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タッチパネルは魔法で

 これで夜もひと安心。と、上機嫌で寝室へ移動。

 歯を磨き、寝間着に着替えて寝台へとあがると、メリルちゃんがサイドデスクに放置したiPadをペシペシと叩く。


「エマに、ひめたちの、おどりを、みせたいのです」

「姫達?」


 俺はiPadを開いて、アイマスのビデオを再生。


「こちらのかたがたではないほうで」


 ビデオファイルをスキップしてラブライブを再生。

 しばらくビデオを鑑賞していたメリルちゃんが、俺を向いて、踊りながら鼻歌を歌う。


「ああ、これかな」


 どうやら。目当ての曲があったらしい。

 選曲画面に戻し、これと思われるファイルを開く。


「これです、これです」


 そう言ってエマさんと二人でiPadの前に陣どり、早速踊りをコピーし始めた。

 エマさんも初見の割に踊れてるじゃないか。

 妖精は種族的に、踊りがうまい生き物なんだろうか。


 気がつくと、メイドちゃんが興味深げにしているので、iPadの向きを少しずらして、メイドちゃんからも見られるようにし、手招きしてあげる。

 トトトッと近付いたメイドちゃん。画面を見てフムフムと頷いている。

 もっと驚くかと思ったんだけど、そうでもないな。

 “過去見の窓”とかって魔道具があるらしいから、記録映像を見る道具ってのは、それなりにあるものなのか?

 メリルちゃんに聞きたいんだけど、なんか楽しそうに踊ってるから声がかけ辛い。

 やはり、言葉はなんとか覚えないとどうにもならない。


 と、ちょっぴり憂鬱になって来たところで、急に目の前にメリルちゃんが飛んできて、


「もういちど、さきほどのおどりを、みたいのです」


 iPadを指さしてバタバタする。

 目当ての曲が終って、次の曲が始まってしまったようだ。


「はいはい、わかりました」


 と俺はiPadを手にとり画面をタッチすると、ふと気になったことを尋ねる。


「メリルちゃんは、このパネルに触って反応しますか?」


 画面の前に浮かんで俺の操作をのぞき込んでいたメリルちゃんが、画面を叩きながら


「ふつうに、たたいても、はんのうしませんが」


 なるほど、画面をペシペシと叩いても、画面に体当りしても、反応しない。

 あれ? 先生はiPhone使ってたよね?

 あ、今度はメリルちゃんが叩いても反応した!


「こうして、ばをととのえれば、はんのうさせることができますな」


 メリルちゃんがドヤ顔で画面をペシペシと叩く。

 凄いな。妖精は。

 iPadのタッチパネルは、単純に圧力掛けたりするだけじゃダメなはずなんだが。

 良くある異世界ものの、電気ってなに? 雷エネルギービカビカ? とかいうレベルじゃなく、少なくとも電流とか電界とかを感覚的にでも理解してるっぽい。

 おっと、エマさんがサイドデスクの上でしょぼんとしてる。電気学の話は俺も詳しいわけじゃないし、また今度でいいか。


「それなら、再生中に画面を叩いて、このマークを叩くと、同じ曲が繰り返し再生できます。あとこれが停止で、」


 アプリの操作説明を聞いて、メリルちゃんが停止、再生、スキップとかをタッチしてはフムフムと頷いている。


「あと、このマークが電池の残量ですが、結構減ってるので、灯が一つ減ったら今日は終了でよろしくね」


 まあ、バッテリーが残っててもすることはないが、念のためにな。


 説明を終えてiPadを机の上に置くと、メリルちゃんたちが曲に合わせて再び踊り出す。

 早速、一時停止とか使って動きをチェックしたり、あっという間に使いこなしていく。

 題材が題材だけに可愛い仕草のオンパレードで、それが今一つ慣れないせいで、あざとさが薄れ、癒される。

 これは是非、9人集めてコンサートの開催をして貰いたいものだ。


 ベッドの上にあぐらをかいて妖精さんズのダンスレッスン姿に癒されていると、湯上がりの身体が冷えたせいか、ちょっと催してきた。

 メリルちゃんに声をかけるのも偲びないので、さっそくカンペを使ってみよう。



 俺は手元にあったカンペのうち、『トイレ行きたい』の方を手にとると、妖精さんズの踊りに合わせて頭を揺らしているメイドちゃんに向けて広げアピール。


「ト…イレ、いく…したい。どこ、ありま…すか?」


 こくこくと頷くメイドちゃん。

 気がついたメリルちゃんも飛んでくるが、二人で行ってみるよとお待ちいただく。

 さすがに一階のトイレ行ってくるくらいでなにが起こることもないだろう。

 ……フラグじゃないよ。


 いってらっしゃいと陽気に手を振る妖精さんズに見送られ部屋を出る。

 心の中でさっきの曲をリフレインさせている様子のメイドちゃん(ちょっとスキップ気味)に付いて、廊下を歩き階段を下りまた廊下を歩いて、さらに渡り廊下をあるくとトイレらしき建物へたどり着いた。

 昨日、食事へ行く途中寄ったトイレとはまた別な建物な気がする。


 個室に入って用を足す。

 拭った紙を便器の中へポイッと捨て、そういえばこの紙は水に流せるんだっけ?と思って便器の中を振り返ると紙がない。

 頭にハテナマークを浮かべながら、もう一枚紙を便器へ。

 底に溜った水に触れるすんでで紙がボウッと燃えて灰になってしまった。

 ここにも魔法か。


 手を洗い、メイドちゃんの差し出すタオルで濡れた手を拭いて、部屋へと戻る。

 このトイレはそれほど難しい道順じゃないので次からは一人でも来られそうだけど、舘をひとりでうろうろすると、まだ不審者扱いされるんだろうか。

 ラノベなんかだと、あって数度の自称“転移者”が、領主の舘をうろうろしたり転移で領主の部屋へ来たりするけど、どんだけセキュリティユルユルなんだって思うんだよね。


 あと、なんといっても、夜中ここを一人で歩くのは正直怖い。

 部屋から出たすぐの廊下は中廊下で、照明そのものは蛍光灯くらいの明るさはあるけどいかんせん数が少ない。

 とくに曲り角の明かりが届きにくい辺りにフルメタルの甲冑がヌボーッと立ってたり、ちょっとしたホラー映画の舞台なんだもん。


 うをっと。


 甲冑の中で、妙に輝く目だけが俺を追って動いた。

 これ、人間入ってるんだよね?

 メイドちゃんが甲冑に軽く挨拶してる。警備の騎士さんらしい。

 余裕無い時に一人だったら漏らしてるわ。


 ようやく部屋にたどり着いてホッとする。

 妖精さんズが、丁度曲の終りのポーズを決めたところで、俺に気がついた妖精さんズがドヤッてるんだけど、決めポーズだけ見せられてもわかんないよ。

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