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そこにワンチャンあるんじゃないか?

 それぞれの飲食店で席の拡張が終わり、商店街の賑わいが、フードコートの様相へと変わっていく。

 わらわらと溢れ出した人なみの中を俺は、お上りさんよろしくきょろきょろと辺りを見回しながら、ケイトさんに伴われて歩いて行く。

 開け放たれた扉。通路に溢れたテーブル。

 そのテーブルに群がる子供を連れた家族。職人らしきグループ。女子会。

 あの中学生くらいのかたまりは、市場で働いていた子供たちかもしれない。

 みんな楽しそうに何かを飲みながら、陽気に話しながら、料理が来るのを待っている。


 照明の魔法はまだそれなりの値段がするそうなので、一般家庭にまでは普及していなくて、この商店街のような灯のある場所で、夜を過ごすのだろう。


 すぐ横の店からおっさんがビヤマグっぽいカップをトレーに乗せて運んできた。

 と、そのカップにメリルちゃんとエマさんがスーと群がってツンツンと突いたりしている。

 ??

 ふたりの謎な行動にケイトさんも足を止めて首をかしげている。可愛い。


 ああ、そんなの近付いてると危ないぞ。


 妖精さんズをまとわりつかせたままに、おっさんがカップを女子会らしきグループに配膳していく。

 そしてカップは女子会グループの手に渡り、


 スルッとテーブルの上に移動して、テーブルを観察するメリルちゃん。

 乾杯らしき仕草をする女子会。

 そのなかの、やたら元気な女の人が突き出したカップにヒットされて飛んでいくエマさん。


「*****」

「*****」


 俺はびっくりして隣に立つケイトさんと見つめあってしまった。


「まあ、エマのどじはおいておいて、」


 いつの間にか戻ってきたメリルちゃんがケイトさんと少し話をした後、俺の前でホバリングしながら先ほどのカップを指し示す。

 指先に導かれてカップに目をやると、エマさんを知らずにヒットした女子会メンバーの人が、カップを不審げに眺めている。

 その手前、エマさんが頭をフリフリ戻ってきた。

 なんだかスッ飛んでいった割には平気そうだ。

 ちょっとあきれ顔のメリルちゃんが続ける。


「あのカップのそこに、れいきゃくのまほうせきがありました」


 やっぱり、冷却の魔法石を仕込んだカップがあるんだ。

 麦酒メーカーが大喜びしそうなカップだ。シーズンにはワンケースに一個、特典に付きそう。


「れいきゃくであつめたねつは、つくえにきざんだまほうせきでまんなかにあつめているので、」


 机に刻んだ魔法石って、放射状の模様のことか?

 あれも一種の魔方陣てことか。


「たぶん、そのねつを、さらをあたためるのにでも、つかうのでしょう」


 コップ冷やして発生した排熱で、料理皿を温めるの?

 なに、そのエコサイクル。

 意外なかたちで、熱エネルギーが保存されている。

 魔法さん、いい仕事しすぎじゃないの?


「おや、×△*のあんかけですな。□○○×のみには、さんぴがあるようですが」


 ×△*の餡かけ? ×△*って何だっけ。


「でかいいきものです」


 ああ、あのドラゴンか陸鯨かってヤツね。


「□○○×の実は、美肌に効果のある果物だっけ?」


 ウンウンと頷きながくメリルちゃん。


「まりょくをもたないみは、すこしさんみのある、あまいくだものです。そのあまみがあんかけにあう、あわないで、ろんそうがあります」


 酢豚のパイナップルかよ。

 でも旨そうだな。


 そろそろ初回注文の料理が上がってきたのか、辺りの店では店員が忙しく料理を運び、おのおののテーブルにいろいろな料理が並びはじめている。

 野菜炒めのようなもの、焼き物、揚げ物。

 う、なんか芋虫みたいなのとかあるんだけど。

 あのおっちゃん達が食べてるのは、うなぎの骨の揚げたみたいなものか?

 ムカデの唐揚げとかじゃ無いよね。


 あそこの店の看板、文字らしき部分がカラフルに光ってる。

 光る魔法を、あんな使い方もしてるんだ。

 そこのテーブルにあるのも、魔法の調理器具じゃないか?


 この世界、魔法が良い感じに使われているせいか、日常の道具なんかは日本より便利っぽい。

 魔法が結構なレベルでお手軽に使えたり、重機並の力を持った獣人とかがいるおかげか、日常の生活では不自由ない生活ができてるようだ。

 治水とか開墾とか街作りなんかの土木建築工事も、ヒョヒョイとやってそう。

 メリルちゃんの魔法みてると、核融合とか掌の上で実現できちゃいそうなんだけど。っていうか、魔法って核融合いらないレベルのエネルギー革命を達成しちゃってるよな。


 ただ、何だろう。

 ほどほど便利なんで、それ以上のものを必要と感じていない?

 ちょっと頑張れはそこそこな事ができちゃってるんで、技術革新が起きてないのだろうか。

 でもその皆の思いも付かない【革新的商品】を、俺は現代社会で使ってきた。

 そこにワンチャンあるんじゃないか?

 あとひと工夫すれば、iPhoneは無理でも、携帯電話くらいなら作れるんじゃないか?


 携帯は言い過ぎか。まずは普通の有線電話とか。


 そういえば、動力ってのはどうなってるんだろう。

 たとえば熱制御系の魔法なんかはあるだろうから、蒸気エンジンくらいならちゃっちゃとつくれると思うんだ。

 気圧操作系の魔法があれば、蒸気なんか使わなくてもピストンの上下動くらい出来るだろうし。

 とにかく軸さえ回せれば、あとはどうにでもなる。

 魔法で動くエンジンとか無いんだろうか。

 今日の限りでは、見た覚えは無いな。

 無ければ作ろう。

 イケル、イケル。

 発電が出来れば、仕組みは知ってるんだから、電気リレーか真空管くらい作れるだろう。

 そうすれば、計算機だって無線だって、テレビだって作れるはず。


 あくまでもハズなんだけどな。

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