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レイン・シャーク  作者: 西武球場亭内野指定席
第3章
28/61

第27話

イギリス

正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国。

(英:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)

イギリスという呼称は通称である。

United Kingdomを略してUKと呼ぶこともあるが、日本では英国と呼称することもある。


一説には魔法大国とされ、世界中の魔法使いが修行のために訪れる場所とされている。

基本的には12歳前後で素養があるかどうかがわかるものだが、稀に発現が遅いものもいる。


「イギリス留学は2回目だけど、嫌だねぇ…日本語は通じないし、メシはまずいし、早く日本に帰りたい…」

ここで不満を垂れるのは、森田香里だった。

彼女の素性は一切のトップシークレット。

始祖六家とロイヤルダークソサエティ(英国王立魔術研究会)の紳士協定により、西洋魔術の日本人魔法使いの教育については英国王立魔術研究会傘下の学校で行うこととし、その存在は一切秘匿される。

魔法学校はロンドン郊外にある全寮制の学校。

そこを中退したはずなのに呼び戻される理由とは…


〜〜〜〜〜〜

祐介と池永は銀座にある高級クラブに入った。

ここは芸能人御用達のお店であり、支払いはかなり高額。水野さんの紹介があり、かつ支払いは水野さんじゃなければこんな上質な店なんか行けない。

水野さんの名前と名刺を出した時の店長の態度ときたら、それはもう大変なものであった。

「す、すぐにこの店のナンバー1をお呼びします!」

慌てる店長。

さらに、店の電話がかかり、すぐに出た店長。

相手は水野さんだった。

店長はその電話を受けたあと、

「今日の支払いは水野さんがやってくれるそうです。今日は心ゆくまでおくつろぎください」

と言い、我々をVIP席へ通した。


「いいね。たまにはこういう店も」

「お前、同居人がいるんじゃねえのか?」

「海外出張中だよ。しかも久しくご無沙汰なんだ」

「ふーん。そうか」

すると、1人の男が祐介が座る席へとやってきた。

「雨谷祐介さんですね?」

「どちら様でしょうか?」

「私、衆議院議員の山崎浩先生の秘書の高崎三郎と申します」

高崎は名刺を渡してきた。

「武蔵ホールディングス総務部の雨谷祐介です」

祐介は対外的に作ってあった名刺を渡す。

MUSASHIと大きなロゴが入った名刺だった。


「実は、山崎浩先生の名代としてご挨拶に伺いました」

「社長ではなく、私に会いに来た理由をお教え願いませんか?」

「それは教えられません。今日はあくまでもご挨拶でございます。ご内密な話ですので、後日改めてご連絡差し上げます。社長によろしくお伝えください」

そういうと、高崎秘書はテーブルから離れた。

すると、祐介の携帯に着信が入ってきた。

相手は社長だった。

「はい、雨谷です」

「私だ。明日の朝8時半までに羽田空港に来なさい。君に合わせたい人がいる。それから、明日から3日ほど高松に出張となった。支社長によろしくな」

「社長、先ほど山崎浩衆議院議員の秘書の高崎三郎さんから挨拶がありました。後日会いに行くそうです」

「そうか。私に挨拶はあったらしいが、その時はあいにく本社にいなかったからな。どうせ内定調査だろう。いずれにせよこの依頼を君がやることはない。それでは明日、羽田空港で会おう」


その日は、浮世を忘れるほど楽しんだ。


翌朝8時半

羽田空港

二日酔いで気分の悪い祐介は、スーツ姿でチェックインカウンターに並んでいた。

チェックインカウンターの前で社長の秘書からチケットと手みやげ品をもらった。

玉藻という方に渡すことになっていた。中身は少し重い。ゆえに知らないほうがいいと察した。


10:59

高松空港

バス乗り場では水野と宮城と1人の女が待っていた。

「お主が雨谷祐介か。妾は玉藻じゃ。話は宮城と水野から聞いてるよ。同居人のためなら命を張れるとは、いい男じゃ」

女が口を開く。

「はじめまして。雨谷です。社長から、これを預かっております」

と、祐介は慣れた手つきで紙袋を渡す。

「じゃあ、ホテルに行こうか」

「その前に支社長に挨拶がありますので」

祐介ら4人はリムジンバスに乗り込む。

武蔵の高松支社は高松築港駅の近くにある。

リムジンバスを降りた後、祐介は高松支社に向かい、3人はホテルに行く。

高松支社に着いた後、祐介は支社長らに挨拶を済ませ、宿泊先のホテルに落ち着く。

ホテルのロビーでは宮城が待っていた。

女子3人は2人部屋にエクストラベッド、祐介は1人部屋だった。


祐介は3人の部屋に通された。

そこでは水野と玉藻、そして宮城が待っていた。

「いらっしゃい。待ってたわよ」


「祐介くん。紙袋の中身見たよ。社長によろしくね」

「はい」

「雨谷くん、玉藻のことだけど、見た目に騙されちゃダメよ。確かにこいつは絶世の美女のような見た目だが私生活はズボラ。おまけに競輪狂いに競艇狂いときて酒好きで、酔うと喧嘩っ早くなるクズ。普通の人ならあっという間にホームレスだけど、この女狐は普通の人が寿命で死ぬまで使いきれないほどの資産を持ってるから、しぶといのよ」

と、宮城がいう。

「ひどい言い方するのう」

玉藻が膨れっ面をする。

「事実を言ったまで。傾国の美女として国一つ滅ぼしかけた九尾の狐が競輪と競艇で自分の身を滅ぼしかけるんだから世の中はわからないね」

「その言葉には事実誤認があるのう。確かに何度か大負けしたことはあるが、妾はこんなバクチで身なんか滅ぼさんわたわけ。生き方はいろいろあるのじゃ」

「まさか稲荷神社で神主相手にカツアゲなんかしてないですよね。美人局(つつもたせ)なんかやってたら水野さんと一緒にお前を封印するからな」

「そんなことしないわ。それに水野さんを怒らせたら18禁同人誌のような責め苦を受けるからの。勘弁願うのじゃ」


「(なにをしでかしたんだか)」

祐介は呆れてものが言えなくなっていた。


「そうね。私が花街の警備を薬師寺家に依頼するずっとずっと前に玉藻と出会ったわね。確か封印を解いてあげたのよね」

「鎖で縛り上げて、いい声で鳴けとかいろいろ言葉責めして、挙げ句の果てには触手スライム責めをして抵抗できなくなるまで責め苦を与えたのは封印を解いたとは言いがたいがの?」

「あらやだ心外。今は自由の身じゃない。それに花街ではいい思いしたでしょ?死期の近い若い男の生き肝を食べる最高の思いをしたくせに。あれは高くつくわよ」

「今はそんなものに興味はないのじゃ。妾には競輪と競艇があればそれでいいのじゃ。イケメンなんか勝手に寄ってくるし、妾にかかれば一攫千金でちょちょいのちょいじゃ」


「いいこと、雨谷くん?こんな大人になっちゃいけないから」

宮城さんが忠告する。

「なりたくてもなれません。人間コツコツ真面目に生きるのが一番です」

と、祐介がいう。

「それは私に対する皮肉か?」

と、玉藻。

「いいえ。私はしがない会社員。社長や上司にこき使われてお金を稼ぐことしか出来ません」

「卑下しすぎじゃないのか?同居人は一流の殺し屋だ。ヒモになればよかろうに。なんなら妾のヒモになるか?」

「お気持ちだけにしておきます。それにヒモなら用済みになった瞬間に叩き斬られますし、あなたのヒモなら最期に生き肝食われるでしょ。それに、女に養われるようなら男が廃ります。専業主夫も悪くはないですが、私はもうこれ以上みゆきがあんな闇の世界で人の命を奪って金を稼ぐところなんか見たくないんです」

哀しい目をしながら、祐介がいう。

「かくいうお前も、仕事柄人を(あや)めたこともあるじゃろ?ないとは言わせんぞ。薬師寺奈央に協力したこともあったじゃろ?正直に言え」

と、玉藻がいう。

「私はこれでも人を殺めたことはないですよ。実行犯ではありません。それに、始祖六家の殺しは裁きたくても裁くことはできない」

「開き直りよって。山本みゆきもこの男のどこに惚れたんだか。妾にはさっぱりわからん」


「人の男の好みをそしるのは悪趣味だぞ」

水野がいう。

「フン。言うだけならタダじゃ」

「またやられたい?それともいい声で哭きたいか?」

「あんたの女癖にも呆れるわ」

玉藻が呆れながらいう。


「ねえ雨谷くん。この狐泣かせていい?」

水野が半ギレでいう。

「好きにしてください」

祐介は呆れながら返事を返し、宮城と共に無言で部屋を出た。

部屋には玉藻と水野が残る。

「さあ、お楽しみの時間よ」



おことわり

ここから先の表現に関しては倫理上の問題があるためカットしました。



数十分後、部屋のドアが開く。

「入って、どうぞ」

水野が2人を部屋に入れる。

そこにはすっかり気の抜けた全裸の玉藻が床に転がっていた。

祐介は絶句していた。

そして…

「なんですかこの光景は」

「従順になるまでしつけただけよ」

「そういうことはそういうホテルでやってください」


〜〜〜

その頃、とある病院にて。

「まったく、おめえほどの手練れが簡単にやられるとはな。情けねえぜ」

「よく言うぜ。動力源不明の自動人形(オートマタ)60体を相手に立ち回るだけで一苦労だぜ。それに、俺のトンファーや特殊警棒が使用不能程度にはボロボロになるレベルの硬度だ。今、回収部隊が俺が叩き壊した自動人形を復元してる。変なチップがあったらしくて、侍従長や特殊部隊の面々もつきっきりだ。誤作動の際に完全破壊できるように」

「いったいなんなんだ?おめえを襲ったオートマタとやらは」

「俺に聞くな。子供の悲鳴が聞こえたから助けに行ったらこのザマだ。まったく、人助けなんかするもんじゃねえな」


すると、小柳の携帯電話に着信が入る。

相手は小橋川だった。

「はい、小柳です」

「小柳さん。小橋川です。あなたが戦った自動人形(オートマタ)についていくつか聞きたいことがありますので、後ほどそちらに向かいます」

というと、通話が終わった。


「誰からだい?」

「侍従長だよ。聞きたいことがあるってさ」

「俺は侍従長が来たら帰るよ。早く怪我治して復帰しろよ」

「ああ。わかったよ」


その頃

「時は来た。この自動人形軍団を使って、必ず滅ぼす。許さない…許さないぞ」


つづく

久々の更新となりました。

お待たせして申し訳ありません。

次回更新は未定です。

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