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第45話 石の皿


 夜の森の中を走るライムは、やがてよく見知った場所へとやって来る。その見慣れた森の中を走ること数分、すぐに目的地にたどりついた。


 そこはねぐらを作っていた、白い岩がむき出しとなった崖だ。


「懐かしいな……」


 遠い昔の話でもないのにそうつぶやく。


 しかし、ここまで来たのは郷愁にひたるためではない。ライムの知る中で人の視線が存在せず、また目的のモノがあるのがここだけだったからだ。


 ライムが目当てにしているのは。綺麗な白い石だ。


 この崖はこの森の中で、大きく岩盤をむき出しにしている。

 川の方ならば同様の岩盤は露出しているが、あちらは人の目がある可能性が高い。なにせ木こり達は川の上流から切り出した丸太を川で流しているのだ。


 ライムは崖の周囲を見回し、目的に適うような岩を見つけ出す。全体が白い大きな岩だ。岩盤と繋がっているため、周囲の地面全体が同じ岩だ。


 出っ張っている岩に手を触れ、確認する。記憶に合ったとおりに、目的には最適だと思う。全体的に綺麗な白で、ひび割れも存在していない。


 ライムは一つうなずき、家から持ってきた見本を近くに置く。


 それは夕食に使われていた木の皿だ。


 雑貨屋には多くの木工製品が置かれていた。多くは村人が内職として作り上げた品物だ。

 木工技術の無いライムが木の皿を作ったところで、それらの製品に今から追いつけるとは思えない。


 けれど石工製品の石の皿ならば、珍しさからきちんと売れるのではないかと考えたのだ。


 無論、ライムは石工技術など習得していない。けれどライムには他の人には不可能な事が可能だ。


 岩に触れている手を、人の形から崩す。そのまま触手状に伸ばして、更に触手を細長く成形する。限界まで細長くした触手は直径一センチも無いだろう。挑戦してみるが、これ以上の細さは無理なようだ。


 仕方ないと、その細さのまま、岩へと押しつけ、岩を溶かし切る。

 崖の壁の中にねぐらの穴を作ったのと同じことだ。今回は穴を開けるのではなく、岩を切り出す為に使う。

 溶かした岩は食事と同じだ。そのままライムが消化吸収してしまう。


「うーん……。やっぱ美味しくないな……」


 思わずぼやいた。

 体を大きく頑丈にするために、ひたすら食い続けた岩の味だ。食事として続けるのは勘弁願いたい味だ。

 しかしこれは食事として行っているわけではない。石の加工の為に行っている製作工程だ。


 そんな事を自分に言い聞かせて、石を食う事は止めるように、というグレンからの注意を自分の中でごまかす。


 そんなことを考えているうちに、一抱えはある石のブロックが切り出される。

 それを見本の木の皿の横に置く。


 見本の木の皿は底の浅い、直径も小さい小皿だ。今回は実際に石から皿を作れるかの実験なので、小さな皿を見本として選んだ。


 石のブロックを皿の直径に合わせて円柱形へ成形すると、皿の厚みに合わせてスライスしていく。


 石の円柱がたくさんの石の円盤に形を変えた時点で、細長い触手にしていた手の形を人のそれに戻す。これから先の作業に細長い触手の出番は無い。人の手の形で十分だ。


 できた石の円盤を元に、皿の裏側から作っていく。円盤の中央に指を回しながら溶かしてへこませ、接地部分の高台と呼ばれる場所を残して周辺部も溶かす。


 裏面が終了したら、おもて面にとりかかる。手のひら全体をこすりつけながら中央部分をへこませるように溶かしていく。


 はたから見れば、人間の少女が両手で石の円盤をいじくっているようにしか見えない。

 しかし、その手にある石の円盤が、徐々に皿へと形を変えてゆく不思議な光景に見えるだろう。


「ふむ……」


 一度、作業を中断して全体を確認していく。

 表面は非常になめらかで、白い石の美しさが現れた小皿だ。ただし、かなり厚みがある印象を受ける。

 見本にした木工の皿の厚みとほぼ同じだが、材料が石である分、重量もそれなりにある。


 もっと薄くした方がいいだろう。幸いなことにヒビは見受けられない。これならばもっと薄くしても、壊れることは無いだろう。


 皿全体の厚みを可能な限り薄くしていく。


 ある程度まで加工を行うと、ライムはひとまず満足して、作ったばかりの皿をしげしげと眺める。

 白くなめらかな表面を持った綺麗な皿だ。薄さもあり、重さも感じない。少々の歪みがあるが、それも愛嬌だろう。


 この薄さになってしまっては、ライム以外では製作不可能な製品だ。


 石とは硬い材料で、削り出すとなればノミと金槌で衝撃を与える事になる。これ程までに薄ければ、簡単にヒビが入ってしまうものだ。


 けれどライムが作っていくこの皿の場合は、衝撃を与えて削り出したのではない。目的の形になるまで不要な部分を溶かし落としている。余分な力が加わっていないのでヒビは入らない。


 石工でヒビを入れる事なく加工を行うには、磨製石器のように無理に力を加える事なく少しずつこすりながら削るしかないだろうが、こんな細かい加工ができる道具がこの世界にあるとは思えない。


「まあ、こんなもんでいいか……」


 完成品を見本の皿の隣に置くと、次の円盤を取る。


 今回からは始めから、薄くしていく事を意識して大胆に加工していく。


 とはいえ、はたから見れば石の円盤をいじくっているようにしか見えないだろう。


 やがて、もう一つの石の皿が出来上がる。一つ目と全く同じとは言えないが工業製品ではないのだから当然の事だ。そこまで完成度にこだわっては居ない。


 製作に掛かる時間は一枚目に比べると、かなり短縮できた。十分も掛かっていないだろう。想像していた以上に簡単にかつ、良い出来の石の皿が作れる事に気を良くしたライムは次々と石の皿を作っていく。


 無心となって行えるその作業に気が付けば、先に切り出していた円盤全てを、石の皿に加工し終えていた。

 数をこなす度に完成度も高くなっていく。切り出した分の円盤がなくなっても、新たに石を切り出して、更に高い完成度を目指していく。


 ふと気が付けば岩から切り出した回収は四回も数え、その分を全て皿へと加工し終えていた。


「しまった、作り過ぎてた……」


 大量の石の皿に囲まれて、ライムは呆然とつぶやく。


 今日は試しに二、三個の皿を作って終わりにするはずだったのに。思わぬ時間泥棒の作業に、空を見上げ時計月の位置を確認する。


 時計月の位置は、思ったよりも南の高い位置にあった。


 これから狩りを行わねばならないのに、時間を掛け過ぎた。

 ライムは慌てて立ち上がる。


 できあがった大量の石の皿と見本の木の皿はここに置いておいて、狩りが終わったら取りに来ることにする。


 幸い、ここはライムが縄張りと認識して場所でもある。土地勘があるので他の場所よりは効率的に狩りが行えるだろう。


 あまり時間がかからない事を期待して、ライムは狩りを行う為に森の中へと駆け出した。



  ◇  ◇  ◇



 朝。目を覚ましたライムは、いつもの様に薄緑色に戻ってしまっている髪の色を黒へと変化させる。


 魔法を使っている時、集中していると髪の色が戻ってしまうことはなくなってきている。しかし、目が覚めた時にはいつも髪の色が元に戻ってしまう。


 寝ている時は気が抜けているせいだろう。けれど、寝ている時に人の姿が崩れる事はない。擬態(人)のスキルは長い時間使い続けても何の問題も感じられない。

 人の姿が崩れる時はライムが自らそれを望んだ時だけだった。擬態(人)のスキルがライムにとって特別である証であろう。


 反対に、色に関する擬態スキルは油断していると解ける事がある。寝ている時はいつもであり、一度、アリティアと話をしている時に気が付けば髪の色が元に戻っていた事がある。

 その事はグレンには内緒にしてもらった。


 ライムはあくびを噛み殺しながら部屋を出る。呼吸の必要性が無いスライムの体だが、あくびのような肉体由来の仕草が偶に出る事がある。


 それは人の魂に染み付いた行動が表れているのだと、グレンが考察を述べていた。

 人の姿をとっている時に必要もないのに呼吸をしているのはそのためだ。


 自分でもつくづくおかしな体だと思う。呼吸を必要としないのに、激しい運動も可能なこの体は確かに便利ではある。けれどやはりこの体の本質はスライムのものだ。


 人の姿をとり続けていても時折、肉体に違和感を覚える事があるのだ。覚悟を決め手人の姿を崩す時とは違い、不意打ちのように襲ってくる違和感は非常に不快感が強い。

 それらの感覚はすぐに静まるものだが、早いところなんとかしたいとライムは願っている。


 勝手口から家を出ると、朝の青空がライムを出迎える。そのまますぐ近くの井戸に向かう。

 ライムの朝の仕事である、水汲みをしようと釣瓶の桶に手をかけた。

 と、その時に制止を受けた。


「待ちなさい。釣瓶を使うことは止めるように」

「え?」


 振り返ると、グレンが野菜を抱えて立っていた。朝食用の野菜を収穫してきたらしい。


「あ、おはようございます。師匠」

「おはよう、ライム」


 挨拶を交わし、ライムはグレンに疑問を投げかける。


「えっと、釣瓶を使っちゃダメってどういう事です?」


 使わないと水汲みはできないんですけど? と視線で問うと、グレンはため息をつく。


「もうライムには魔法での水汲みができるようになっているのだから、魔法で水汲みを行うようにせい。

 魔法というは、使えば使うだけ上達するものなのだからな」

「あ」


 前に魔法での水汲みを見せてくれた事を、ライムは言われてはじめて思い出す。

 グレンは勝手口のドアを開き水瓶の蓋を開けて、待ち構える。


 しかしライムはためらいを覚えざるをえない。しっかり特訓を積んだとはいえ、その時は何度も水をぶちまけていた。家の外に水をぶちまけるのなら問題無いが、水瓶は家の中である。ぶちまければ問題だろう。


「暴走したり、途中で制御を手放したりしない限り、周囲に水をぶちまける事もない。

 落ち着いてやれば何も問題もない」


 グレンはそう促す。


「……わかりました」


 ライムは頷き、魔法による水汲みに挑戦する。

 使う魔法は当然、『水の操作ウォーターコントロール』だ。グレンが前に見せた魔法での水汲みの光景を思い出す。それに使っていた魔法陣も『水の操作ウォーターコントロール』だった。


 その時のグレンと同じように、ライムはかき集めた魔力で魔法陣を構築する。さらに魔法陣に接続した誘導線にて、井戸の底と水瓶の口を接続する。

 誘導線にて作られたワイヤーフレームのパイプは、グレンが見せてくれたそれと比べて、所々ゆがんでおり、あまりにも無格好だ。


 それらを見ていたグレンは、その点については何も言わず、一つうなずく。


「よろしい。やってみなさい」

「行きます!」


 ライムは宣言の後、『水の操作ウォーターコントロール』の魔法を発動させ井戸の水を汲み上げる。


 ワイヤーフレームのパイプの中を水が流れていく。グレンのそれに比べたら水の移動速度はそれ程早くは無い。また水の量自体も少ない。

 当然の事として、水瓶がいっぱいになるまでには時間がかかった。


 それでも大きく水をぶちまける事なく、始めての魔法による水汲みが成功した。

 グレンが評価する。


「うむ。始めてならこんなもんじゃろ。

 これからの課題は、誘導線の構築の曲線を滑らかすることじゃな。所々でゆがんでおるから、移動する際に水が飛沫として周囲に散ってしまっている」


 師匠が指差す地面には、飛沫によって濡れた地面があった。見本として見せられた時にはこんな痕跡は残っては居なかった。


「まだまだですね……」


 少し落ち込みながらつぶやく。グレンはそんなライムを笑い飛ばす。


「まだ覚え始めたばかりであろう? それなのに完璧にこなされては師匠としての立つ瀬が無いわい。

 これから上手くなっていけばいいんじゃよ」

「そうですね」


 ライムも笑顔を浮かべた。


「さっ、朝食の準備を始めるぞ。ライムも手伝いなさい」

「あ、はーい」


 手伝いを行うために、ライムは家の中に戻った。



  ◇  ◇  ◇



 朝食を食べ終え、食器を片付ける前の事。

 仕事を始める前に、席についたまま茶を傾ける、まったりとした時間を過ごしていた。


 今日の予定は呪符作りである。ライムとアリティアの二人に手伝いを要請し、今日中には終わらせる事ができると、グレンは目算を立てていた。


 そんな時、茶を傾けていたグレンはふとライムに問いかけた。


「そういえばライム? 昨日の、石の皿を作るという試みはどうなったのだ?」

「ああ、あれなら上手く行きましたよ。ちょっと取ってきます」


 ライムは立ち上がりリビングを出る。


「お皿?」


 首をかしげたのは、その話を聞いていなかったアリティアだ。


「なんでも、石の皿を作ってみると、昨日挑戦していたらしい」

「へー」


 グレンが孫の疑問に答えていると、すぐにライムは戻ってくる。

 積み上げたたくさんの皿をその腕に抱えている。


「うわ。たくさんある!」

「そんなに作ったのか?」


 アリティアは驚きの声を上げ、グレンは呆れた様子を見せた。


「うまく行ったんで、ちょっと作りすぎちゃったんですよ」

「これがちょっと……?」


 少女のつぶやきにライムは苦笑しつつ、積み重なった皿を一枚ずつテーブルに並べて見せる。

 森の中を急いで走る事になった為、傷が付かないように緩衝材代わりに皿と皿の間には葉っぱを挟んである。


 狩りを終えた後、大量に作ってしまった皿を家まで運ぶのに、三往復もする事になった。

 そんな己の間抜けによって行う事になった苦労を口にする気にはなれない。


 アリティアとグレンはテーブルに置かれた石の皿を手にとり、しげしげと眺める。


「ふえー……。きれいなお皿だねー」

「確かに、綺麗なものじゃな」


 感嘆の声を上げる二人にライムは不安そうに尋ねる。


「これ。売れますかね?」

「まあ、売れるじゃろうな。綺麗じゃし、これだけの薄さを持つ石の皿というは珍しい。

 行商隊の者も欲しがるじゃろ」

「うん、わたしも売れると思うよ。だって、わたしも欲しいって思うもの」


 その賛辞にライムはホッとしたように笑顔を浮かべる。


「良かった。

 ウチで使うなら、他の種類も増やした方がいいかな? 小皿だけ数があっても使いにくいだろうし」


「あ、それじゃウチの分も作ってくれるの?」

「ああ。材料の石さえ用意できれば、わりと簡単でできるから。ただ今は時間が無いから、先に行商隊に売る分を作るつもりだけどな」

「やった」


 アリティアは小さく喜びの声を上げた。

 と、小皿を観察していたグレンはライムに問いかける。


「それで、ライム。おぬしはこの皿をどれほどの値で売るつもりじゃ?」

「え? いや、売れるかどうかしか考えてなかったから、値段は決めてません。まあ、売れれば良いなとしか。最悪、はした金でも構わないんですけど」


 率直な所を告げると、グレンは顔をしかめて首を振った。


「それはイカンぞ? わしは皿に関しては詳しくはないが、それでもこの皿は良いものだと見てとれる。

 普通、こんな薄さの、なめらかな表面を持った石の皿を作ろうとしたら、土の魔法に熟練した魔法使いが必要になる。正直な所、この皿をわしが作ろうとしたら一枚作るのにどれほどの手間が掛かるかわからん。


 ライムがどのような手法でこの皿を作ったのか、今は追求はせんが……。簡単にできるからなどと言って、安値で大量に売り払えば、面倒な連中から余計な疑いが掛かることになるぞ?」

「え」


 グレンにはライムがどのような手法で、この皿を作ったのかおおよその所は把握しているのだろう。


「えっと……。安値で売っちゃダメなんですか?」

「駄目じゃな。安値で高級食器を大量に作る子供がいると噂されれば、強欲な商人が囲い込みに来るぞ? わしはそんな輩に応対するのはイヤじゃぞ?」

「わ、私もイヤです……」


 顔を引き攣らせて、ライムは同意する。


「大量に卸すのが一度きりならば、偶然手に入れたという事で問題ないじゃろうが。

 これからも定期的に作って売るつもりなら、少量をそれなりに高値で売ることじゃな。

 それならばライムが手間暇かけて、魔法で作ったとごまかせる」


 魔法で作ったのではないと、バレてしまえばどうなるか? この石の皿はスライムとしての能力を使って作った代物だ。下手をすればライムの正体まで芋づる式にバレてしまうかもれない。

 その事に気がついて、ライムは顔を青くする。


「わ、わかりました。少しの量だけを高値で売るようにします……」

「よろしい」


 グレンは満足気に頷いた。

 高値にしたせいで売れなかったらどうしようとライムは不安に思う。


「せっかくきれいなお皿なのに、少ししか売れないんだ。ちょっと残念だね?」


 アリティアの感想にライムは同意する。


「うちの中で使う分にはたくさん使っても構わんがな」


 グレンはそう言い添えた。それに喜んだのはアリティアだ


「それじゃあ、色々なお皿を石で作ってみてよ。おねがい、ライム」

「わかった。つくることは簡単だから、色々作ってみるよ」


 売ることは無理みたいだけど。という言葉の代わりに、ライムはため息をついた。

 

「それでじゃが、ライム? どうやってこの皿を作ったのか教えてもらおうかの?

 わしは前に言ったと思ったんじゃが? 石というのは食べ物ではないと」

「え?」


 グレンをみるとその顔は微笑みを浮かべているが、その目は笑っていない。


 これはどうやって石の皿を作ったのか完全にバレている。

 考えてみれば当然の事だ。岩の崖に穴を溶かし作って棲み家にしていたことはすでに話していたのだ。昨日の出かける時点では気がついては居なかったようだが、今は気がついてしまったようだ。


「あ、いや、その……。この皿を作った方法は魔法で――」

「わしがおぬしの魔法の腕前を把握していないと思っておるのか? おぬしの腕前じゃ不可能じゃ」

「あー……」


 視線をさまよわせ、アリティアに助けを求める。


「あ、わたしはお皿洗ってくるねー」


 朝食の分の食器を重ねるとアリティアはキッチンに姿を消す。


 逃げられた。


 結局のその日、呪符作りが始まったのは、説教によって大分遅くなった。


 幸いな事と言ってよいのか、石の皿作りはなんとか認めてもらうことはできた。


 石を加工する際に消化吸収してしまうが、あくまでもお皿を作る事が目的であり、食事ではないという主張をグレンが渋々と認めた形だった。

 グレンが改めてライムに言いつけたのは、石を結果的に消化吸収してしまっても、人らしい食事を必ず行う事だ。


 人としての生活を続けなければ、人から離れていってしまうのは当然の事だと。その事は常に意識し続けばければならないと。


 グレンの忠告に、ライムは深くうなずかざるを得なかった。



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