「くっ……退くぞ!」とか言ってるリッカさんを想像していた。本当に言ったりはしてないだろうけどな。


「そっか……じゃ、私も浪人になっちゃったか……ざんねん……」


 そう言うエレンに対し、


「私は、別にニイガタ王国の兵になっても良かったのですがね……」


 ゴーレムマスター・ディオスは、どうもリッカさんにつきあわされて、ニイガタ軍には士官しなかったと言うか、出来なかったらしい。


「ディオスよ、居心地の悪い立場で、無理して敗軍の兵として働くくらいなら、潔くさっぱり軍から出てしまったほうがましとは思わないか? 私はそう思う」


「ふっ、あんたらしい、思い切りの良い決断だとは思うけどな、この後どうするんだ? なんか士官のあてでもあるのか?」


 横から口を挟んだのは、バッツさんだ。


「うむ……当面は、私も傭兵として生計を立てていこうと思っている」


 リッカさんがそう言うと、


「傭兵かぁ……なら、私もそうしようかしら……リッカとはもう7年の付き合いだからね……」


 エレンも、それに答えた。


「とりあえず、私も軍の経験を生かして、そうしようとは思っています」


 ディオスも、しばらく傭兵で稼ぐつもりのようだ。


 じゃ、ここにいるみんなはみんな傭兵になるのかな。


「そして、私は……いずれ将軍を目指そうと思っている」


 えっ? という顔で皆が見つめる。


 その先にいるのは、今爆弾発言をしたリッカさんだ。


「私は、傭兵から身を起こし、賢明な王の元で将軍として働くことを望む。それが、私の目標なのだ。私は、将軍になる!」


 うおお……すごいな。海賊王に俺はなる! みたいにキリッと言われてしまうと、なんかリッカさんなら成れそうな気がしてくるな。


「なんか……凄えな」と感心するモゲロさん。


「志の違いを感じるぜ……」と、なんだか妙に感化された様子のリチャード。


「ふーん……なら、私も付き合おうかな……私、リッカに付いていくよ。リッカ、本当に将軍になれそうな気がするし」


 そう言うエレンに、バッツさんが提案した。


「ならよ、傭兵団を組織したらどうだ? リッカがリーダーでな。そしたら俺も入るぜ」


「俺も、ヒトリデ傭兵ヤッてるヨリ、チームデヤッタホウガイイな。俺もイレテクレ」


「なら、私もその傭兵団に入れてくださいな。一人より生存率も報酬も良くなりそうですしね」


 べミオン、ディオス両氏も前向きだな。


 そして、ここは当然、俺も入るぜ。エレンがいるんだからな。


「俺も入る! なあ、みんなリッカ団に入ろうぜ! ここにいる八人で始めよう!」


 俺がそう言うと、リチャード、モゲロさんも、「一人で傭兵やるよりは効率いいしな」と言う事で、入ることに決めた。


 こうやって、傭兵団である『リッカ団(仮)』が誕生したのであった。名前は、いつかきちんと付けようということで、とりあえずその日は終わった。


 ちなみに、新しいユニコーンの名前は、エレンが、"ロッキー2世"と名付けた。前に乗ってたユニコーンが、ロッキーって言う名前だったからだって……。良いのかそんな適当な名付けで? エレン?

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