いろいろばれっちゃてますよ、はい
「初めまして、そして入学おめでとう。六衡后さん。」
にっこり笑う壮年の男。
某ナンパな国の高級スーツを纏った、真っ黒い長髪を首の後ろで縛ったその姿は、今日の昼間に拝んでいる。
入学式の、壇上で
「お初にお目にかかります。
一生徒の部屋にまで来ていただけるなんて、光栄の至り。
何かございましたでしょうか、南条理事長?」
出来る限りの笑顔を作り、可愛らしさアピールで首をかしげてみせる。
ちょっと慇懃無礼だったかな?
理事長の後ろにいる秘書っぽい、おじいちゃんの額に青い筋が出来てる。
でも、礼儀正しくしたつもりなんだよ?これでも…
無差別な戦闘狂が元キャラってことで許してくれないかな、ショボーン
なんたって、今ノートにメモったばかりな人なんだもんね。
日本における能力者の名家の一つ、南条家当主 南条圭志
そして、『慈水王』
水を操り、気象を支配する。
治癒能力をもって病怪我あまたを癒す慈悲なる王
南条、東条、北条の三家の血の転生することを選んだ神様
彼もまた攻略キャラの一人だ。
しかも、男主人公では 南条蛍佳という女性として登場し、攻略キャラになる。
スタッフ、ここらで眠気がピークになったの?
使い回すなよ。
「問題は何もないよ。」
一歩、南条理事が近づいてくる。
それを、秘書のおじいちゃんが慌てて止めようとしている。
よし、おじいちゃん!!
いいぞ、もっとやれ!!
この人連れて帰って!!
私の心の応援は無意味だった。
南条理事は振り替えることなく、片手をゆらゆら振っただけ。
それだけで、おじいちゃんは静観の体制に入ってしまった…
ちっ、役に立たない爺め!!
南条理事の手が、私の頬に後数センチのところで止まる。
ゾワゾワ
鳥肌が立つ。
「君は、誰のものなのかと思ってね」
頬がピリピリする。
干渉されている。
私に施されて、回線に
『慈水王』の力が侵入してくる
使い魔 なんだろ?六衡后さん?
分かってた。
すぐ気づかれることなんて…
だからって、本人が出向いてくるなんて、しかも初日に!!
暇かよ!!
そう、私は使い魔だ。
半年前、たった一人で突然『王』と遭遇した。
いや、あっちから接触してきた。
奴は言った。
君の魂から変わった気配を感じる
そう、
転生者だね
ふふふ
僕は運がいい
これが日頃の行いがいいっていうのかなぁ
知るかよ!?
いや、お前の 日頃の行いがいい なんてあり得ないっの
じゃなくて…
あの時の衝撃で。私の記憶は戻った。
ついでに、隠していた能力がバレてしまい、この学園に入ることになったのだけど…
奴が言うには、この世界に異世界からの転生者というのは、結構とまではいかないが、いるらしい。
命の数が足りなくなると調達していた『冥王』のシステムが今でも時々稼働しているらしい…
そして、そんな転生者の魂は少しだけ許容力が高く、回線を接続しても馴染みやすく壊れにくいらしい
だから、王たちは転生者を見つけると捕獲して回線を繋いでしまうのだという。
「おや。
珍しい、彼か…」
私の回線から、ご主人様に辿り着いたらしい南条理事は面白そうにクスクス笑いだした。
「…そうか、彼なのか…
くすくす
それで?
何か悪さをする予定なのかい?」
「しませんよ、そんなこと」
わかってて言ってくるんだから…
「私の望みは、平々凡々な学生生活なんです。
そして、うちのご主人様の目的も似たような感じですので…」
「そうなの?
なら別に構わないかな。
何かあったら、ここに連絡して
学園を壊されるよりはいいからね」
一枚の名刺を渡された。
王直通の連絡先
やばい、
お金に困ったら売っちゃいそうだな…
いい値で売れそう…
「それと、これも入学祝いにあげるよ」
渡された紙には、一つのサイトのアドレス
意味が分からなくて、南条理事を見上げる。
「見てみれば分かるよ」
そう言って、南条理事は秘書のじいさまと部屋を出ていった。
そういえば、これって誰も見てないよな?
女子寮の部屋に理事長が出入りしたなんてしれたら大問題な気がするんだけど…?
パソコンを開いて、アドレスを入れてみる
ブフゥ
[我ら]使い魔による使い魔の学園生活[犬となった]No.6
なんか、お仲間さんがスレをたててるんですけど…
南条圭志
攻略キャラ 名家の当主で、理事長で、『慈水王』
気象を操る力を得意とする
最初の分岐点までが長いが、一度好感度が上がると早い。
溺愛ヤンデレ風味
最終的に選択を間違えると、ホルマリン漬けにされちゃうよ♪
南条蛍佳
攻略キャラ
基本は上と同じ。
治癒能力を得意とする