借金取り達に出会う
俺達は今、鎧を着た騎士と、明らかに借金取りっぽいゴツい男の人達に囲まれていた。
いきなり過ぎるよな、うん。俺もそう思う。
事の顛末は、約一時間前まで遡る――――
「そろそろ街に着くよ」
「分かりました。今行きます」
ミルクの声が聞こえてから数秒後、ガチャッとドアの開く音と同時に、ミルクがリビングまでやって来た。
「ミルク、本当に街に行っても大丈夫?」
「はい。借金取り達はいないと思いますし、いつまでも怯えて街に行けないままでいたら、リツさんを困らせてしまいますから」
そう言ったミルクの目は、覚悟を決めたような雰囲気をしていた。
この様子ならきっと大丈夫だろう。万が一借金取り達がいても必要以上に怯えて逃げられない、とかは無さそうだ。
俺がそう安心していると、ミルクがこちらを見て言ってきた。
「それに、何かあってもリツさんが守ってくれますよね?」
そんな言葉に、俺は笑って、
「ああ。頼りないかも知れないけど、絶対に守ってみせる」
「ありがとうございます」
そう言ってミルクは安堵の表情を浮かべた。
街に行く前に、幾分か不安を取り除けたようだ。
そうこう話しているうちに、いよいよ街が見えてきた。
俺は、街から少し離れてて人がいなさそうな所に家を着陸させた。
「行こう、ミルク」
「はい」
俺は、ミルクの手をとって外に出る。
数ヶ月振りの外は、まぁ、お散歩日和といった感じだ。特に感慨はない。
強いていうなら、お日さまの光を直接浴びるのはちょっと久し振りかもしれない。
普通に家が設置してある時は別に窓の前に立ったりしないし、【飛行】で飛んでいるときも、角度や天候によっては日光が入ってこなかったりする。
まぁ普通に入ってくる時もあるから、本当に久し振りかどうかは分からんけど。
そんな変な議論を頭の中で展開しながら、俺はミルクと街へ向かう。
あ、もちろん家は能力を使って格納したぞ?現在家は俺のアイテムボックスの中だ。
「リツさん」
「どうした?」
「街にいって、何をするんですか?」
「話してなかったっけ?」
「多分⋯⋯話されてないと思います。」
ミルクは思い出すように首をかしげる。
「じゃあ、おさらいついでにミルクにも話しておこう。街まで暇だしね。」
「はい」
ちょうどいいタイミングだ。どっかの作者が熱出して更新がめっちゃ遅くなったせいでみんな忘れてるだろうし、ここらで説明し直しておこう。
「今回街にいく目的は一つ。冒険者ギルドに登録し、今後お金を稼ぎやすくするためだ」
「なるほど⋯⋯」
「まぁ他にも、お店とかがあったら見て回りたいな。俺街にはほぼ行ったことないし」
「田舎から来たって言ってましたもんね」
「ああ。そのせいで冒険者ギルドの登録の仕方とかは分からないが、多分きっとおそらくいけるはず」
「ふふっ。そこは自信ないんですね」
「うっ」
そんな他愛ない会話をしながら、俺達は少しづつ街へと向かっていった。
家を出てから数十分。俺達はついに街へと入る事が出来た。
入る時にお金取られるのはちょっと驚いたな。ミルクが少しだけお金を持っててくれて助かった。
「久し振りに来たなー。この街」
「私は初めてですけど⋯⋯活気があっていい街ですね」
そういうミルクの体には、顔を隠すためのローブがかかっている。
ミルクは借金取りに追われていて、借金取り達がいるイスカも近いから、という理由で顔を隠すためのローブを着用している。
俺も一応勇者として召喚された身なので、ミルクと同じローブを着ている。
「ところでリツさん、冒険者ギルドの場所は分かるんですか?」
「冒険者ギルドの場所については問題ない。俺に策がある」
そう言いながら俺はウィンドウからマップを開き、クライムの国を拡大する。
すると、案の定店の名前などが出てきた。
少し探してみると、冒険者ギルドの表記を見つけた。
「ミルク、こっちだ」
俺はミルクの手を引いてマップを見ながら進む。
数分後、俺達の前には冒険者ギルドがあった。
「結構大きいんだなー」
「こんなに大きいと、ちょっと入るのためらいますね」
「確かに。なんか圧を感じる」
こんな事言ってても始まらないので、雰囲気にビビりつつもギルドの建物に入る。
「おー」
「中はこんな感じなんですね〜」
中はいかにも異世界系の冒険者ギルドって感じで、依頼の紙みたいなやつが掲示板に貼られている。
少し離れた所にはテーブルと椅子があり、数人の冒険者達が座り、何かを話している。
「受け付けはどこだ⋯⋯?」
俺達が受け付けを探していると、誰かから声を掛けられた。
「ようこそ冒険者ギルドへ!新規登録の方ですか?」
「はい。どこで登録できるんですか?」
「新規登録でしたら、あちらのカウンターで出来ますよ」
話しかけてきた女の人が指差す先には、いくつかのカウンターが設置されていた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。これが仕事ですから」
女の人は、ニコッと笑ってどこかへ行ってしまった。
「取り敢えず、登録してくるか」
「はい!」
十分後、無事に登録を終え、カードみたいなやつももらった俺達は街を見て回っていた。
「さっきも思いましたけど、本当に活気にあふれてますよね〜」
「そうだな。ここも結構賑わってる。」
今俺たちがいるのは商店街みたいな所の大通りだ。
沢山の人が歩いていて、その中には人じゃない種族もいる。
その事についてミルクに聞こうと思ったら、前から見覚えのある連中が歩いてきた。
勇者達だ。
勇者達の他にも、数十人護衛のような騎士達がついている。
俺はなるべく顔を見られないようローブをかぶり直そうとしたが、ミルクが後ろからくっついてきた。
「どうした?」
「借金取りです」
周りを見渡すと、ガラの悪そうな男達が歩いてきていた。
俺はミルクを守るような位置取りに立ち、存在感を消して立ち去ろうとする。
ドンッ!
これは後ろからした音だ。
振り向くと、さっきの勇者達と借金取り達が睨み合ってきた。
「オイ、何ぶつかってきてんだよ。周り見ろよ」
「そちらこそ、前方不注意だったんじゃないか?」
「あ?」
いかにも一触即発といった雰囲気に、背を向けようとしたが、都合悪く、強い突風が吹いてきてしまった。
風に乗って飛ぶ俺とミルクのローブ。
勇者達と借金取り達はすぐに気付いたようで、逃げられる前に素早く取り囲んできた。
⋯⋯どうしよう。マジでどうしよう。
すいません!更新めっちゃ遅れました!
ちょっと分量増やしたから許しt




