悪役令嬢には傷一つ残させません
久しぶりの投稿になります。
忙殺されてました。週休1はつらいですね……
一応全体読み直しをして書いていますが矛盾や設定が、あれ?みたいなことになっていたらごめんなさい。
エレン様の手を包んだ私の両手が淡く光る。
「よし。反対の手も見せて下さい」
すっかり傷の無くなったエレン様の左手に頷き、反対の手も治そうと手を伸ばした。
「大丈夫よ、かすり傷だわ」
しかし、エレン様が手を後ろに引いた事で私の両手は空を掴む。
怪我をしているのに治さなくていいと言うエレン様に、私は唇を尖らせた。
「ダメです!痕が残ったらどうすんですか。それに、私が学園について来られたのはエレン様が怪我や病気をした時に治せるからなんですよ」
そう言ってエレン様の手を無理やり取る。
再び淡い光が手を包んだ。
「ありがとうアガサ。でも、これくらい怪我の内に入らないからこれからは大丈夫よ」
傷が消え去った両手を見てエレン様が困ったように笑う。
「ダメです!せっかく綺麗な肌なのに。エレン様の体には私が傷ひとつ残させませんっ」
私は学園について来たからにはの意気込みを伝えると拳を握った。
「奥ゆかしくて従順だったアガサはどこに行ったのかしら」
ベッドに腰掛けたエレン様が呟いてため息をつく。
そんなの前世の記憶を取り戻した時から去って行ってましたよと心の中で答えた。
「ところでエレン様。この後クラスに移動ですが、その前に制服を綺麗なものと交換しましょう」
エレン様の侍女が私しかいない今、私が着替えを手伝うのだろうとクローゼットから新しい制服を取り出す。
琴乃だった時は他人の着替えを手伝いたいと思ったことはないが、メイド見習いだったアガサの私にとって主人の着替えを手伝うというのは憧れだったため自然と笑顔になる。
しかし、現実は無情だった。
「ありがとう。着替えは一人で出来るわ。アガサはクラスで必要なものを用意しておいて」
エレン様は私から制服を受け取ると、そう言って部屋から追い出した。
「憧れの仕事その①が……」
私は呆然と閉まるドアを見ていたが、すぐにハッとしてクラスで必要な道具を取りに自分の部屋に向かう。
スケジュールを確認して筆記用具を持つとすぐにエレン様の部屋へ戻った。
読んでくださっている方ありがとうございます。
なかなか更新できませんが頑張ります。m(__)m