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第41話 麦刈り


 村の会合の帰りにグレンは麦畑の中の道を歩いていた。


 彼は黄金色に風に揺れる麦畑を見やりながら、麦刈りの事を考える。


 村の中で会合があり、グレンはかなり広い場所の刈り取りを行う事になった。

 それは別に構わないのだ。少々問題があり、麦刈りが大変な家が毎年一つ二つは出てくる。


 グレンがそんな家の麦刈りを手伝うのは、魔法の力があるグレンにとっては大した労力ではない。

 むしろ、ある意味で敬遠されている魔法を人々への助力とすることで魔法への悪感情を減らす事になりうる。その対策として、グレンは麦刈りの手が足らなければ積極的に手伝う事にしていた。


 しかし今年の麦刈りは、自分一人では少々厳しいものがあった。

 家へと戻る麦畑の中の道を歩きながら、グレンはある決断を下した。


「やはり、ライムにも手伝ってもらうしかあるまい」


 と。



  ◇  ◇  ◇



「ライムよ、すまないが、四日後までにある魔法を使える様になってもらうぞ」

「は? いきなり何の話ですか?」


 グレンが村の会合から帰って来た時に唐突に言った。

 リビングでレボートを書いていたライムは思わず聞き返す。

 隣で刺繍に励んでいたアリティアも不思議そうな顔で祖父の顔を見やる。


「正直ライムには申し訳ないと思っているのだがな。ある家の主人が足の骨を折ったというのだ」

「足の骨、ですか?」


 ライムは思わずアリティアへと視線を向ける。彼女も足の骨を折った。


「なら、師匠がその治療に行くのですか?」


 アリティアの時はグレンの魔力による治療を行い、完治への期間を一月から一週間へと大幅に縮めた。


「まあ、そこはいいのだ。治療ならワシが出向けばいい話で、ライムの育成計画が狂うようなことではない。


 問題なのは、麦刈りが迫っている中で、その家の一番の働き手が動けなくなったことだ。

 しかも、治療が終わるであろう一週間後からは、大雨が降りそうな気配があるのだ」


 深刻な表情で告げるグレンだが、ライムにはいまいちピンと来ない。


「えっと、それのどこに問題が?」

「分かっておらんのか?


 麦というのは収穫前後に雨に濡れるとダメになってしまうのだ。

 しかし、今の麦はまだ少し若い。麦の成熟にはあと二、三日は掛かる。

 つまり、麦の成熟が終わり、雨が降る前という短い時間で、村中の全ての麦を刈り取らなければならないのだ」


「えっと……。それってすごく大変な事なんじゃ?」


 グレンの説明でライムにも事態の深刻さがおぼろげに理解できた。


「そう、大変な事だ。村中総出で麦刈りを行う事が決まった。木こりギルドの者たちにも応援を頼んだほどだ。


 だが、それでも足らん」

「普段は木こりギルドの人たちは麦刈りをしないんですか?」

「例年なら、麦刈りは一週間ほどの時間をかけて行うからな。村中総出にはなるが、応援までは必要とはしていない。


 しかし、今年は長雨が降りそうなのでな……」

「雨が降りそうだって、誰が天気予報を出しているんです?」

「ん、ああ。それはワシじゃよ」

「え?」


「陰陽魔法には天気を読み取る魔法があるのでな。一週間後の天気なら読みとれる。

 もっともにわか雨程度だと分からんのだが……。どうも一週間後の雨は結構な大雨で、しかも長く続きそうなのだ」

「はあ、師匠はすごいんですね。天気まで分かるんですか」

「まあの。ライムにもいずれ学んでもらうがな。


「今日の会合は、雨が来る事を村の者に伝えるものだったのだが、そこで怪我人が出たと知らされたのだ。


 話がずれたが、ある魔法を覚えてもうというのはそこに繋がっているのだ」


「えっと……、私には村の麦刈りが大変な事と、村に怪我人が出た事と、私が早急に魔法を使えるようになる事が繋がって来ないんですが……?」


「簡単な話じゃよ。

 ライムには麦刈り要員として重要戦力になってもらう」

「え?」


 麦刈りは大変だなと思っていたし、自分も鎌を手に手伝いに参加するのだろうとは考えていた。しかし、重要戦力とは何事だろうか。


「そのために麦刈り用の魔法を覚えてもらわないといけないという話じゃ」

「え?」


 ライムの戸惑いをよそにグレンは話を続ける。


「これから四日かけて、ライムには厳しいかもしれんが、ある魔法を覚えてもらう。

 そこから村中の麦を、雨が降る前に刈り取りだ。その為に、覚えた魔法をひたすら使い続けてもらうことになる」

「ちょっ、ちょっと、待って下さい。私は物理魔法以外に魔法を使った事は無いんですよ!?」


 ここでグレンが言っている魔法とは四大魔法の事だ。

 学問系の魔法系統である四大魔法は、物理魔法のように使おうとしただけで自動的に発動する魔法とは違う。

 魔力の制御から始まり、魔法陣の構築、形になった魔法の制御まで、全てを手動で行わなければならない。

 四大魔法と物理魔法は魔法という同じ括りだが、使う方としては全くの別モノだ。


 たった四日で覚えてもらうと言っている以上、その魔法は物理魔法ではなく、四大魔法だろう。

 しかし、ライムにはたった四日で四大魔法を覚えられるとは思えない。それが村中の麦刈りに使い続けるような、実用に耐えられるような魔法ならばなおのことだ。


「安心せい。覚えてもらうのは基本的な簡単な魔法じゃし、今のライムならば四日も特訓すれば使えるようになるじゃろ。


 集糸化法は糸の状態で三分は保つようになったし、十分に可能じゃわい」


 気楽な様子なグレンだが、ライムには到底信じられない。

 その不安とは別に、一番大切な事を聞いていない事に気がつく。


「って、私が覚える事になる麦刈り用の魔法って、どういう魔法なんですか?」


 ライムの質問にグレンは気まずそうに視線をそらす。


「まあ……、済まないが、と言ったのは、その魔法の種類によるのじゃ……」

「え? そう言えば厳しいことになるかもしれないって言ってましたね」

「うむ。本来ならば、ライムには適正に合った属性の四大魔法を一番始めに習得して欲しかったのだがな。

 ライムの適正に合った属性の魔法で、麦刈りに使える魔法となると、少々難易度が高すぎる。

 これから覚えてもらいたいのは風属性の『風の切り払い(ウィンドスラッシュ)』という攻撃魔法だ」


「風属性!?」


 ライムは驚く。ライムの四大魔法の適正はメインが土属性で、サブが水属性だ。

 発動器を使って水属性魔法の制御感覚を掴んではいる。しかし、適正の無い属性の魔法がいきなり使えるが疑問がある。


「まあ、サブの方の適正である水属性にあれだけ慣れたのだ。おそらくは大丈夫だろう。

 風の魔法は水の魔法と感覚が似ている部分があるからな」

「はあ……。それなら大丈夫、なのかな……?


 ――というか、攻撃魔法? 麦刈りなのに攻撃魔法ですか?」


「四大魔法は戦いの道具として発展してきた歴史があるからな。攻撃魔法が基本に含まれている。

 その基本の一つが『切り払い(スラッシュ)』という魔法だ。


 四大魔法には同じ魔法が、それぞれの属性ごとに存在している。

 『切り払い(スラッシュ)』も全ての属性にあるのだが、その性質が異なるのだ。


 『水の切り払い(ウォータースラッシュ)』だと濡れてしまうから、麦の刈り取りには使えんし。

 『土の切り払い(アーススラッシュ)』だと切れ味が鈍いから、麦のように柔らかい対象だと、切るよりなぎ倒してしまう。

 『火の切り払い(ファイヤースラッシュ)』の場合は燃やしてしまうから論外じゃ。


 麦の根本から綺麗に切断できる、『風の切り払い(ウィンドスラッシュ)』が一番麦刈りには向いているんじゃよ。


 だからライムには、適正外の魔法を覚えてもらうことになった。

 始めに言った怪我をした主人がいる家の麦も、ワシらが刈り取る事になったからな。刈り取りの戦力になってもらわねばならん。


 正直、猶予時間はあまりない。適正の無いライムにはかなり厳しい指導となると思うが……。

 覚悟してもらうぞ?」

「は、はい……」


 厳しい表情のまま告げるグレンに、ライムはこれから行われる指導の厳しさを想像して慄いた。

 

「ライム、頑張ってね?」


 そうアリティアは気楽な様子で励ます。

 何を言っているのだろうとライムは不思議そうにアリティアを見返した。少女はキョトンと見つめ返してくる。


 ひょっとして分かっていないのだろうか? ライムはある事実を指摘しようとする。

 その前に、グレンが呆れた様子で止めの言葉を告げた。


「アリティア、何を言っておるんじゃ? アリティアもその魔法を覚えてもらって、麦刈りの戦力になってもらうに決まっておるだろうに」

「え……。

 うえぇぇっ!?」


 アリティアは一瞬の硬直の後、おかしな叫び声を上げた。


「え? なんで? おじいちゃんはライムにだけ言ってたんじゃないの?」

「ライムに言っていたのは、適正外の魔法を最初に覚えてもらわねばならない事への謝罪と説明じゃ。


 アリティアは風属性にサブとはいえ適正を持っているのだから、一番始めに覚えてもらう魔法として、全く問題ないじゃろ?


 ライムに比べたら相当楽に覚えられるはずじゃぞ?」

「え。じゃあ、これから四日で魔法を覚えて、それからはその魔法を延々と使い続ける事になるの……? わたしも……?」

「そうじゃ」


 一抹の希望を込めての確認に、グレンは重々しく頷く。


「そんなぁ……」


 アリティアはぱたりとテーブルに突っ伏した。

 嘆く少女だが、ライムは同情していられない。なぜなら自分もその当事者だからだ。


「アリティア、一緒に頑張ろうな」

「う、うん。ライムも一緒にがんばろうね」


 互いに励まし合う。それからの特訓は思い出したくないものになった。



  ◇  ◇  ◇



 五日後の日の出からそう時間が経っていない頃。ライムたち、ライム、グレン、アリティアの三人は、村のある麦畑の前にいた。

 その場には三人の他に四人の人間がいた。


「いやー、グレンさん。すいませんなあ。オレがこんな大事な時期に怪我なんかしちまったせいで、迷惑をかけちまって」

「いやいや、好き好んで怪我をしたワケでも無かろう。困った時にはお互い様というものですよ」


 グレンと話すのは、足に包帯を巻いた松葉杖を突いた四十代ほどの男だ。

 大きな声で謝りながら頭を下げている。豪快な様子で、一見しては怪我をしているようには見えない。

 彼の名前はティモシーという。

 彼の周囲には彼の奥さんと二人の娘さんがいる。奥さんも旦那と同じ位の年頃だ。

 娘さん達は十代後半辺りだろう。


「そう言ってくれるとありがたい。今日はウチの畑の麦刈りにきてくれて本当に感謝いたしますよ。


と、そうだ、グレンさん。天気の事なんですが、やっぱり雨が来ますかね?」


「ええ、残念ながら。三日後の夜からは雨が降り続きそうですね」

「そうですか。晴れが続くようなら、ウチの家内と娘たちだけでも、刈り取りはできたと思ったんですがね……」

「こればっかりは神さまの機嫌しだいですからね」

「ま、たしかにそうですな。グレンさんの所の麦畑は刈り取りはすでに終わっているので?」

「いや、こちらの麦畑の刈り取りが終わった後に奥さま方の力をお借りしたいのですよ。

 こちらの畑と同じように、ウチの畑も、ワシを含めたウチの者たちで一気に麦穂を切り取りますんで、奥さま方には麦穂の回収をお願いしたいのです」

「それはいいのですが、一気に麦を切り取るということは、アリティアちゃんも魔法が使えるようになったんで?」

「ええ、昨日ようやく。弟子のライムも方も使えるようになりましたから、麦刈りは手早く終わると思いますよ」


 グレンが視線を向ける先にはアリティアとライムが、ティモシーの娘たちと話しているのが見えた。


「あの子が弟子のライムちゃんですか。話には聞いてましたが本当にソックリですな。あまり村では見かけないんでアリティアちゃんが一人二役でもやってるんじゃないかってまでうわさがありましたよ」

「ライムは真面目ですからな。こちらもついつい熱が入って、無茶な課題も出してしまう。

 その課題も精力的に取り組んでくれるものだから、無茶をさせないようにする方が大変ですよ。

 あの子が村であまり姿を見かけないのも、そのせいでしょう。

 それ以外の時はワシの手伝いか、アリティアと一緒に家の中で遊んでいる事が多いんですよ

 アリティアのいい友だちです」

「ほお……。アリティアちゃんが積極的に人と関わる事になるとは……。良かったですな、グレンさん」


「ええ。全くです」


 しんみりした気分でグレンは頷く。そして一つ首を振ると気持ちを切り替える。


「さっ、そろそろ始めましょうか。

 ライム! アリティア! そろそろ始めるぞ!」


 呼ばれて二人は麦畑に向かいあう。その隣にグレンも立ち、麦畑の端からグレン、アリティア、ライムの順で並ぶ。並び順はこれから使う魔法の優秀な順だ。

 それからグレンの注意点の確認が行われた。


 一つ、魔法を射つ時には、射線の先に人がいない事を確認すること。

 一つ、人がいるのが射程外だったとしても、人のいる方向には射たない事。

 一つ、魔法を射つ時には、声を上げてからにすること。

 一つ、もし、射った後に人が射線に入ってきたら、すぐさま魔法を真下の地面に叩きつけて、それより先に魔法が飛ばないようにする事。


 最後の注意点は、魔法の構成を崩して無効化するよりも、素早く安全を確保する為の方法だ。魔法の構成を崩して無効化するのは高度な技法であり、初心者である二人に素早く行うには無理な制御法だ。


「はい」

「わかりました」


 グレンの注意に二人は神妙に頷く。特訓の最中に耳にタコができるほど聞かされた注意点だ。二人としても、使い慣れていない魔法を使うのだ。安全な使用には神経質になってしまう。それに怪我人など出したくはない。


 グレンはその後に。周囲に居るティモシーの奥さんと娘さん達に注意を行った。


 一つ、切り倒した麦穂を回収してもらうが、危険なので指示に従うこと。

 一つ、切り倒していない麦畑には入らず、魔法を使って居る所から離れた場所に居ること。

 一つ、近くに寄る場合は声をかけてからにすること。

 一つ、麦穂の回収も安全な離れた場所から行うこと。


 それらの注意を彼女たちは了承してもらった。


「では、アリティア、ライム。早速はじめよう」

「はーい。はあ……これから馬車馬のごとく働かされるのね……」

「まあまあ。私と師匠も一緒だし」

「皆で苦労をわかちあうのね」

「グチグチ言ってないで、始めるぞい」

「はい」

「はーい」


 グレンの言葉にライムとアリティアははじめて使えるようになった四大魔法の魔法陣を構築し始めた。


 魔力を集め、己の目の前で魔法陣を描き出す。

 三人が麦の前で横並びに立ち、同時に魔法を行使する。

 構成する材料である魔力の奪い合いが起きる。しかし、それはごく僅かな量でしかない。

 また、同時に魔法を行使する事も、昨日までになんども練習を重ねてきている。魔力の奪い合いよりも魔力の融通のし合いと言った方が正しいので、魔法行使にはなんの問題もない。


「「「『風の切り払い(ウィンドスラッシュ)』!」」」


 三人の掛け声と共に、構築された三つの魔法陣から足首の高さで水平に、風の刃が放たれた。一つの幅が、一メートルを超える風の刃は麦畑に吸い込まれるようにして消える。


 一見してなんの効果ももたらさない。けれど、その結果はすぐに現れた。

 根本を切断された麦穂が崩れるように倒れていく。

 一つの風の刃は、複数の麦の列を同時に切り裂き、その長さは十メートル程にも達する。


 その光景にティモシー家の家族の歓声が上がる。


「まだ拾わないでください。もう少し距離がとれるようになってから、麦の回収をお願いします」


 飛び出そうする彼女たちに、グレンはそう注意する。


「さて、横にずれて次をやるぞ」


 三人は『風の切り払い(ウィンドスラッシュ)』を放った場所から数歩ずれて、ふたたび同じ魔法を麦畑へと放つ。


 その行為を数度繰り返して、十分に離れて安全が確保できたと判断すると、グレンは奥さん方に麦穂の回収を頼む。


 彼女達が麦穂の回収をする間も、三人は『風の切り払い(ウィンドスラッシュ)』を何度も放ち麦を切り取って行く。


 速やかにこの畑の麦刈りが終了する。


「あっという間に終わってしまいましたな」

「この畑分の麦の回収が終わったら、ウチの畑の方に奥さん達をよこしてくだい。ワシらはもう一つ、別な畑で刈り取りを行ってから、ウチの畑の刈り取りを始めますかから」

「わかりました。いやー本当に助かりましたよ」

「なに、かまわんよ」


 グレンはティモシーと話をして、次の畑へと向かう。


「おじいちゃん。わたし達はどれだけの畑に、魔法をぶっ放せばいいの?」


 ぐったりとしているアリティアの質問に、麦刈りの予定を書いたメモを取り出したグレンは答える。


「そうさな。今日はウチの畑を含めて十一の畑じゃな。日没まで時間があるようならばもっと増えるが」

「む、ムリ。ムリだよ。そんなにたくさん魔法は使えないって」


 アリティアはブンブンと首を振って否定する。


「これまでの訓練よりはマシだと思うけど?」

「ライムは体力あるじゃない。そんなにたくさん魔法を使ったら、わたしは疲れて倒れちゃうよ」


 ここ数日の、訓練で放った数を思い浮かべてライムは言うが、アリティアは否定する。


 四大魔法を使った所で、ゲームで言うマジックポイント的なモノを消費するわけではない。

 四大魔法の使用とは、大気中の魔力を操作する事と同じ事だ。緻密に魔力を操作する事によって魔法という形を呼び寄せる。


 魔法の行使で消耗するのは、体力と集中力だ。


「安心せい。倒れる前に休憩はちゃんととる。それに今日が無理だったら、明日明後日に回すことにするしの」


「え。じゃあ、十一の畑全部をやらなくてもいいの?」


 顔を輝かせるアリティアに、ライムは首をかしげて指摘する。


「それって今日のノルマが明日、明後日のノルマに積み重なるだけなんじゃ?」

「え」

「よく分かったのライム。今日中にあと十一の畑を刈り取らんと、明日明後日のノルマが増えるだけじゃ。

 さっ気合入れて往くぞ」

「い、いやだぁぁ……」


 グレンのつきつける残酷な事実に、アリティアは力無い悲鳴を上げた。


 結局その日、三人の魔法を使った麦の刈り取りは、グレンの家の麦畑を含む十三枚の麦畑で行われた。



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