この機能追加してみろ。飛ぶぞ
ミルクがこの家に住み始めてからしばらく経った。
【食料自動追加】の量も増やして、2人分の食料が手に入るようになった。
今は一日のやる事を全て終わらせてそろそろ寝る時間になっている。
ちなみにベッドがあるのはリビングではなく俺の部屋だ。ミルクの分のベッドは家改造を使って用意した。
最近は寝る前にミルクと一緒に家の機能をみるのが日課になっている。
そういえば今HPってどのくらい貯まっているんだろう。
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現在のHP 1000
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⋯⋯は?
何でこんなに貯まってるんだ?
《同居者がいることにより、HPは約2乗に増えます》
オーケーオーケー。これはバランスが壊れましたねぇ⋯⋯
「ミルク、今日は機能を買ってみよう」
「いいんですか?」
「うん。思ったよりHPが貯まってたからね」
ちなみにミルクにHPの事は説明済みだ。
「じゃあ前から気になっていた物があるんですが、いいですか?」
「うん、多分買えると思う。どれ?」
俺はウィンドウをミルクの方に向ける。
「これなんですけど⋯⋯」
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【飛行】
家召喚で召喚させた家を飛行させる事が出来る。
最高速度80キロ
最高高度500メートル
必要HP 40
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これは⋯⋯俺もちょっと気になってたやつだ。
詳しく見てなかったけど、性能も中々いい感じじゃないか。
「うん。もちろんいいよ」
「ありがとうございます!」
俺は【飛行】を購入する。
「早速浮かしてみる?」
「はい!」
よし、じゃあやってみるか。
⋯⋯って思ったけど、どうやって発動するんだ?
《機能名を頭の中で唱える、もしくは口に出す事で発動出来ます》
なるほど。ってか久しぶりに見たなサポート音声。
「じゃあせーので行くよ〜。せーのっ」
【飛行】!
直後、家がグラグラと揺れ始め、エレベーターに乗った時のような感覚がやって来た。
「あっ」
ミルクがバランスを崩して倒れそうになる。
「危ない!」
俺は咄嗟に飛び込んでミルクの体を支える。
「いてて⋯⋯大丈夫?」
「はい。ありがとうございます。リツさんこそ、大丈夫ですか?」
「平気平気」
揺れが収まり、ゆっくりとミルクが立ち上がる。
そして窓の外を見たミルクの目がキラキラッと輝いた。
「リツさんリツさん!見てみてください!」
窓を開けて外を覗いているミルクの隣に並び、窓の外を見てみる。
すると、いつもより何倍も高い位置からの景色が広がっていた。
「リツさん!浮いてますよ!」
「うん。結構高いね。何メートルぐらいなんだろう」
「ここからなら、森が見渡せます!」
視線の先には、森が広がっている。
遠い所は霧がかかっていて何も見えないが、少なくともここから半径300メートルくらいは全て森だ。というか見えている範囲全てが森だ。
「見渡す限り森ですねぇ⋯⋯」
「分かってはいたけど、この森相当広いんだな⋯⋯」
こうして、俺達は見渡す限りに広がる森を数分間眺めていた。
「ちょっと移動させてみる?」
「移動?」
「ほら、機能説明に書いてあったじゃん。最高速度80キロ、とかさ」
俺はウィンドウに機能説明を表示させてミルクに見せる。
「本当だ。書いてありますね」
「移動させる?」
「はい!やってみましょう!」
「オッケー」
⋯⋯移動ってどうやるんだ?
《家を移動させるイメージをすると自動で読み取って移動します》
なるほどなるほど。サポート音声さん流石っす。
俺は早速移動させるイメージを頭の中に思い浮かべる。
すると、また家がグラグラし始めた。
だが、浮き上がった時よりかは揺れが弱く、ミルクも俺も普通に立てていた。
「外見てみますね!」
ミルクがワクワクを抑えきれないといった表情で窓を見る。
すると、元々輝いていたミルクの目がよりいっそう見開かれて輝いた。
「リツさんリツさん!」
「動いてる?」
「そうですそうです!動いてます!」
俺も窓を覗いてみる。
緩やかに動くイメージにしたから動きは遅めだ。
窓の外を眺めていると、急に動きが止まった。
「あれ?止まっちゃいましたね」
窓の景色を見ていたせいでイメージが止まっていたようだ。
俺はまた頭の中に家が動く姿を思い浮かべる。
「あっ、また動き始めました!」
これ、結構難しいな。
何かをしていてイメージするのをやめると、家の動きが止まってしまう。かといってぼーっとしていても暇だし⋯⋯
これは要練習だな。
しばらくイメージの練習をしながら窓からの景色を楽しんでいた俺たちだが、ふと時計を見ると結構時間が経っていることに気づいた。
「おっと。結構時間経ってたね」
「そろそろ寝ましょうか?」
「うん。もう遅いし、寝ようか」
すると、ミルクはほんのりと残念そうな表情を浮かべる。
「明日も、家浮かして遊ぶ?」
「はいっ!」
どうやら当たりだったようだ。
ミルクはキラキラとした瞳もそのままに、布団に入る
「一旦降ろすね」
俺は頭の中で家を降ろすイメージを浮かべる。
すると、家は少しづつ下がっていき、やがてドスンと地面に着いた。
俺は部屋の電気を消して、ベッドに入る。
「おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
俺達はお互いにそう言って眠りについた。




