飛翔!
トークの方は、
道半ばであったけれど・・
番組のメインディッシュ・・
『ラジオドラマ』の収録には、
自信を持って、臨むことができた。
もともと、
汐の得意分野でもある。
アテレコの経験もあったし、
「聖林プロの」オーディションで、
最も評価されたのは・・演技力なのだから。
著名なSF作家の、
ショートショート三本立て。
ドラマの枠は・・「一時間」。
ラジオドラマの復活に賭ける、
スタッフの意気込みは、
ハンパではなく、
スタジオ内には、
熱気が・・漲っていた。
リハの段階で、
演出も担当する、
乙骨Pのダメ出しが、
ガンガン!ぶっ飛ぶ。
汐を喜ばせたのは、
脚本の出来映えが、
非常に優秀だった点だ。
原作の力もあって、
キャッチーな導入部、
巧みな話の展開、
鮮やかに決まるオチ。
読んでいるだけで、
胸が高鳴ってくる!
しかも・・しかもだ・・
私がフィーチャーされている、
まぎれもない主役として。
「やったぁー!汐 感激!
バーモントカレーが食べたい!」
舞台は、整った。
汐を、さえぎるものは、
いまや・・なにもない。
ドラマ収録。
本番スタート。
全身全霊をこめて、
役に没入してゆく。
汐が・・飛翔した!
共演者、
スタッフは・・息をのんだ。
サングラスの内側で、
乙骨プロデューサーの目が、
・・見開かれた。
頑健な身体が、
かすかに、震える。
「コイツは・・本物だ・・
オレの目に・・狂いはなかった・・
この番組は・・まちがいなく・・当たる!」




