本当にこの子がアレになるのだろうか?
何だか書いているうちに日本語が分からなくなって来ました。
尊敬語とか謙譲語とか、ただでさえ苦手なんです。言葉遣いや言葉の使い方が間違えてたら指摘してやってください。(指摘の際は小学生で習いますよ、とかは付け足さないで下さいね(T-T))
よろしくお願いします!
「昨日は失礼致しました。今日からエレン様の侍女を勤めさせて頂きます。カルペパーと申します」
前世の記憶を取り戻してぶっ倒れてしまった翌日。
この儚い少女からどんな罵詈雑言が飛び出すのかと震えながら、私はエレン様に頭を下げていた。
――あの悪役令嬢なら、即解雇とか言いかねないわ。
前世では散々エレン・パーシヴァルに手を焼かされていた私はそんな事を考える。
しかし、返ってきたのは予想もしない言葉だった。
「良いのよ。身体は大丈夫だったの?」
予想もしていなかった私の体を気遣う言葉に驚く。
「はい。もう何ともありません。ご心配をおかけしました」
驚きを隠して申し訳なさそうな表情を作り、もう一度頭を下げる。
頭の中には疑問符が舞っていた。
私が心の中でだけ首を捻っていると、ノックが響き、部屋の扉が開く。
「エレン様、先生がお見えになりました」
先輩の一人が入ってきて恭しく頭を下げるとそう言った。
その言葉に、私は昨晩わたされたエレン様の1日のスケジュールを思い出す。
今日はピアノのレッスンと魔法の勉強、剣術。その後に昼食を挟んで帝王学の勉強だったはずだ。
――ピアノと魔法は分かるけど、剣術と帝王学って令嬢に必要なことかしら?
随分とハードなスケジュールだと思いながらも、自分がやるわけではないのでまあ良いかと、ピアノのある部屋までエレン様を案内する。
先輩が部屋の扉を開けエレン様が中に入るのを確認してから私も中に入り先輩とともに壁際に立った。
エレン様の侍女になった先輩は三人で、私を混ぜると全員で四人いるが、今私の隣にいるのは一人だけだった。
おそらく他の二人は他の仕事をこなしているのだろう。
私はチラリと先輩を見上げてから正面に向き直りエレン様がピアノを弾き始めるのを見つめた。
エレン様がすっと背筋を伸ばし、ゆっくり鍵盤に両手を乗せる。
その指先が動き出すと、私は思わず息を呑んだ。
――凄い、綺麗な音。
初めて聞くエレン様のピアノは極上の音色だった。
レッスンなど必要ないのではと思ってしまうほどの腕前に、驚くよりも聞き惚れる。
――そういえば、エレン・パーシヴァルはピアノが得意だったわね。
ふと思い出したゲームの設定に、やはりこの少女は悪役令嬢なのだろうと改めて思った。
ピアノのレッスンが終わると先輩が先生を見送ることになった。
必然と私がエレン様を部屋まで送ることになる。
教室を出てエレン様の後ろに控えた。
エレン様が歩く後ろに続く。
「ねえ、あなたアガサ・カルペパーだったわよね?」
突然エレン様に声をかけられ、油断していた私の肩が跳ねた。
気取られないように、はい、と返事をする。
私は一体何を言われるのだろうと身構えた。
「小さいのに随分としっかりしているのね。年は幾つなの?」
前を向いたままエレン様が言ったことは予想外のものだった。
「ありがとうございます。九つです」
素直にお礼を言って質問に答える。
しっかりしているのは当たり前だ。中身は成人している上に、メイド長から厳しい教育を受けたのだから。
「私の三つ下なのね。ねえ、アガサと呼んでも良いかしら?」
エレン様の言葉に私は驚く。
これでエレン様には何度驚かされただろう。
――私が勝手に驚いているだけだけど。
「勿論でございます。お嬢様」
あの悪役令嬢なら許可も取らずに勝手に呼びそうなのにと思いながらも、笑顔で答える。
それにしても、何故わざわざ名前で呼びたがるのだろうかと疑問に思った。
しかし、今はそんな事よりもエレン・パーシヴァルの年齢が分かったことの方が重要だった。
ゲームのスタートはエレン・パーシヴァルと同じ年のヒロインが15歳の時。
つまり、エレン様が私の3つ上で12歳という事は後3年後だ。
――これが後3年であんな悪そうな悪役令嬢になるのか……。
よかった、と私の答えに嬉しそうに言いうエレン様を見て残念に思う。
今はまだ悪役令嬢の面影はなく、メイドの私に気軽に命令以外でも話しかけてくれるような、気さくで素直な少女と言った感じだ。
「アガサ、侍女と主人という関係だけれど、せっかく歳が近いのだもの。何か困った事があった時は遠慮なんかしないで私に言いなさい。力になるわ」
後3年かー、などと呑気に考えていた私は、突然振り返りそう言ったエレン様に驚いて足を止める。
ぼうっとしていたのに突然振り返られたという事もあるが、衝撃だったのがその前に発せられた言葉だ。
――あのエレン・パーシヴァルがこんな言葉を言うなんて!
驚いてエレン様を見上げる私に、彼女は優しく微笑むと前を向いて再び歩き出した。
エレン様が何歩か歩いたところで、はっとして慌てて後に続く。
――本当にコレがアレになるの⁉︎
まるで天使と悪魔ほどの違いがあるではないかと、心の中で叫んだ。
勿論、上辺はお約束の考えを悟らせない笑みだ。
主人が見ていないとしても、どこで誰が見ているかわからない。
仕事が終わるまではどんな時も隙のないメイドでいなさい、とはメイド長の言葉だ。
それを守るため、私はメイドスマイルを張り付け背筋を伸ばしエレン様の後を優雅に追い掛けた。
どれくらいの長さで1ページにするか迷いますね。
数字が算用数字と漢数字で纏まってませんがご愛嬌ということで許して下さいm(_ _)m