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汐坊の『哉カナ』   作者: カレーライスと福神漬(ふくじんづけ)
18/103

鈴木サユリ

 翌日よくじつ午前ごぜん10ぎ。

 


 りょういそあしで、

 ペントハウスをてエレベーターにりこんだ。

 きょうは、

 オーナーが組合くみあい会合かいごうで、

 不在ふざいのため、

 昼夜ちゅうやとおしで、

 事務じむしつはいらなければならないのだ。


 フロントかい停止ていし

 エレベーターのとびらひらく。


 昼番ひるばん鈴木すずきサユリが、

 おきゃくに、

 深々(ふかぶか)あたまげて、

 謝罪しゃざいしている姿すがたはいってきた。


「たいへんもうわけございません!

連絡れんらくちがいがございまして。

本当ほんとうに、ご迷惑めいわくをおかけいたしました。

かさねてゴメンなさい」

 

 カップルのおきゃくは、

 はげしくはらてていたが、

 サユリの真摯しんし応対おうたいに、

 しだいに、態度たいど軟化なんかさせていった。


「ホテルの評判ひょうばんとしたくなかったら、

以後いご・・同様どうようのことがないよう、をつけなさいよ!

あっというひろがるよ。ネット社会しゃかいは!」


 そうって、カップルは矛先ほこさきをおさめると、

 チェックアウトしていった。


 サユリは、

 もう一度いちどふかあたまげる。

 

 別名べつめい・・「火消ひけしのサユリ」

 ボヤ程度ていどのクレームなら、

 わけなくおさめてしまう。


 自身じしんつ、

 アンビアンスを理解りかいし、

 上手じょうず利用りようしていた。


 自己じこ主張しゅちょうかんじさせない外見がいけんと、

 ブラウンのふんわりしたながかみが、

 ものに、

 とてもやわららかい印象いんしょうあたえた。

 どことなく・・

 ルノアールの絵画かいがおもわせる。

 

 ひとに、不快感ふかいかんあたえないところ、

 あたま回転かいてんはやさ、

 しょかたなどは、

 サービスぎょういているといえる。


 接客せっきゃくうでは、

 南平なんぺいくらべても、見劣みおとりはしなかった。


 標準ひょうじゅん体型たいけい

 タマゴがた色白いろじろかおに、

 ドンピシャリのメガネルック。


 薬学部やくがくぶかよ大学だいがく生。


 ルノアールじょうに、

 こえけるりょう

「なにがあったんだい、サユリちゃん?」


清掃せいそうのおばさんが、かんちがいしたんです。

チェックアウトのまだんでいない客室シングルを、

うっかり、マスターキーでけてしまって。

昨日さくじつ

シングルルームをダブル使用しようったでしょう。

カップルは・・その・・

男女だんじょのデリケートな時間じかん邪魔じゃまされて・・

ずかしかったみたいです」

 をふせる、サユリ。


「またか!

ステイ・アウトのチェックシートを、

よく確認かくにんするようにと、

先日せんじつったばかりだ」


主任しゅにん

しゅう一回いっかいは、

おなじようなミステークがきています。

清掃せいそうひと不注意ふちゅういめるより、

事態じたい未然みぜんふせぐ、

措置そちこうずるほうが先決せんけつでは?

さきほどのお客様きゃくさまからもわれましたが、

やはり・・

ドアガードをつけるべきではないでしょうか?」


「うーむ。

ツインルームは全室ぜんしつ設置せっちしたんだが、

予算よさんや、

管理かんり問題もんだいかんがえると・・」


「いまのところ、ツインルームでは、

とくだん 問題もんだいきていません。

リスクヘッジも大切たいせつですが、

客様きゃくさまに、

快適かいてき空間くうかんるという、

設楽しがらき本来ほんらいのコンセプトを、

こわさないためにも、

早急そうきゅう検討けんとうをおねがいします」


 のサユリじょうは、

 わりあい自己じこ主張しゅちょうがハッキリしているのです。


 外見がいけん物腰ものごしから、

 くみしやすいタイプにられがちだが・・そうではない。

 しんがしっかりしており、

 性格せいかくまれにくいタイプである。



 まわれみぎをして、

 早足はやあしで、

 喫茶室きっさしつかう、

 設楽しだら主任しゅにんであった。



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