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汐坊の『哉カナ』   作者: カレーライスと福神漬(ふくじんづけ)
12/103

DJアイドル


 毎週土曜の夜、

 JOMR ━ 「東京とうきょう放送ほうそう」━ をキーステーションに、

 全国36局ネットでオンエアされている、

 

 『笹森ささもりしおりのラジオかなカナ☆』は、

 

 ラジオドラマにささえられるかたちで、

 リスナーのこころをつかみ、上昇じょうしょう気流きりゅうってった。


 しおりのトークも、

 かいかさねるにつれ、

 ・・サマになってきていた。


 番組ばんぐみは、

 ━『かなカナ☆』━

 の愛称あいしょうばれるようになった。


 ラジオドラマのクオリティーは、

 たかいまま維持いじされ、

 コアとなるヘビーリスナーをやしていった。


 ラジオドラマの原作げんさくは、

 乙骨おっこつプロデューサーの趣味しゅみもあって、

 コミックにらずに、

 小説しょうせつからセレクトした。

 当初とうしょは、

 短編たんぺん小説しょうせつ主体しゅたいであったが、

 レイティング(聴取率ちょうしゅりつ調査ちょうさ週間しゅうかん)のある、

 偶数ぐうすうづきには、

 長編ちょうへんも、

 ぎわよく脚色きゃくしょくされドラマされるようになった。


 そして・・

 番組ばんぐみ開始かいし半年はんとしの、

 レイティングに放送ほうそうされた、

 名作めいさくミステリーのドラマ


 『幻影げんえいおんな』が決定けっていとなった!


 ドラマわくを、

 九十分へと、拡大かくだいして、

 特別とくべつヴァージョンとして製作せいさくされた。


 □あらすじ□


 舞台ぶたいは、

 1940年代のニューヨーク。


 つまはげしい口論こうろんをして、

 いえした中年ちゅうねんおとこが、

 派手はでな、

 (オレンジ色の帽子ぼうし)をかぶった女性じょせいと、

 バーでい、

 つかののデートをする。


 いえかえると、

 つまは、

 絞殺こうさつされていた。


 おとこ逮捕たいほされ、

 『死刑しけい判決はんけつ』がくだされる。

 

 無罪むざい証明しょうめいするためには、

 派手はで帽子ぼうし女性じょせいのアリバイ証言しょうげんが、

 ぜひとも必要ひつようだった。


 わか恋人こいびとや、

 友人ゆうじん協力きょうりょくをあおぎ、

 帽子ぼうし女性じょせいさがしてもらう。


 しかし・・

 捜しても・・捜しても、

 彼女かのじょ行方ゆくえは、

 ようとしてれない。

 

 事件じけんのカギをにぎるであろう、

 重要じゅうよう目撃もくげきしゃは・・なぜか?

 次々(つぎつぎ)ころされてゆく!

 

 

 死刑しけい執行しっこうの日が、

 刻々(こくこく)せまってくる。

 おとこ運命うんめいや・・いかに!


 □ □


 サスペンスしょく濃厚のうこうで、

 驚嘆きょうたんすべき意外性いがいせいつ「原作げんさく」を、

 力業ちからわざで、

 音声おんせいドラマへうつしかえることに成功せいこうした。


 しおりはナレーションと、

 わか恋人こいびとやく担当たんとうした。


 このドラマは、

 おおきな反響はんきょうび、

 年輩ねんぱいのリスナーから、

 (スマートフォンやPCのあつかいの不得手ふえてそうから)

 再放送さいほうそう要望ようぼう殺到さっとうした。


 かずして、

 さい放送ほうそうまれ、

 ふたたび・・

 反響はんきょうこした。


 ━「近頃ちかごろのラジオかいではめずらしい出来事できごとである」━

 

 ネットのニュースサイトやスポーツ新聞しんぶん芸能欄げいのうらんに、

 記事きじった。



 してやったりの乙骨おっこつプロデューサー!


「ドラマをたのしみたいというヒト本能ほんのうは、

いつの時代じだいわらない・・普遍ふへんなのだ!」


 ポッドキャストのダウンロードすうが、

 うなぎのぼりにえ、

 動画どうがサイトにアップされた『音声おんせいドラマ』の、

 かく視聴しちょう回数かいすうが、

 10万ヒットを突破とっぱしたあたりから、

 番組ばんぐみの、

 ドライブのかかりぐあいがちがってきた。


 『かなカナ☆』

 番組スタート以来いらい

 三度にどの、

 レイティング(聴取率ちょうしゅりつ調査ちょうさ)で、

 ついに・・

 どう時間じかんたい首位トップおどた!


 番組ばんぐみの、

 快進撃かいしんげきはじまりだった。


 スポンサーに、

 有名ゆうめい企業きぎょうがついたことにより、

 予算よさん潤沢じゅんたくになった。


 それまでは、

 乙骨おっこつプロデューサーの、

 伝手つてで、

 スポットてきに、

 企業きぎょうから、資金しきん提供ていきょうしてもらっていた。


 ドラマのなかで、

 さりげなく・・

 あるいは・・唐突とうとつに、

 商品しょうひんめいてきたのは、そのためである。




 ラジオの人気にんき比例ひれいするように、

 しおり姿すがたが、

 テレビに登場とうじょうする回数かいすうしていった。


 以前いぜんとは、うってわって、

 テレビ(きょく)がわのあつかいもくなった。

 

 控室ひかえしつは・・おお部屋べやではなく、

 『笹森ささもりしおり様』と、

 がみのされた個室こしつ用意よういされた。


 トーク番組ばんぐみなどは、

 ほかの出演しゅつえんしゃとは、

 バックグランドがちがうため、

 希少きしょう価値かちしょうじた。


 ネットや雑誌ざっし特集とくしゅうまれ、

 インタビューの依頼いらい増加ぞうかした。


 いつしかしおりは、

 『ディージェーアイドル』というで、

 ばれるようになっていた。


 ひなだんすわり、

 大物おおものエムシーとのやりりも、

 ものおじせずに、

 当意とうい即妙そくみょうなトークを展開てんかい

 番組ばんぐみもりげた。


 かつてのしおりに見られた、

 まえのめりかんは、

 すっかりえていた。

 

 これは・・

 彼女かのじょ内部ないぶに、

 自信じしんまれた証拠しょうこである。


はじめてうたときから、

このには、

才能さいのうがあるとおもうていたんや」

 大物おおもの司会者しかいしゃが、のたもうた。

 

 かれは・・

 前回ぜんかい・・

目立めだぎる」からと、

 しおり出演しゅつえん場面ばめんを、

 ズタズタにカットさせたちょう本人ほんにんであった。

 

 ━(なかこんなもんだ)━

 

 ラジオでの成功せいこうしに、

 スマートフォンのCMのヒット、

 テレビの単発たんぱつシリーズ、

 そして・・

 念願ねんがんの、

 映画えいがデビューにして主演しゅえんと、


 した時代じだいがウソのような躍進やくしんぶりであった。







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