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ダイヤモンド作れちゃう

「で、気体の圧力と体積の積が、温度にたいして一定になるんで」


 とりあえず食べるものを食べた俺は、メリルちゃんと話しをしながらボヘーッと時間を潰す。

 具体的には、エネルギー保存則と気体の状態方程式についてディスカッションを行ない、魔法の関与について考察など行なっている。

 高校大学で習ったうろ覚えの知識にしっかりと質問が入り、メリルちゃんの理解力の高さが偲ばれる。 

 どうも物理化学などの科学的知識があると、魔法の行使においての効率が随分と違うらしい。

 魔力と物理的なエネルギーの間でなんらかの交換則が成り立ってるとかそんな感じ。

 召喚も座標がとかいってたし、魔法の行使は陣形と祝詞しだいの総ファンタジーでも無いようだ。

 魔法の使い過ぎによる魔力の枯渇とか地球の温暖化とか、そのうち問題になるのかも。


 おや、いつのまにかエマさんがやってきている。

 エマさんの魔法は、微生物や細菌に言うことを聞かせるという魔法っぽいが、いわゆる使役系の魔法なんだろうか?

 精霊くらいなら何とかなりそうなんだが、細菌相手とかどうやって意志の疎通をしているのか見当もつかない。

 でもさっき手を洗浄して貰ったのは、消毒っぽかったよな。


 続いてケイトさんが顔を覗かせる。

 お茶を一口のんで衝立の向こうをちらりと伺うと、どうやら護衛さんたちも食事が済んでいるようだ。


「じゃあ、そろそろ行きましょうか」


 俺はメリルちゃんと顔を合わせ、鷹揚に頷いて見せた。

 丁度良かった。これ以上細かくメリルちゃんに質問されても答えられないしな。



 表へ出ると、来た方向とは逆へと案内される。

 表通りにすぐには戻らないで、しばらく路地の店を見学だ。

 服屋、雑貨屋、家具屋、絨毯屋。

 ガッチリとした門構えで、銀座の裏通りにある高級ブランドのブティックみたいな感じか。

 どの店も窓が小さくて中の様子が伺い知れないのも銀座の裏通りっぽい。

 ほとんどの店が10センチ角のガラスを格子状に仕立てた窓が一、二枚ついているだけ。

 ときどきショーウインドウ仕立ての大きめのガラス窓があるが、それでも24インチ液晶モニターくらいの大きさだ。

 やはり大きな板ガラスを作るのは難しいのだろうか。

 でも透明度は高いんだよな。

 なんで? メリルちゃん。


「じゅんどをあげるのはわりとかんたんですからな」


 ほほう。


「こうして、ちゅうにうかせて」


 そういってメリルちゃんが両手を向かい合わせにして開くと、地べたに落ちていた白っぽい石英らしき砂粒が一粒浮かんできて、手の平の間に治まる。


「あとはかねつして、くるくるまわせばじゅんどはあがります」


 説明の言葉とともに石英の粒は灼熱し、ゆっくりと回転し始める。


「まあこんなもんですかな」


 ふんふんと灼熱した粒の様子を伺っていたメリルちゃんが言うと、砂粒はスウッと透明に変わり、パリッと砕けてしまった。


「*****」


 エマさんに何か言われ、えへへとちょっと照れた笑いを浮かべるメリルちゃん。


「はやく、さましすぎました」


 急冷して割れちゃったらしい。でも確かに透明なガラス粒になってた。魔法凄いな。


「おおきないたにするには、ひやすのにじかんがかかりますな」


 なるほど。ガラスを板状に保ったままゆっくり冷やすのも魔法でやろうとすると魔力や気力が持たないってことか。


「出来たガラスを冷やすのだけ専用の釜でやればいいの?」


 うーん、と考えるメリルちゃんも可愛い。


「できたガラスを、おせんしないでひやす、かまをつくるのが、むつかしいかと」


 それもそうか。

 フロート法で冷やすにしても温度や内圧管理は魔法でクリアするしかなさそうだしな。


「じゃあ、石化の魔法みたいな土木系の魔法で板状にしたりは?」

「……ぞうけいのまほうならやれそうですが、うすいいたをつくるのは、いがいとむつかしいのでは?」


 ほほう。造形系の魔法ってのもあるのか。

 3Dプリンターみたいなやり方で造形すれば、色々と作れそうな気がする。

 まさに魔法のプリンターじゃないか。


 んん?


「さっきの溶かすのって、温度とか圧力は結構上げられますか?」

「まりょくしだいですが」


 !!

 チョウ魔力あったら、ダイヤモンド作れちゃうじゃん。

 ………

 ………

 ああ、だから蛍光灯くらいの大きさの魔法石なんてのが、『それなりのお値段』で買えちゃうのか。

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