第7話
第7話
昼過ぎ
亀山への道中
「いったい何時間かかるのかしら」
「カーナビの通りに動かせば心配ない、おっと、コンビニがあった。ちょっと寄ってくれ」
雨谷らはいったん休憩を取ることにした。
「何人いるの?別動隊は」
「ユウスケに聞いてみる」
と、みゆきは祐介のもとに向かった。
祐介は電話をしていた。
「わかった。それじゃあとでまたかけ直す」
みゆきは祐介の肩を軽くたたいた。
「どうした?」
「もう行くよ」
「わかった」
と、みゆきは祐介を車に連れ戻す。
40分後、車はキャンプ地である山荘へとたどり着いた。
そこには、池永、野上、菅野、三木和美の4人がいた。
「遅いよ雨谷」
「悪いね。君らも忙しい中来てくれて」
と、言いつつ、祐介が人数を数える。
「あれ?俺はあと一人呼んだはずなんだけど?」
「後で合流するって俺は聞いてるよ」
と、菅野が言う。
「どうだい?そっちのほうは」
と、池永。
「極めてクロに近い人間がいるが証拠がない。まだ君らのことは教えてないから、だれか内偵してくれ」
「そいつは誰なんだ?」
「こいつだ」
と、雨谷がスマートフォンを見せる。
「随分と美人じゃねえか」
「名前は中根枝織。伊賀忍者だ」
「くのいちか」
「そんなとこだわな」
「じゃあ、俺が行くよ」
と、池永。
「任せた。じゃあ山本さんと一緒に行ってもらうよ」
「ねえ、私たちのやることは?」
と、和美が口を挟む。
「単純に言うなら俺らの後方支援だ」
「なるほど。ということは私たちも情報収集に動くの?」
「その通りだ。というわけであとのみんなはそれぞれ伊賀近辺で起こっている盗賊による襲撃事件について調べてもらいたい」
「お前は何をするんだよ」
と、野上が口を挟む。
「俺は山部と先方の交渉、そして津のロイヤーズクラブに行って調査する」
祐介は、はぐらかした表現でごまかした。
「そうか。じゃあ調査は明日にしよう」
「わかった」
と、自然発生的に始まった会議はお開きとなった。
同日の20:30
本部近くの小料理屋
「よう、広田」
「しばらくだね。六角さん。何年ぶりだろうか」
「堅苦しいことはやめて、昔のように六じいと呼んでくれや」
この爺さん、名を六角源之助という。
1939年に満州で生まれ、戦争が終わるちょっと前に夜逃げして別府に移り住む。
輸入雑貨などの販売業が本業でありながら政界にパイプを作ることに成功。
東の広田、西の坂田、九州の六角の実業家の三巨頭の一人。
九州で彼に逆らえば二度と当選しないなどの噂がささやかれるほどの大物。
広田社長は彼の作った政経塾の3期生で、主席であった。
「そういえば、あの人は元気かね?」
「ああ。相変わらず元気ですよ。今頃は気仙沼あたりにいるでしょう」
「そうか。ところで、貴様の所にとんでもないのが転がり込んできたそうだな?そいつはどうなんだ?」
「今のところは問題ありません。ただ、まだ禍根を残しているそうですから、そのあたりが不安ですが」
「そうか。困ったことがあったら、いつでも相談しなさい。あの人に会うことがあったらよろしくな。さて、私を呼びつけたのはどういう要件かな?」
「実は…」
そういうと、広田は六角翁に盗賊団に関する情報収集の依頼を頼み込んだ。
「なるほどな。少し手間だが、やってみよう」
そういうと、六角翁は店から出て行った。
「(さて、こりゃあ想像以上に大変な依頼になってしまったな。しかし、あまりホイホイ助けていてはやつらのためにならん。どうしたらいいものか)」
こうして、広田は苦悩しながら自宅へと戻った。
翌日
朝は早いと言わんばかりにそれぞれが活動を始める。
各個人が車を用意しているので動きもスムーズ。
起床後一時間もしないうちにそれぞれが動いていた。
祐介と山部は津へ。
池永とみゆきは諜報活動のため伊賀へ。
野上と菅野は伊賀の南側へ。
三木は留守番。
祐介が調査に行く少し前…
祐介のスマートフォンに電話がかかる。
「はい、雨谷です」
「中根です。調査の途中経過をお伝えいたします」
「そう。悪いがもう一日調査に動いてくれ。報告は明日頼むよ」
「わかりました」
と、祐介は電話を切る。
電話を切るや否や、祐介は車を動かす。
「何をたくらんでるの?」
と、山部が聞く。
「今後の依頼に深くかかわるかもしれないこと」
「はぐらかさないで」
「悪いが、今回は慎重にいかせてもらうぜ」
と、祐介がいい、車は津へ向かっていく。
つづく
なんとか今年中に三重編を終わらせたいが、終わりが見えへん。
ごめんなさいちゃんと終わらせます。
そうしないと次のキーマンが出てこれなくなるので。
と、いうわけでまだまだ続けます。
次回の更新は12月下旬あたりを予定しております。