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ブルーディメンション  作者: ROBO


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2/19

居る

 それからは家でも会社でも、電車の中でもあいつはいた。前からそこに居たような顔をして私の前に現れて、違う、顔なんてない。形も落ち着かないような青い存在が私の世界を崩し始める。


 誰もその存在に気付かないのか、ただ無視をしているだけか、単なる私の幻覚か、普段どおりの笑顔で「昨日のテレビ見た?」とか、「課長が臭い」とか、「たまには社食じゃなくて外で食べようよ」とか周りが話しているけれど、私は素直に楽しめない。

元々つまらない人達だけど凄く違和感がある。気分が悪くて何度も吐いた。

「どうしたの? 大丈夫? 相談のるよ」と機械みたいに無機質だ。


 我慢できなくなって私はある日の夕方、我が物顔で私の部屋に居座る青いものを叩きまくった。何時間も何時間も叩きまくって、もう手の感覚がなくなるぐらい。フラフラでベッドに横たわった私をあざ笑うようにそれはゆらゆらと部屋の空間を歪めたまま存在し続けた。何をしても無駄だった。


 名のある除霊師に相談したこともあった。初老の女除霊師は血管の浮き出た手の甲をおしげなく私に見せつけながら「これはいけない、あなたには大変悪い霊が憑いてる」とさも深刻そうな顔をして、後日料金を見積もったコピー用紙を送ってきた。


 3万2千円、どういう基準でこういう値段が決定したのか全く不明で、でも私はこの青いものから逃れられるなら安いだろうと除霊をお願いすることにした。



 除霊師がまるで天狗のような格好をして一人暮らしの私のマンションに上がり込んできたのにはさすがに驚いたが、怪物には怪物かとしばらく狂ったように踊り続ける除霊師を無言で眺めていた。

除霊師は冷蔵庫周辺をひたすら気にしていたようだがその間、青いものは私のすぐ横に居た。


 下の住人から苦情が来ていると管理人に叱られて私は「ああ、そういえば下にも住人がいたんだな」と初めて気がつく程度で、休日の昼時、理由も知らずに腹を立てているという住人に嫌悪感。


 青いものなんて見えていない、平和に今を生きて、日がな一日バラエティ番組なんかを見ながらビールをすすれるような恵まれた人間に私の気持ちがわかってたまるか。


 その後間もなくして除霊師のいた小さい事務所は倒産し、除霊師も行方をくらました。勿論青いものが消えることもなく、とうとう私もストレスでいかれてしまったかと多少なりともショックを受けた。


 この大都会、人なんて嫌というほど居る。でも私にとってそんなものはただのマネキンと同じ。一緒に生きていない。私のことを理解したような顔をして、優しくしてくる奴は殺してやりたいほどイライラする。


 何度男を変えても私のイライラは増幅するばかりで、頭の血管がプツリと切れてご臨終なんてことが今までなかったのが不思議なくらい。

男が駄目なら女だ、という素直な思考のままにそういう集まりにも参加した。


 男に比べて女は幾分か良かった。自分が守ってやるとか俺についてこいとかそういう胸糞悪い自我があまりないから。逆に私が主導権を握るみたいな場合も多々あって、結構自由だった。


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