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光の御符

 夕食を美味しくいただき、風呂上がりのいい気分でいるところ、今日もまた東屋へ案内される。

 隣を歩くヒューさんも風呂に入ってたっぽい。

 肌をしっとりとさせている。

 この世界では、残念ながら混浴ではなかったようだ。

 いや、でも庶民の行く風呂屋はもしかしたら、ワンチャンあるか?

 ……聞けないけどな。


 東屋ではイケメンを始めとした面々が疲れた表情で冷たいものを飲んでいるので、あいまいな会釈をしつつ、ちょっと離れて座る。

 今日はそんなに変なもん作ってないよね?


「モーターが、ダメだったかも、しれませんな」


 あー。モーターか。そういえば作ったね。三極式のやつ。

 原理の提供は俺だけど、作ったのは妖精さんズだからな。

 ヒューさんにこっそり確認したところ、先生たちの説明で仕組みは理解はしてるみたいなので放置。

 俺だって磁場とかどうしてあるのかなんて知らんし。

 しばらくマッタリしていると、書類の束が回ってきたのでメリルちゃんにザックリと確認してもらいサイン。

 書類を受けとると論文担当の3人が軽く会釈をしながら帰っていった。


「*****」


 イケメンがなにか言ってる。


「アシタ、なにする、しますか?」


 ? ああ、明日は何をするかって?

 もうネタないんだけど。


「マホウの、れんしゅう、しましょう」


 おお、メリルちゃんからナイスな提案。


「*****」

「*****」

「*****」

「*****」


 しかし、メリルちゃんの提案をヒューさんから聞いたイケメンがちょっと驚いた様子でヒューさんと話を始める。

 なんか、大人になってから初めて魔法を使うのは危ないんじゃないかとかなんとか。

 メリルちゃんは、大丈夫、大丈夫とかるーく答えてるけど、うーん。

 でも使えるようになるなら、なりたいよな。


 最終的には『妖精さんがおっしゃるなら』ということでOKでたらしいんだけど、ほんと大丈夫なんだろうか。


「いぇーぃ」


 とサムズアップして見せるメリルちゃんに、より一層の不安を覚えるのであった。



 イケメンが去った後も少し、東屋で涼しげな風に和み、ケイトさんが呼びに来たので一緒に部屋へと戻る。

 もうこの後は、部屋で寝るだけなので、ヒューさんとは途中でお別れ。


 ……魔法…か。


 リビングのソファーに座りながら、手の平をニギニギとして眺めてしまう。

 なんでだろう。自分でも分からない。

 たぶん、まず最初に手の平を広げて光の玉を浮かべるのが異世界物の定番だからだろうか。

 いわゆるライトの魔法だ。

 今までも十分にマジカルだったが、俺もいよいよマジカルデビュー。

 ニヤニヤしてしまう。

 いつの間に戻ってきたのか、エマさんが俺の顔をのぞき込んでいた。

 ヤバい。

 冷静に考えるとかなりキモイひとだ。


 メイドさんに冷たいタオルを貰って顔と頭を冷やし、着替えてベッドに上がる。

 さあ、今日はもう寝るよ。

 おやすみ。メリルちゃん。エマさん。


 …………

 ……………………


 寝れるわけないって。

 まだ時間的にも早いし。

 ワクワクは止まらないし。


 布団の中でモンモンとしていると、東屋でのイケメンの驚いた顔が浮かぶ。

 危ないってなにがだろう。

 筋を痛めるとかそんなレベルの話なのか。

 なんか中毒症状が出たり、最悪ボンッってなるとかじゃないだろうな。

 メリルちゃんは大丈夫だって太鼓判押してるけど、所詮は妖精さん。

 魔法に関しては、人類とは天と地の差がある存在っぽい。

 そんな存在に『だいじょーV』とか言われてもな。

 ちょっと怖い。


 まあ怖いには怖いが、今さら止める選択肢もないだろう。

 この世界、魔法が全然使えないとなると、かなり不便な気がする。

 電気を灯すのだって、火をつけるのだって、魔法が必要だ。

 ウォシュレット使うのにも魔法だしな。


 窓がまだ開いているのか、ほのかに光るベッドを覆う薄布の天蓋が、風になびく。

 風の流れを追って窓に目をやると、妖精さんたちが何やら話をしている。

 窓枠にメリルちゃんとエマさんが座り、その向こうに浮いているのはテトラさんか?

 言われてみれば、手足が木の枝っぽい。

 あと、庭の妖精さんと思われる何人か。

 ぼんやりとした妖精光を放っている。


 ??

 この天蓋、窓明かりに照らされてるんじゃないぞ。

 天蓋の布が、光ってないか?

 布団を跳ねのけ、あぐら座りになって上を見上げる。

 光ってるよな。この布。


 俺が急に起き出したのを不思議に思ったのだろう。

 メリルちゃんたちが、スーッとやってくる。


「どうされました? ねむれませんか?」


 ニコニコとしながら俺をみあげて、メリルちゃんが話かけてくる。


「あすは、エマも、テトラも、ごいっしょ、します。なにも、しんぱい、いらない、ですよ」


 一応、メリルちゃんも万全の体勢を整えてくれているらしい。

 エマさんは仕事休むの? 申し訳ないね。

 庭の妖精さんたちも見学に来るって? そんなに珍しいのか?

 え? 先生? そうだね。先生たちもどうせ来るだろうから待とうか。

 でも今はこっちだ。俺は天蓋を指さして、


「いや、それもありますが、この布、光ってないですか?」


 メリルちゃんに聞いてみた。


「ぬのに、ひかりの、ごふが、ぬいこんで、ありますな」


 既に知っていたらしい。特に調べる様子もなくウムウムと頷くメリルちゃん。

 布に光の御符が縫い込んでるの?

 ライトの魔法みたいな感じ?

 そう言えば街で、虫避けの刺繍が付いた服地買ったっけ。


「ひるの、ひかりを、ためて、よる、ひかります」


 なんか蓄光塗料っぽい何かが縫い付けてあるらしい。

 考えてみれば、蓄光塗料なんてまるで魔法だが、こっちは本家のマジックアイテムなんだよね?

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