表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

ミルクの過去

「私の家は、いつもお金がありませんでした」


 暗い表情でミルクは話しだした。


「父が残した、莫大な借金があったからです。母は病気で体が弱く、病気を治すのにもお金が必要でした。借金取り達も毎日押しかけてきて、3日前、ついに家の中まで入って母をさらって行きました」


 3日前というと、ミルクを森で助けた日だ。

 ということは⋯⋯


「借金取り達は母だけでなく私もさらって行こうとしました。私はさらわれないように必死で逃げてきて、それで⋯⋯」


 この森までやって来たってわけだ。


「私は逃げ切る事が出来ましたが、母はさらわれていきました。母が今、どこにいるのか、何をしているのか、生きているかどうかも、何も分かりません」


 そう話すミルクの瞳には、涙が浮かんでいた。


「母は必死で私を逃がそうとしてくれました。『どうかあなただけでも、逃げ切って』母から聞いた、最後の言葉です。その姿が、ずっと頭から離れません。」


 泣きそうになりながらも、彼女は必死に言葉を紡ぐ。


「今までは、たとえお金がなかったとしても、母と一緒に過ごせれば、幸せでした。でも、母がいなくなった今、私は何のために生きているのか分かりませんでした。レッドウルフに襲われて、逃げながらも、ここで私は死ぬんだ、って、心のどこかで諦めていました」


 そこで、彼女はこっちに顔を向ける。


「そんな状況から助けてくれたのが、リツさんです。」


 彼女は、ほんの少しだけ明るさの戻った表情で話す。


「リツさんに助けてもらって、一緒に過ごしている間は、母をさらわれた悲しさも、少しだけ忘れられました」


 彼女は顔に無理矢理笑みを浮かべ、俺に感謝、そして別れの言葉を告げる。


「でも、これ以上迷惑は掛けられません。私を助けていただいて、3日間も泊めていただいて、本当にありがとうございました」


 そう言ってドアを閉めようとする彼女の顔は、やっぱり悲しそうな顔をしていて、だからかも知れない。こんな、らしくない言葉をかけてしまったのは。


「一緒に、この家に住もうよ」


◇◆◇◆◇◆


「ご飯出来ましたよー!」


 結局、ミルクはこの家に住む事になった。

 食料は、HPが貯まり次第【食料自動追加】のレベルを上げて、量を増やすつもりだ。


「いただきます」


 今日のお昼ご飯は照り焼きだ。え?照り焼き?照り焼き作れるような調味料家にあったっけ?

 ミルクの料理スキルに驚きつつ、照り焼きを口に運ぶ。

 全体的にパリッとした仕上がりになっていて、タレもあんまり濃くはないものの、俺好みの味付けだ。


「うん。今日も美味しいよ」


「ありがとうございます」


 ミルクは、顔いっぱいに笑顔を浮かべて言う。

 こうして、ミルクは以前よりも感情を表に出してくれるようになった。


「ミルク、前より笑うようになったよなぁ」


「はい。リツさんがあの時ああ言ってくれなかったら、こんなに幸せを感じる事は出来なかったと思います」


 やっぱり、あの時引き止めた判断は間違ってなかったと思う。

 あの時引き止めてなかったら、今頃ミルクがどうしていたか分かったものじゃないしな。


◇◆◇◆◇◆


「一緒に、この家に住もうよ」


「でも、もう相当迷惑をかけているのに、この家に住む事になったら、もっと迷惑をかけてしまいます」


「迷惑なんて思ってないよ。それにミルクがいなくなったら、俺は寂しいよ」


「っ⋯⋯」


 ミルクは僅かに頬を赤らめ、言った。


「いいんですか?」


「こっちからお願いしたいくらい」


「じゃあ⋯⋯お願いします」


 そう言って、ミルクは再びこの家に入ってきた。

 最初はミルクの過去を知ってしまったせいか、ちょっと気まずかったけど、いつの間にか普通に話すようになっていた。

 こうして今に至る―――――


◇◆◇◆◇◆


「「ごちそうさまでした」」


 俺が食器をキッチンに持っていこうとすると、


「あ、食器私が持っていきますよ?」


とミルクが言ってきた。


「いや、今日は俺が洗い物やるよ」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 俺はミルクから食器を受け取ってキッチンに向かう。

 あ、料理しないとはいえ洗い物くらいできるぞ?

 俺はキッチンの蛇口をひねって水を出しながら、キッチンの方をチラリと見る。

 すると、リビングにいるミルクもこちらを見ていて、俺は即座に目を逸らす。

 いや、何かあるだろ?誰かの事見ていたら、目が合っちゃって何か気まずいやつ。


「ふふっ」


 リビングからミルクの笑い声が聞こえてくる。


「な、なんだよ」


「いや、何でもありません」


 そういいながら、ミルクの顔には笑顔が浮かんでいる。

 まぁ、ミルクが笑っているならそれで良いのかも知れない。

 そう思って、俺は洗い物を再開する。

 こんな日常が、この後も続くといいな。

 すいません。ちょっと予定重なって更新めっちゃ遅れました。

 これからちょっと忙しくなるかもなので、更新遅れるかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ