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都まで馬車で四日

 メリルちゃんに日本語を教えながら参道を戻り、往来まで戻ると再び商店街へ向かう。

 神殿のあるブロックを抜け橋を渡ると、どうやら商業兼用の住宅街になっているようだ。

 3、4階建ての、石作りの頑丈そうなアパートっぽい建物で、ところどころ一階部分がお店になっている。

 旅行のガイドブックで見かける、東欧の古都を彷彿とさせる街なみだ。

 相変わらずカラフルな建物だが。

 それに並んだお店が、水の神殿に来た観光客相手の、箱根湯元とか浅草寺の門前市っぽい。


 うぅん?

 あそこの食堂、看板に英語が書いてないか?

 Auberge?

 オーベルジュってフランスのレストランに力を入れた宿のことじゃなかったっけ?

 ぎゃぁ、この立て板『旅篭 水霊屋』って書いてある! それも旧字体で。


「このやどは、とてもむかしににほんからこられたかたがはじめられたやどですな」


 そういうことらしい。じゃあ、あっちはフランス人?

 っていうか、なんだかメリルちゃんの目が昔を懐かしむようになってませんか?

 伝聞調じゃないし。

 メリルちゃん、いったい何歳なの??

 明治江戸疑惑発生だよ、メリルちゃん。


 メリルちゃんの明治江戸疑惑に動揺?した俺は、ケイトさんにさりげなく道の端へと誘導され、その横を馬車が駆け足ほどの速さで通り過ぎていく。

 危ない危ない。

 屋台街や倉庫街と違って、この辺りには荷車や荷馬車が居なかったんでうっかりしてた。

 それにしても結構でかい馬車だ。7ー8人が乗っていたが、詰めれば20人ぐらい乗れそうな箱馬車だ。

 それを牛以上象未満な大きさのサイに似た動物が引いている。

 鈍重そうな見かけの割に結構フットワークが軽い。もうあんなところまでいってしまった。


「あれは乗合馬車ですか?」

「のりあいばしゃ?」


 乗合馬車を知らないらしい。首をかしげるメリルちゃんが可愛い。


「不特定のお客さんを乗せて、一定の路線を決められた時刻にしたがって走る公共の乗りものです」


 なるほどと頷いて、メリルちゃんがケイトさんに聞いてくれる。


「あれはこうしゃくけのうんえいするのりあいばしゃで、このじかんだと、さんじゅっぷんごとにくるそうです」


 侯爵様は、侯営バスまで経営してるのか。

 この世界の乗合馬車は赤字の公共事業か、儲かるバス事業かどっちだろう。


「おやしきのまわりをいっしゅう、にじかんくらいでまわると」


 あの早さで二時間となると、この街は外堀通りくらいの広さなのか?


「他の街へ行くにはどうするんですか?」

「ほかのまちへですか?」

「*****」

「*****」

「ふつかにいちどていどで、きんりんのまちへ、のりあいばしゃがでるそうです。あとはぎょうしょうのかたにまざるのだとか」

「*****」

「*****」

「みやこまでばしゃでよっか。あるいてはにじゅうにちほどかかるそうです」


 あのサイみたいな引き馬もチョコボ並の早さが持続して出せるらしいので、時速40キロx5時間で一日200キロは行けるか?

 それで4日となると平地なら800キロ。

 東京駅から新幹線で広島までがそれくらいだったはずだ。

 江戸時代は東海道を京都まで500キロを歩いて12日かけたと聞いたことがある。

 道が良いので速度も出せる、魔法でトンネル作るのもらくらくらしい。

 山越えとか途中の街での停車とかあったとしても、岡山くらいの距離と言うことか。

 ヨーロッパならパリから地中海沿岸のマルセイユがそのくらいだったはず。

 首都と侯爵領でその距離となると、この国は少なくともフランスとドイツを足したくらいはありそうだ。

 世に覇を唱える大国なのかも。


「*****」

「*****」

「こうけのみやこから、りょうきわのまちまで、ばしゃではんにち。あるいてはみっかほどかかるそうです」

「こうけの都?」

「このまちのことです。こうしゃくりょうのみやこですな」


 侯家の都?


 侯爵領は端から端まで100キロくらいの広さがあるらしい。

 東京から100キロだと、北は宇都宮。西は箱根か大月だ。

 侯爵領は、東京と埼玉、神奈川を足したくらいありそうだ。

 せいぜいあっても県一つ程度かと思ってたが想像以上に広いようだ。


 それで侯爵領には三角の位置に三つの大都市があるのだと。

 一つはここ、政治の中心地である侯都。二つめが商業の中心地である商都。そして三つめが鉱山のある山都だ。

 まあ侯都も商都も山都も、俺が今、適当に名付けたんだが。

 鉱山の町は『鉱都』ってのも思いついたんだが、同じ発音だとメリルちゃんに伝わんないから。

 正式な名称はよくわからん。

 それぞれ東京、小田原、秩父といった感じかな。


「*****」

「*****」

「こうざんのまちへいくとちゅうにあるみずうみぞいのまちが、ふうこうめいびでよいところだそうです」

「ほほう。湖沿いの街とか、なんか期待できそうな」

「*****」

「*****」

「あついきせつには、みなでいくそうです」


 なるほど避暑地があるのか。それは楽しみだ。

 俺も連れていって貰えるんだよね?


「さいきん、やまではそらをとんでいるひとがおられますな」


 えっ? 飛んでる?

 鳥系の獣人とか居るの?

 ハーピーとか。

 でも最近て。


「なんかこんなさんかくのはねをつけて、がけからとびおりるのですよ」


 メリルちゃんが両腕を後ろに回してスーッと飛び回る。

 ハングライダーあるんだ……。


「かぜまほうをつかわれるかたがたがよくとばれていますな」


 セールを持ってるなら魔法はいらないと思うんだが、風魔法で揚力を水増ししてるのかな。


 そうだ。グライダーの模型とかつくってイケメンにあげたら喜ぶかもしれん。

 謎生き物の謎素材もあるし、グライダーなら今の技術、材料で出来るんじゃないか?

 出来ればドローンとか欲しいけど、あれは無理だよな。


 ラノベだと、こういう技術を開示することに主人公が躊躇するけどなんでだろうね。

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