悪役令嬢確定イベント?
今回短めです。
地面に衝突しそうになり、目を見開き右手を大きく前に伸ばすヒロイン。
その手が掴んでいるのは驚愕の表情で振り返るエレン・パーシヴァルの制服のスカートだ。
まさに転倒する直前と言ったスチルは躍動感があった。
ゲームではそのままスカートを破ってしまい、それが原因でエレン・パーシヴァルに目をつけられることになる。
――あっ!だからどのルートでもエレン・パーシヴァルが障害として出てきたのね。
私は思い出した事実に成る程と頷きかけてハッとする。
のんびりと回想している場合ではなかった。
要するにこの出来事はエレン様が悪役令嬢になる為のイベントと言っても過言ではない。
目の前ではゲームのスチルとは違いエレン様が押し倒されているが、これはスチル後に起こった事でエレン様の制服は既に破られているかもしれなかった。
「エレン様っ」
私は慌ててエレン様に駆け寄る。と言ってもほんの数歩だが。
「怪我はない?」
「は、はい。貴女が庇ってくれたおかげで」
しかし、私の心配を他所にエレン様は優希ちゃんを心配する言葉を口にした。
優希ちゃんも、ゲームの中とは違う台詞を言いエレン様にお礼と謝罪をしている。
どうやら、ゲームとは違い転びそうになった優希ちゃんをエレン様が受け止めようとして2人揃って転んだらしい。
なので勿論エレン様の制服は汚れはしたが破れてはいなかった。
「エレン様っ、お怪我はありませんか⁉︎」
私の慌てた声に、優希ちゃんはアッ、と声を上げて素早く立ち上がる。
「すみません!いつまでものぼってて」
優希ちゃんは顔を赤くしながらエレン様に右手を差し出した。
エレン様は一瞬戸惑いを見せたがその手を握り立ち上がる。
「大丈夫よ。貴女も、怪我がなくて良かったわ」
エレン様は私の問いに答えると優希ちゃんにそう言って微笑んだ。
「次からは気を付けなさいね」
エレン様は優希ちゃんにそういうと背を向ける。
それをハラハラと見つめていた私はエレン様に、行くわよ、と言われて慌てて返事をした。
「あれ?エレン様、手から血が出てますっ」
エレン様を部屋に案内して振り返ると、彼女の手から血が出ていた。
何故すぐに気付けなかったのかと自分を心の中で叱咤しながらエレン様の手を取る。
そのまま目を閉じてエレン様の傷が治るように祈った。
これから短めにして投稿していこうと思います。