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汐坊の『哉カナ』   作者: カレーライスと福神漬(ふくじんづけ)
13/103

サクセス


 女優じょゆうであり、

 ディージェーであり、

 バラエティーもこなせる・・いわゆるマルチタレント。

 

 はにかんだような笑顔えがおと、

 しろが・・チャームポイントの十七歳。


 トレードマークのヘアスタイル、

 「しおりぼうカット」(黒髪くろかみのショートカット)は、

 おおくのフォロワーんでいた。


 とりたてて美形びけいでもなく、

 セクシーなボディーラインのもちでもない、

 笹森ささもりしおりつよみとは?


 有識ゆうしきしゃによって、

 さまざまな分析ぶんせきこころみられた。


 ひとこと集約しゅうやくすれば、

 ━〈きのしない〉━

 これに、

 きるということ・・らしい。


 CMなどでリピートされても、

 アレルギー反応はんのうこらなかった。

 

 不思議ふしぎなことに、

 何度なんどでも「その姿」を見たくなるのだ。


 短期間たんきかんで、

 人気にんきものになったタレントにありがちな、

 ・・としあな・・

 「きられる」とか「拒絶きょぜつされる」こともなかった。


 ある評論家ひょうろんかが、

 いみじくもった、

 「まるで・・浸透圧しんとうあつのようなパワー」


 どうやら、

 まれ特質とくしつが、

 しおりには、

 そなわっているらしかった。


 ネットじょうには、

 はや時期じきからスレッドがち。


  しおりぼうは、

「オナペットきではない」

    VS

充分じゅうぶんける」

  

 による・・論争ろんそうが、

 勃発ぼっぱつし、

 いまなおつづいている。


 この論争ろんそうは、

 見方みかたによっては、

 とても示唆しさんでおり、

 彼女の、

 主演しゅえん映画えいがが、

 公開こうかいされる以前いぜんについてだけえば、

 否定ひていの意見のほうが、


 「しおりぼう」というニックネームをつ、

 笹森ささもりしおり本質ほんしつに・・よりせまっていた。



 彼女かのじょ主演しゅえんする、

 テレビの時間じかんドラマ、

 『おつだいさんはた!』シリーズは、

 サスペンスの老舗しにせ

 日曜にちようワイド劇場げきじょうささえる人気にんきのコンテンツ。


 平均へいきん視聴率しちょうりつ14パーセントだいかせぎ出していた。


 現在げんざいまで、

 三本が制作せいさくされており、


 次回作じかいさくである、

 『おつだいさんはた4/避暑地ひしょちきたナゾの連続れんぞく殺人さつじん

 お手伝てつだいさんの華麗かれい推理すいりえる!』


 ながったらしい副題ふくだいのついた脚本ホンは、

 すでに完成かんせいしていたけれど、

 主演しゅえん女優じょゆうの、

 映画えいが撮影さつえい(かけもち不可ふか)のためペンディングされていた。

 


 事務所じむしょないでのランクもがった。

 ギャラも、

 ウソのようにきゅう上昇じょうしょうした。

 

 とくにCMのギャラ・・

 しろネコの「おかあさん」キャラで有名ゆうめいなスマホ (ほか2社)が、

 ・・莫大ばくだいであった。

 

 デビュー三年目。

 笹森ささもりしおりは、

 わずか十七歳にして、

 成功せいこうれたのだった。


 自分じぶん成功せいこうもさることながら、

 しおりにとって、

 大変たいへんよろこばしかったのは、


 左近さこんさんが、

 聖林プロダクション・マネージメント部門ぶもんの、

 ふく責任者せきにんしゃ係長かかりちょう』に昇進しょうしんしたことだ。


 当分とうぶんマネージャーぎょうも、

 しおり専属せんぞく継続けいぞくされるらしく、

 二重にじゅう目出めでたかった。


 さっそく、

 左近さこん係長かかりちょうさそい、

 甘味かんみどころで、

 二人ふたりだけの祝杯しゅくはいげた。


 クリームみつまめからはじまって、

 メニューの八割はちわりを、

 フルコースのようにべつくした。


 おだいは、

 もちろんしおりち。


 かえぎわに、

 ブランドもののネクタイをプレゼントした。

 


 ときどき・・

 しおりは・・

 ひとのめぐりわせの神秘しんぴというものを、

 真剣にかんがえてしまう。


 できるスタッフや、

 ひとたちめぐまれたわたしは、

 なんてラッキーなんだろうと。


 タレントのちからなど・・ちっぽけなものだ。

 能力のうりょく発揮はっきするしてくれるマネージャー。

 優秀ゆうしゅうなプロデューサー。

 有能ゆうのうなスタッフのバックアップがなくては、どうしょうもない。

 

 (事務所じむしょちからも「3パーセントぐらいはあるかも」とおも

  オトナの努力どりょくは・・「不精ぶしょう不精ぶしょうするコトには」していた)


 運命うんめいなんて、

 本当ほんとう紙一重かみひとえ


(もし、りょうにいちゃんと出会であっていなかったら?)


左近さこんさんが担当たんとうマネージャーじゃなかったら?)


乙骨おっこつさん以外いがいひとがプロデューサーだったら?)

 

 なんと・・きわどいタイトロープ。

 偶然ぐうぜん連続れんぞくであろうか。


 ボタンのかけちがいが、

 ひとつでもこっていたら、

 現在いまわたしは・・たぶん・・ない。



 ふりかえると・・なんだかゾーっ!としてしまう。





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