プレミア試写会パートⅡ
ただことではない、
熱気が、
劇場内に、満ちていた。
ブザーが鳴った!
舞台あいさつの・・始まりである。
まばゆい照明の中に、
監督、
出演者、
そして・・最後に・・笹森汐が登場。
場内が、わいた!
汐は舞台上で、
発光していた!
それは・・
スターだけが持つオーラであった。
「ほぉー!」
涼は、
目を瞠った。
司会の女子アナに紹介される、汐。
少しく、
照れ笑いを浮かべ、
白い歯を見せ、マイクに向かった。
監督の可愛がり(しごき)は、
いかなるものだったのか?
しょっちゅう脚本を書き換えてしまうので、
セリフを覚えるのに・・苦労したこと。
役作りで・・激論をかわしたこと。
ゲリラ・ロケを敢行して、
警察ざたになったこと。
など、
リアルな表現にユーモアを混じえて・・語った。
スピーチ全体に、
余裕が感じられた。
監督、スタッフ、共演者へ、
感謝の意を述べ、
スピーチを結んだ。
「うむ。洗練された話しぶりだ」
感心する、涼であった。
話術は、
長足の進歩を、
遂げていた。
盛大な拍手。
監督のスピーチは、
汐に対する、
返し歌の形を・・とった。
「脚本を、
しじゅう書き換えたのは、
主演女優が、
日ごと成長し、
変化していくので・・
そうせざるをえなかったこと。」
「変更を加えていかなければ、
映画は、
生きたものにはならない!」
「ゲリラのようなロケ撮影は、
主演女優の、
演技を超えた、
インパクトのある表情が、
どうしても、
欲しかったゆえである。」
「(なるほど・・
裏事情をきけば、納得だ!)」
汐は、
特撮映画の怪獣のような監督を、
横目で眺める。
「(しかし・・NGを連発して、
ドレスアップした私を、
12回もプールへ飛びこませたのは、
絶対に・・
監督の・・
ご趣味に・・違いない!)」
関係者全員のスピーチが終了した。
お次は、
入場客 お待ちかねの・・アトラクション。
主演女優の投じるボールを、
キャッチしたひとは、
笹森汐と、
ツーショットの記念撮影ができるという、
汐ファンには・・ゴキゲンな企画!
司会者の呼びかけに、
劇場内の体温が上昇する。
女子アナから、ボールを受け取り、
汐は舞台前方へ・・進み出る。
全身にスポットライトを浴び、
絶妙の間をとり・・
・・ひと呼吸置いてから、
右うでをグルングルンまわす。
オーバーアクション全開!
デモンストレーションで、
笑いを誘い、
観客を楽しませたところで・・本番。
流れるようなフォームで・・ボールを投じた!
ボールは宙を切り、
< 一直線 >
まっしぐらに、
涼の胸元へ、飛んできた。
スパッ!とキャッチした・・涼。
客席からは、
まばらな拍手と・・ブーイング!
案内嬢に付き添われて、
ギコチない調子で、舞台へ向かう、涼。
舞台までの、
短い階段をのぼり、
中央まで、歩いていく。
まばゆいオーラを放射する、
堂々とした汐が、
右手を差し出して、
迎えてくれる。
握手を交わした。
続いて・・記念撮影。
涼は、
ごく・・ふつうに並んで、
撮影すると思っていたが、
・・違った。
主演女優は、
涼の腕に、
自分の腕をからませ、
小さな頭を、
彼の左肩に、
ちょこんと乗せた。
ブーイングのヴォリュームが、
ドカン!と上がった。




